【瓦解】と【崩壊】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「瓦解」(読み方:がかい)と「崩壊」(読み方:ほうかい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「瓦解」と「崩壊」という言葉は、どちらも壊れることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




瓦解と崩壊の違い

瓦解と崩壊の意味の違い

瓦解と崩壊の違いを分かりやすく言うと、瓦解とは一部がダメになり徐々に壊れていくこと、崩壊とは一気に壊れてしまうことという違いです。

瓦解と崩壊の使い方の違い

一つ目の瓦解を使った分かりやすい例としては、「新政権がわずか一年で瓦解した」「連敗によってチームが瓦解してしまう恐れもある」「この家庭は瓦解の淵に立たされている」などがあります。

二つ目の崩壊を使った分かりやすい例としては、「父親の逮捕により家族が崩壊への道を進んでいった」「地震によって建物が崩壊した」「職場の人間関係が崩壊しているので早く辞めたい」などがあります。

瓦解と崩壊の使い分け方

瓦解と崩壊の違いは上記以外にもう一つあり、ビルやダムなどの物理的なものが壊れたことに対して使えるか使えないかという点です。瓦解よりも崩壊の方が幅広い範囲で使える言葉になります。

上記の例の「連敗によってチームが瓦解してしまう恐れもある」は「連敗によってチームが崩壊してしまう恐れもある」と置き換えることができるのですが、「地震によって建物が崩壊した」は「地震によって建物が瓦解した」と置き換えることはできません。

瓦解と崩壊の英語表記の違い

瓦解も崩壊も英語にすると、壊れることを意味する「Collapse」となり、例えば上記の「地震によって建物が崩壊した」を英語にすると「Building collapsed by earthquake」となります。

瓦解の意味

瓦解とは

瓦解とは、一部の乱れや破れが広がって組織全体が壊れることを意味しています。

表現方法は「瓦解する」「瓦解した」「瓦解の危機」

「瓦解する」「瓦解した」「瓦解の危機」などが、瓦解を使った一般的な表現方法です。

瓦解の使い方

瓦解を使った分かりやすい例としては、「政権が瓦解の危機に面している」「瓦解したチームを立て直す努力をしている」「新型のウイルスの流行により我が社は瓦解の淵に立たされている」「エースの離脱がこのチームの瓦解の始まりだった」などがあります。

その他にも、「監督の構想が浸透せずチームが瓦解の方向へ向かっている」「瓦解した家庭をまた一つにしたい」「瓦解寸前だった会社を立て直した新社長は私たちの救世主だ」などがあります。

瓦解の由来

瓦解という言葉は、屋根に使われている一部の瓦(読み方:かわら)が崩れ落ちると、それが屋根全体に及んでしまうことを比喩的に表現したことから成り立ちました。注意すべきなのは、物理的なものには使わず、組織や秩序などに対して使うという点です。

また、瓦解は国家や草野球チームなど組織の大小は問いません。そのため、日常生活とビジネスシーンどちらでも使える言葉になります。

四字熟語「土崩瓦解」の意味

瓦解を使った四字熟語としては、「土崩瓦解」(読み方:どほうがかい)があります。土崩瓦解とは、土が崩れ瓦がばらばらに砕けるように、物事が崩れて手の付けようがないことを意味しています。

土崩瓦解を使った分かりやすい例としては、「この会社は土崩瓦解してしまったので、再建がとても難しい」「私が発案したプロジェクトは土崩瓦解してしまった」などがあります。

瓦解の類語

瓦解の類語・類義語としては、堤防などが崩れることを意味する「決壊」、くずれ落ちることを意味する「崩落」、建物などが倒れて潰れることを意味する「倒壊」、 まとまった形をして安定していたものが、支える力を失って壊れることを意味する「崩れる」などがあります。

瓦解の解の字を使った別の言葉としては、氷が解けてあとに何も残らないように、疑惑がすっかりなくなることを意味する「氷解」、一つに結合しているものを要素や部分に分けることを意味する「分解」などがあります。

崩壊の意味

崩壊とは

崩壊とは、壊れたり、崩れてしまうことを意味しています。

表現方法は「崩壊する」「崩壊した」「家庭崩壊」

「崩壊する」「崩壊した」「家庭崩壊」などが、崩壊を使った一般的な表現方法です。

崩壊の使い方

崩壊を使った分かりやすい例としては、「津波によって街が崩壊してしまった」「バブル経済がついに崩壊する」「家庭崩壊によって子供が悪影響を受けてしまった」「私生活が崩壊しかねない職場は早急に辞めるべきだ」などがあります。

