似た意味を持つ「探す」(読み方:さがす)と「探る」(読み方:さぐる)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分けを参考にしてみてください。
「探す」と「探る」という言葉は、どちらも何かを見つけるための動作を意味するという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「探す」と「探る」の違い
「探す」と「探る」の意味の違い
探すと探るの違いを分かりやすく言うと、探すというのは、手元にない物を探すことを意味していて、探るというのは、手元にある物を探すことを意味しているという違いです。
「探す」と「探る」の使い分け方
探すというのは、自分の手元や眼前にない人や物を求めて、色々な場所を見て回ったり、人に聞き込みをすることを表現する言葉です。「なくした物を探す」というのが一番分かりやすい例ですが、「人探し」や「迷い猫探しています」という言葉もあります。
次に、探るというのは、手元にあるものを手の感覚などに頼って探すことを意味する言葉です。「胸ポケットを探る」や「停電中、手探りで過ごした」のように、視覚に頼ることが出来ずに、手をあれこれと動かして物を探すことと考えると分かりやすいです。
「探す」と「探る」の違いは、手元にないものを求めてあちこち回ることを意味していて、探るというのは、手元にあるものを視覚ではなく手足の感覚などを頼りに探し求めることを意味するというように、空間的な遠近で考えることが出来ます。
ただし、「探る」にはこれ以外にも多くの使い方があります。それについては個別の項目で説明します。
「探す」の意味
「探す」とは
探すとは、手元にない物を求めてあちこちへ動き回ることを意味しています。この場合の「あちこち」とは、「家の中」の場合もありますし、「物件を探す」の場合のように広範にわたることもあります。
表現方法は「人を探す」「迷子を探す」「仕事を探す」
「人を探す」「迷子を探す」「仕事を探す」などが、探すを使った一般的な言い回しです。
「探す」の使い方
探すの意味にある「手元にないもの」とは、具体的には「なくしたもの」や「欲しいもの」です。「なくしたもの」としては、子供やペットなどの迷子、あるいは物品などがあります。「欲しいもの」としては、例えば賃貸物件や結婚相手などがあります。
「探す」と「探る」の境界線が微妙な事例として、部屋の中を手当たり次第に引っ掻き回して、時に散らかしながら、なくしたものを求めることがありますが、これは「探す」が妥当です。手探りではありますが、「なくしたものを目で探す」ことだからです。
なお、「探す」は「捜す」と表記されることもあります。辞書では「自分の欲しいもの」は「探す」で、「見えなくなったもの」には「捜す」を使用すると書かれていたりしますが、実際にはそこまで厳密に意味によって使い分けられてはいません。
辞書の説明に従うと「迷子を捜す」ですが、普通は「迷子を探す」と言います。「捜査」(読み方:そうさ)という言葉があるように、警察が介入してくる場合に「捜す」という言葉を使う傾向がありますが、一般には「探す」が使用されます。
「探す」の対義語
探すの対義語・反対語としては、資格や記憶、権威などの物理的には形のないものをなくすことを意味する「喪失」、色々なものに紛れてなくなることを意味する「紛失」、落とし忘れ、置き忘れることを意味する「遺失」などがあります。
「探す」の類語
探すの類語・類義語としては、広く呼びかけて必要な人やものを集めることを意味する「募集する」、わからないことを色々な方法で調べることを意味する「調べる」、行方不明の人やものを探すことを意味する「捜索する」などがあります。
「探る」の意味
「探る」とは
探るとは、手元にあるものを手の感覚などによって探すことや、「未知の事柄」について、調査や観察などに基づいて、その姿形や内容を明らかにすることを意味しています。
探るは、第一義的には、見えない物を手の感覚などに頼って探し当てることを意味する言葉です。そこから転じて、「一見だけでは見えないものの姿形を明らかにする」と一括できる様々な使われ方をします。
「手探り」の使い方
見えないものを視覚以外の感覚に頼って探し当てるという意味では、「手探り」(読み方:てさぐり)という言葉を考えると分かりやすくなります。どのポケットに入れていたのか分からないときや、辺りが暗くて視覚に頼れない時に、「手探り」と表現します。
ここからは、「見えないものの姿形を明らかにする」という意味を説明します。
「探りを入れる」の使い方
「探りを入れる」という言葉があります。これは疑わしい人物に接近し、それとなく情報を得ようとすることを表現します。全容がはっきりしない状況を「明らかにする」ために探りを入れます。類義語に「洗う」や「質す/糾す」(読み方:ただす)があります。
「原因を探る」「突破口を探る」の使い方
「原因を探る」や「突破口を探る」のような表現もあります。この場合には、原因や突破の糸口が具体的にどんなものかは未知です。それの具体的な内容を「明らかにする」ために探るのです。「探究」という言葉に近いです。
「秋を探る」「秘境を探る」の使い方
「京都の秋を探る」や「秘境を探る」という表現もあります。景観の素晴らしい姿や、人の知らない姿を求めて「探訪する」(読み方:たんほうする)ことが表現されています。人づてには知ることの出来ない、土地の真の姿を「明らかにする」という意味です。
この意味の「探る」に近いのは、「探検」や「探索」という言葉です。
表現方法は「可能性を探る」「腹を探る」「方法を探る」
上記以外では「可能性を探る」「腹を探る」「方法を探る」などが、探るを使った一般的な言い回しです。
「探る」の類語
探るの類語・類義語としては、未知のものを調査し実態を明かすことを意味する「探検する」、物事を念入りに調べることを意味する「吟味する」などがあります。
「探す」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、なくしたもの、欲しいものを表現したい時などが挙げられます。「なくしたもの」も「欲しいもの」も、ともに手元にないという共通点があることが分かると、「探す」という言葉への理解が深まります。
「探す」ことが出来るためには、予めそれを知っている必要があります。「なくしたもの」も「欲しいもの」もどちらも何らかの意味で知っていなければ探すことが出来ません。「探す」という言葉を使う時には、「既知である」点にも意識を向けてみて下さい。
「探る」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、手元にあるものを視覚に頼らずに手で探すことや、「未知のもの」の姿形を「明らかにする」ことを表現したい時などが挙げられます。
例文1の「手探り」という意味が、「探る」の中で一番分かりやすいものです。その他の意味がしっくりくるためには、この言葉に慣れることが必要になります。ひとまず「物には探す」で「場所や原因には探る」と覚えておくだけでも、表現の幅が広がります。