【体現】と【実現】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「体現」(読み方:たいげん)と「実現」(読み方:じつげん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「体現」と「実現」という言葉は、どちらもを「目に見える形にすること」意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




体現と実現の違い

体現と実現の意味の違い

体現と実現の違いを分かりやすく言うと、体現とは意志をもって目に見える形にすることを表し、実現とは考えていることを現実のものにすることを表すという違いです。

体現と実現の使い方の違い

一つ目の体現を使った分かりやすい例としては、「ブランドコンセプトを体現するデザイン」「英語教育への理想を体現するために開学しました」「日本人の精神を体現した食文化があります」「ものづくりの真髄を体現した作品です」などがあります。

二つ目の実現を使った分かりやすい例としては、「戦争のない平和な世界は実現するのだろうか」「脱炭素社会実現に向けた取り組み」「夢を実現させる方法を考える」「仕事を通じて実現したいことはありますか」などがあります。

体現と実現の使い分け方

体現と実現という言葉は、どちらも理念や考えを具体化したり、現実のものとすることを表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。

体現とは、理念など形のない精神的な事柄を、具体的な姿に表すことを意味します。上記の例文にある「理想を体現する」とは、心に描く理想的な姿を実現させようと努力する行動のことです。自らが行うという強い意志を表現したい時に、体現という言葉が用いられています。

実現とは、計画や期待などが現実のものになることや、現実のものとすることを意味し、考えていたことが実際に現れることを表します。「夢を実現する」とは、将来かなえたいと思っている事柄が現実のものとなることです。

つまり、体現と実現の違いは意志の強さにあります。体現は意志をもって目に見える形にすることを表現し、実現とは思い描いていたことが現実のものとなることを表す言葉なのです。

体現と実現の英語表記の違い

体現を英語にすると「embodiment」「personification」「impersonation」となり、例えば上記の「コンセプトを体現する」を英語にすると「embody the concept」となります。

一方、実現を英語にすると「attainment」「realization」「satisfaction」となり、例えば上記の「実現する」を英語にすると「be brought to realization」となります。

体現の意味

体現とは

体現とは、思想や観念などを具体的な形であらわすこと、身をもって実現することを意味しています。

体現の読み方

体現の読み方は「たいげん」です。誤って「ていげん」などと読まないようにしましょう。

表現方法は「体現する」「体現させる」「体現者」

「体現する」「体現させる」「体現者」などが、体現を使った一般的な言い回しです。

体現の使い方

体現を使った分かりやすい例としては、「文武両道を身をもって体現する」「言葉を超えた介護の本質を体現する」「小村寿太郎は近代日本外交の体現者だろう」「観音菩薩は慈悲の心を体現した」などがあります。

その他にも、「オリンピックでスポーツマンシップを体現する」「心のバリアフリーを体現する人に出会いました」「子どもの前で道徳観を身をもって体現する」「これまで学んだことを体現化する」などがあります。

体現とは、思想や観念など精神的な目に見えないものを、具体的な形にすることや身をもって実行することです。体現の「体」はそのものとしての姿や形、「現」は見えなかったものが見えてくることを表す漢字です。

「体現者」の意味

体現を用いた日本語には「体現者」があります。体現者とは、理論や思想を実践する者を意味し、ある観念や概念を自分の体験として具体的に生きた人間を指す言葉です。「共産主義の体現者」のように使います。

体現の対義語

体現の対義語・反対語としては、現実には存在しない事柄を心の中に思い描くことを意味する「想像」、現実にはあり得ないような事柄を想像することを意味する「空想」などがあります。

体現の類語

体現の類語・類義語としては、内面的なものを感性的形象として客観化することを意味する「表現」、心の中にあるものが外にあらわれでることを意味する「表出」、実際に具体的な形に現すことを意味する「具現」などがあります。

実現の意味

実現とは

実現とは、計画・期待などが現実のものになることを意味しています。

実現の読み方

実現の読み方は「じつげん」です。誤って「みげん」などと読まないようにしましょう。

表現方法は「実現する」「実現させる」「実現を目指す」

「実現する」「実現させる」「実現を目指す」などが、実現を使った一般的な言い回しです。

実現の使い方

実現を使った分かりやすい例としては、「英語教師になる夢を実現するために努力する」「その計画は本当に実現するのだろうか」「プロジェクトの実現可能性を明らかにする」「事業計画の実現性が予測できない」などがあります。