崩壊という言葉は、組織や秩序だけではなく、ビルやダムなど物理的なものが壊れた時にも使えます。幅広い範囲で使える言葉なため、ニュースや新聞で「地震によってビルが崩壊しました」「〇〇政権が崩壊した」などのフレーズを、目にしたことがある人は多いはずです。

崩壊は、組織や建造物が徐々に壊れてダメにるのではなく、一気に壊れて形を成さなくなってしまうことをイメージするといいはずです。

「涙腺崩壊」の意味

崩壊を使った慣用句としては、「涙腺崩壊」(読み方:るいせんほうかい)があります。涙腺崩壊とは、涙腺が壊れたかのように涙が止まらなくなることの比喩的表現のことを意味しています。

涙腺崩壊を使った分かりやすい例としては、「話題の映画を観て涙腺崩壊してしまった」があります。漫画、アニメ、小説、映画などを観て感動して涙が止まらない時によく使う言葉です。

崩壊の類語

崩壊の類語・類義語としては、災害などで建物の形が原型が分からないほど壊れることを意味する「全壊」、残らず滅びることを意味する「全滅」、すっかりだめになってしまうことを意味する「壊滅」、攻撃して全滅させることを意味する「撃滅」などがあります。

崩壊の壊の字を使った別の言葉としては、力を加えて壊すことを意味する「圧壊」、外部からの働きによらず自ら壊れることを意味する「自壊」、壊れることを意味する「損壊」負けて総崩れになることを意味する「敗壊」などがあります。

瓦解の例文

1.大臣の汚職により政権が瓦解した。
2.新監督の戦術がうまく浸透せずに、チームが瓦解してしまった。
3.社長のインサイダー取引が発覚したため、我が社は瓦解の淵に立たされている。
4.宣伝して政策を実現できない政権は、瓦解することが多いのである。
5.夏目漱石が書いた坊ちゃんでは、瓦解という言葉がよく出てくる。
6.才能はあるが癖が強く協調性のない者ばかりのチームで今彼がいなくなったら間違いなくこのプロジェクトは瓦解するだろう。
7.不正が報道されたA社だったが、それは氷山の一角に過ぎず芋蔓式に不正が発覚し、数年かけ会社は瓦解した。
8.生まれ故郷の島に巨大ホテルが建てられ、海が汚れ、魚が減り、あっという間に生態系が瓦解してゆく様を目の当たりにした。
9.国民の期待を一身に背負った政権であったが、党内がまとまらず、わずか一年で瓦解した。
10.私は上から瓦解したプロジェクトチームを立て直せと言われて、今必死に努力をしているところだ。

この言葉がよく使われる場面としては、一部が崩れたことにより組織全体が崩れてしまうことを表現したい時などが挙げられます。

例文1から例文4のように組織が崩れてしまった時に使う言葉になります。草サッカーチームから政権など組織の大小は問いません。「瓦解した会社を立て直した」などと使わない限り、基本的にマイナスなイメージを持つ言葉になります。

崩壊の例文

1.長く続いてた日本のバブルが経済がついに崩壊してしまった。
2.父親の不倫によって家庭崩壊への道を進んでいった。
3.震度7の地震によってビルが崩壊してしまった。
4.巨大な津波によって大きな橋が崩壊してしまった。
5.火山が噴火したことにより、山体崩壊が起こった。
6.退職する後輩から貴方のおかげで今の自分がありますというメールをもらって仕事中なのに涙腺が崩壊してしまった。
7.上司のあまりに執拗なパワハラモラハラに遂に理性が崩壊し、社内ということも忘れて思いつく限りの罵詈雑言を吐いた。
8.小さい頃意味もわからずTVで見ていたベルリンの壁崩壊は、大人になった今思うと歴史的瞬間の目撃であった。
9.バブルが崩壊した後、日銀は経済政策を誤り、失われた30年を歩むことになった。
10.昨今は不安な時代なのもあって、日本が崩壊すると恐怖を煽って商売している言論人がたくさんいます。

この言葉がよく使われる場面としては、壊れたり、崩れてしまったことを表現したい時などが挙げられます。

例文3から例文5のように物理的な物が壊れてしまった時に使うのが馴染みのある使い方なはずです。例文1や例文2のように組織や秩序が崩壊してしまった意味でも使えます。

瓦解と崩壊どちらを使うか迷った時は、組織や秩序が壊れた時だけではなく、ビルやダムなどの建造物が壊れた時にも使える、崩壊を使っておけば間違いありません。

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