似た意味を持つ「ファンタジー」と「メルヘン」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「ファンタジー」と「メルヘン」という言葉は、「非現実的な空想世界」という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
ファンタジーとメルヘンの違い
ファンタジーとメルヘンの違いを分かりやすく言うと、ファンタジーは現実世界とつながりのある世界を表現する時に使い、メルヘンは現実世界とつながりのない世界を表現する時に使うという違いです。
一つ目のファンタジーを使った分かりやすい例としては、「ファンタジー世界に行くとしたらどんな世界がいいだろう」「ファンタジーばかり読まずに新聞なども読むべきだ」「ダークファンタジー漫画で好きな作品が舞台化されるらしい」などがあります。
二つ目のメルヘンを使った分かりやすい例としては、「メルヘンな家が出てくるような物語を読んでいる」「男の子でもメルヘンチックな趣味を持つことはある」「メルヘンな人というのは褒め言葉なのだろうか」などがあります。
ファンタジーとメルヘンはどちらも、非現実的な空想世界を意味する言葉ですが、指し示すものが若干異なります。
ファンタジーは、空想や幻想によって生み出された物語を指す言葉です。現実世界には存在しえない物事が描写されることがほとんどですが、舞台となる世界が現実世界とほとんど同じであり、実際に起こりうる可能性がある場合にも使われています。
一方のメルヘンは、昔から伝えられてきたおとぎ話や童話を指す言葉です。現実世界では起こりえないことが普通とされる世界観で、その作品における特別なルールのもとで物語が展開されています。
つまり、ファンタジーは現実世界とつながりのある世界を舞台する作品に対して使い、メルヘンは現実世界とつながりのない世界を舞台とする作品に対して使うという違いがあります。
ファンタジーを英語にすると「fantasy」となり、例えば上記の「ファンタジー世界」を英語にすると「a fantasy world」となります。
一方、メルヘンを英語にすると「fairy tale」「fairy-tale」となり、例えば上記の「メルヘンな家」を英語にすると「a fairy tale house」となります。
ファンタジーの意味
ファンタジーとは、空想や幻想によって生み出された物語を意味しています。
ファンタジーを使った分かりやすい例としては、「ハイファンタジーで描写の優れている本は没入感を持てる」「ファンタジーな背景を描くために資料を用意する」「ファンタジー系でオススメ作品を教えてほしい」などがあります。
その他にも、「ローファンタジーは存在する地名などもあれば少し変えられている地名もある」「ファンタジー漫画は一度読むと止められない」「サイエンスフィクションファンタジーは現実にもあるような事象を扱っておりおもしろい」などがあります。
ファンタジーは英語で「fantasy」と表記され、「想像」「空想」「奇抜な考え」といった意味を持ちます。日本語でも同じように使われ、幻想的なテーマを扱う文学作品やジャンルを指す言葉としても使われています。
魔法や空想が特徴とされることが多くありますが、ファンタジーを「架空の設定のもとで展開される作品」と広義的に定義することで、自然科学が重要とされる「サイエンスフィクション」もファンタジーに含むと考えられることもあります。
上記例文の「ハイファンタジー」とは、現実世界とのつながりがない架空の神話的世界を舞台とした物語作品やそのジャンルを指す言葉です。神話的ではなく、現実世界とつながりのある世界や現実世界を舞台とする「ローファンタジー」が対義語に当たります。
ファンタジーの類語・類義語としては、作者の想像力によって作り上げられた架空の物語を意味する「フィクション」、仮想的や擬似的を意味する「バーチャル」、現実にはないことを存在するかのように思い描くことを意味する「幻想」などがあります。
メルヘンの意味
メルヘンとは、おとぎ話や童話を意味しています。
メルヘンを使った分かりやすい例としては、「メルヘンチックな趣味を持つ自分は家具に悩むことが多い」「メルヘン調の絵柄で水彩画のイラストを描いている作家を好んで見ている」「メルヘンな家にはお菓子で出来た家などがある」などがあります。
その他にも、「メルヘンではしゃべる動物が出てきてもおかしくはない」「好きなメルヘンには魔女が出てくるが最後は陰惨な結末を迎える」「友人にメルヘン女子がいるが常に可愛らしいものを身にまとっている」などがあります。
メルヘンは英語で「fairy-tale」と表記され、「おとぎ話のような」「夢のような」といった意味を持ちます。本来ドイツ語で「Märchen」と表記される言葉で、文体の短い物語を意味する「メーレ」に小さい様子を意味する語尾が組み合わせられてできた語です。
そのため、「短い話」を指し、具体的には「白雪姫」「人魚姫」などの童話やおとぎ話が該当し、話すことのできる動物であったり、魔法使いや魔女など現実には存在しえないものが存在する世界観で物語が展開されているのが特徴です。
上記例文の「メルヘンチック」とは、童話の世界ではありえるような様子を意味する和製語です。他の語を伴うことで「らしい」という意味を持たせる接尾語の「チック」を組み合わせることで、「メルヘンタッチ」とも呼ばれています。
また、「メルヘン女子」「メルヘン男子」などの使い方で、メルヘンを好むような女性や男性を指すだけでなく、現実離れした考え方や言動をする人や夢見がちな人に対して使われることもあり、その場合は失礼になることもあるため留意が必要です。
メルヘンの対義語・反対語としては、現実に即していることを意味する「リアル」があります。
メルヘンの類語・類義語としては、子どものために作られたおとぎ話や伝説を意味する「童話」、童話やおとぎ話を意味する「フェアリーテール」、俗界を離れた別世界を意味する「桃源郷」、昔の人の言葉を意味する「古言」(読み方:こげん)などがあります。
ファンタジーの例文
この言葉がよく使われる場面としては、空想や幻想によって生み出された物語を意味する時などが挙げられます。
例文5の「ファンタジーな人」とは、浮世離れしている人や他の人とは異なる感性を持つ人に対して使われる言葉で、場合によっては世間知らずな人を指す場合もあります。
メルヘンの例文
この言葉がよく使われる場面としては、おとぎ話や童話を意味する時などが挙げられます。
物語だけではなく人に対しても使われますが、例文4はメルヘンを好むような人に対して使われ、例文5は現実離れした言動をする人に対して使われており、後者の使い方の場合は相手を不快にさせる恐れがあるため留意が必要です。
ファンタジーとメルヘンは、どちらも「空想世界」を表します。どちらを使うか迷った場合は、現実世界とつながりのある世界を表す場合は「ファンタジー」を、現実世界とつながりのない世界を表す場合は「メルヘン」を使うと覚えておけば間違いありません。