似た意味を持つ「徒労感」(読み方:とろうかん)と「疲労感」(読み方:ひろうかん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「徒労感」と「疲労感」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
徒労感と疲労感の違い
徒労感と疲労感の意味の違い
徒労感と疲労感の違いを分かりやすく言うと、徒労感とは努力が報われない時に精神的に感じるもの、疲労感とは労力のあとに身体的精神的に感じるものという違いです。
徒労感と疲労感の使い方の違い
一つ目の徒労感を使った分かりやすい例としては、「練習の成果が報われず徒労感が残る試合だった」「キャンセル処理の徒労感に負けそうだ」「努力が無駄になり徒労感に襲われる」「焦りと徒労感に苛まれる日々です」などがあります。
二つ目の疲労感を使った分かりやすい例としては、「一仕事を終えて疲労感でいっぱいです」「十分寝ているはずなのに疲労感が抜けない」「疲労感が続くので仕事に集中できない」「一晩寝たのに疲労感が取れない」などがあります。
徒労感と疲労感の使い分け方
徒労感と疲労感とは、何かのために精を出して働いたり、仕事に励んだりした後などに生じる感覚であり、似た表現をする言葉ですが、意味や使い方は異なります。
徒労感とは、何かのために頑張ったのに期待した結果にならず、報われないで疲れだけが残ったような感覚を意味します。徒労感の「徒」とは何の役にも立たない無駄なことを表し、徒労感とは、努力や労力が無益であったとネガティブな意味合いを持つ言葉です。
疲労感とは、労力を使って身体や精神が疲れる状態や感覚を意味します。疲労感の「疲」とは、体力や気力がなくなってぐったりとする疲れを表し、例えば、スポーツの大会で勝っても負けても感じるものです。疲労感とは、労力が無益か有益かに関係なく感じる疲れを表す言葉なのです。
つまり、徒労感は努力が報われない時に精神的に感じるものであり、疲労感とは労力を使った後に感じる身体的な疲れや精神的な疲れのことなのです。
「徒労感を感じる」と「疲労感を感じる」は誤り
なお、「徒労感を感じる」「疲労感を感じる」という言い回しは二重表現になり、誤った表現になります。二重表現とは「頭痛が痛い」のように同じ意味の言葉を重ねることで、一般的に誤用とされています。「徒労感を抱く」「疲労感を覚える」などと言い換えるようにしましょう。
徒労感と疲労感の英語表記の違い
徒労感を英語にすると「a sense of futility」となり、例えば上記の「徒労感が残る」を英語にすると「be left with a sense of futility」となります。
一方、疲労感を英語にすると「a feeling of fatigue」「sensation of weariness」となり、例えば上記の「疲労感でいっぱいです」を英語にすると「be filled with a feeling of fatigue」となります。
徒労感の意味
徒労感とは
徒労感とは、行為などが無駄になり疲れだけが残ったような感覚のことを意味しています。
表現方法は「徒労感に苛まれる」「徒労感でいっぱい」「徒労感に襲われる」
「徒労感に苛まれる」「徒労感でいっぱい」「徒労感に襲われる」などが、徒労感を使った一般的な言い回しです。
徒労感の使い方
徒労感を使った分かりやすい例としては、「いくら説明しても分かってもらえず徒労感に苛まれる」「東奔西走したが徒労感だけが残った」「同じことが続き徒労感に襲われる」「何とも言えない徒労感を味わった」などがあります。
その他にも、「一生懸命働いても徒労感が募るばかりだ」「作品が完成せずアトリエには徒労感が漂う」「内定辞退が相次ぎ徒労感に苛まれる」「先の見えない在宅介護に徒労感を覚える」などがあります。
徒労感という言葉の「徒労」とは、無駄な骨折りや、無益な苦労を意味します。徒労感とは、苦労してやったことが報われない時に疲れだけが残り虚しく感じたり、無駄な努力のために費やした時間や労力を馬鹿らしく感じる時に使われる言葉です。
徒労感の対義語
徒労感の対義語・反対語としては、あることを成し遂げたことによって得られる満足感を意味する「達成感」、意味や価値があると考えられることを意味する「有意義」、建設的で意義のあるさまを意味する「生産的」などがあります。
徒労感の類語
徒労感の類語・類義語としては、心をわずらわし身を疲れさせることを意味する「煩労」、苦労したことがなんの役にも立たないことを意味する「無駄骨折り」、いくら努力してもくたびれるだけでなんの効果もないことを意味する「草臥れ儲け」などがあります。
疲労感の意味
疲労感とは
疲労感とは、身体的・精神的に疲れている感覚を意味しています。
表現方法は「疲労感が抜けない」「疲労感が取れない」「疲労感がすごい」
「疲労感が抜けない」「疲労感が取れない」「疲労感がすごい」などが、疲労感を使った一般的な言い回しです。
疲労感の使い方
疲労感を使った分かりやすい例としては、「疲労感が抜けないので栄養ドリンクを飲む」「疲労感の回復にはスタミナ料理が良いだろう」「疲労感に効くというサプリを買った」「日中の眠気や疲労感が消えない」などがあります。
その他にも、「しっかり休んだのに疲労感が取れない」「ストレッチをしたら疲労感が少し和らいだ」「疲労感と倦怠感の違いを調べる」「疲労感が取れなくて体が鉛のように重たい」「疲労感で体が動かない」などがあります。
疲労感という言葉の「疲労」とは、 運動や作業を続けた結果としてそれらの能力が低下した状態を意味します。日常的な言葉として「身体的疲労」「精神的疲労」と使われているように、身体的な疲れだけでなく、精神的なな疲れを感じる時にも疲労感という言葉が使われています。
疲労感の対義語
疲労感の対義語・反対語としては、精神や気分などが高まることを意味する「高揚」、生き生きとして元気のよいさまを意味する「溌剌」、満ち足りたという感じを意味する「満足感」、望み通りに満たされて満足した感情や感覚を意味する「充足感」などがあります。
疲労感の類語
疲労感の類語・類義語としては、困って疲れはてることを意味する「困憊」、身心を損ねるほど働きすぎて疲れがたまることを意味する「過労」、心身が疲れて弱ることを意味する「疲弊」、体力や気力を使い果たすことを意味する「消耗」などがあります。
徒労感の例文
この言葉がよく使われる場面としては、行いなどが無駄になり馬鹿らしく感じること、頑張った結果などが報われないで疲れだけが残ったような感覚のことを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「徒労感に苛まれる」とは、期待した結果にならずに疲れだけが残った感覚に苦しめしめられている状態を表します。「苛まれる」とは、心が責め立てられて苦しくなることです。
例文4では、やってもやっても終わりが見えず無意味に感じて疲れてしまうことを「徒労感」と表現しています。
疲労感の例文
この言葉がよく使われる場面としては、身体的または精神的に疲れている感覚を表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2にあるように疲労感と似た言葉に倦怠感があり、倦怠感は心身が疲れてだるい感じを意味します。例文4にある「疲労感が抜けない」と疲労感が取れないことであり、「抜ける」とは好ましくない状態から離れることを表します。
徒労感と疲労感どちらの言葉を使うか迷った場合、頑張った結果などが報われないで疲れだけが残ったような感覚を表現したい時は「徒労感」を、身体的または精神的に疲れている感覚を表現したい時は「疲労感」を使うようにしましょう。