その他にも、「目標達成を実現する人には共通の考え方があります」「評価の高い英語プレゼンを実現させる方法があります」「株の実現損益がマイナスになってしまった」「実現主義の原則に基づいて利益を計算する」などがあります。

実現とは、計画が実際のものになること、予期したことが現実化すること、希望などを現実のものとすることなどを意味する言葉です。日常会話からビジネスの場まで、幅広いシーンで使用されています。

「実現損益」の意味

上記の例文にある「実現損益」とは、資産運用をした結果、実際に得られた利益や損失を意味します。保有する株式などを売却したり、決済するなどによって確定する損益のことです。評価損益や未収利息は含みません。

「自己実現」の意味

実現を用いた日本語には「自己実現」があります。自己実現とは、もともと心理学用語で、人間が持つ高度な目的であり、自分の能力を発揮することを通して、自分らしい生き方をすることを意味します。一般的には、自分の理想の実現に向けて努力し、成し遂げることの意味で用いられています。

実現の対義語

実現の対義語・反対語としては、ある事を行うために計画をたてることを意味する「企画」、ある事を行うために方法や順序などを考えることを意味する「計画」、これからしようとする物事について骨組みをまとめることを意味する「構想」などがあります。

実現の類語

実現の類語・類義語としては、実際に行うこを意味する「実行」、主義や理論などを実際に自分で行うことを意味する「実践」、決めたことや言ったことなどを実際に行うことを意味する「履行」、物事が起こることを意味する「発生」などがあります。

体現の例文

1.会社の経営理念やビジョンを体現させるのは、そこで働く従業員一人ひとりです。
2.時間の使い方が様々になっている昨今、柔軟な働き方を体現する会社が増えています。
3.工作が苦手な子がアートを体現するような、新しい表現活動を模索しています。
4.お釈迦さまの教えが体現されるならば、誰もが幸せな人生を送ることが出来るであろう。
5.心に描く理想を体現する人は少ないものですが、その努力は誰もがすべきだと思います。
6.その建築物は、持続可能性を体現したデザインであり、環境に配慮した建築手法を示しています。
7.あの映画は、戦争の悲劇を体現した作品であり、観客の人々に平和とは何かを問うています。
8.彼女のファッションスタイルは、個性と自己表現を体現したものであり、流行にとらわれません。
9.この杉の大木は、我々の人生が儚くちっぽけに感じるような、悠久の時間を体現している。
10.小村寿太郎は近代日本の外交の体現者であり、外交官であれば誰もが理想とする人物であろう。

この言葉がよく使われる場面としては、理念など形のない精神的な事柄を、具体的な姿形に表すことを表現したい時などが挙げられます。

例文3にある体現と表現の違いは、体現は考えなど抽象的なものを具体的な形にすることを表し、一方の表現は自己の内面的なものを外に出す点にあります。

実現の例文

1.自動車業界では、燃費向上や排出ガスの低減を実現させるシステムが続々と開発されています。
2.世界をあげて脱炭素社会を掲げているが、そう簡単に実現するとは思えません。
3.本校ではグローバル人材の育成を図るため、系統的な英語教育の実現を目指しています。
4.今後のまちづくり事業実現化に向けては、多くの住民が参画できるよう推進していくべきです。
5.ビジネスプランをプロジェクトを計画する際には、事前に実現可能性を調査するべきです。
6.授業参観で子どもたちの将来の夢を聞いて、親バカかもしれないが息子の夢が実現するよう祈っている。
7.我々はクラウドソーシングの発展によって、地理的な制約を超えた仕事の柔軟性が実現し、新たな雇用機会が生まれることを期待しています。
8.これらの新たな医療技術の発展によって、難病の治療法が実現し、多くの人々の命が救われるでしょう。
9.友人は海外で日本語教師になる夢を実現するために毎日努力していましたから、現在の活躍を見ると嬉しくなりました。
10.我が社では水素エネルギー社会の実現を目指すために、水素発電の設備を増やしていくことも目標としています。

この言葉がよく使われる場面としては、計画や希望などを現実のものとすることを表現したい時などが挙げられます。

例文5の「実現可能性」は、ビジネスの場で「フィジビリティ」とも呼ばれ、実現する見込みを表します。事業計画やビジネスプランについて実現可能であるかどうか検討したり、調査したりすることを「フィジビリティスタディ」と言います。

体現と実現という言葉は、どちらも「目に見える形にすること」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、意志をもって具体的な形にすることを表現したい時は「体現」を、考えていることを現実のものにすることを表現したい時は「実現」を使うようにしましょう。

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