【持ち前】と【根っから】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「持ち前」(読み方:もちまえ)と「根っから」(読み方:ねっから)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「持ち前」と「根っから」という言葉は、どちらも元からそうであることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




「持ち前」と「根っから」の違い

「持ち前」と「根っから」の意味の違い

「持ち前」と「根っから」の違いを分かりやすく言うと、「持ち前」とは生まれつきというニュアンスがある、「根っから」とは生まれつきというニュアンスがないという違いです。

「持ち前」と「根っから」の使い方の違い

一つ目の「持ち前」を使った分かりやすい例としては、「彼は持ち前の笑顔でみんなを引っ張る」「持ち前のパワーで机を持ち上げる」「持ち前の土地に家を建てる」「彼の持ち前の優しさはみんなに好かれている」などがあります。

二つ目の「根っから」を使った分かりやすい例としては、「彼は根っからの負けず嫌いです」「彼女は根っからの東京育ちだ」「彼は根っから信用できません」などがあります。

「持ち前」と「根っから」の使い分け方

「持ち前」と「根っから」はどちらも元からそうであることを意味しており、似たような形で使うことができます。あえて違いを挙げるならば、「持ち前」は生まれつきというニュアンスを持っているのに対して「根っから」生まれつきというニュアンスがないという点です。

ただし、「根っから」は今現在よりも前からという意味で使うので、生まれてから都会や関西で育った場合などに、「根っからの都会育ち」や「根っからの関西人です」などと使うことができます。

その他の違いを挙げるならば、「持ち前」は各自が所有している部分や担当している役割のことの意味を持っているのに対して、「根っから」は打消しの語や否定的な表現を伴って少しものことの意味で使うという点です。

「持ち前」と「根っから」の英語表記の違い

「持ち前」を英語にすると「one’s nature」となり、例えば上記の「彼の持ち前の優しさはみんなに好かれている」を英語にすると「His gentle nature is loved by everyone」となります。

一方、「根っから」を英語にすると「by nature」「born」「to the core」となり、例えば上記の「彼女は根っからの東京育ちだ」を英語にすると「She was born and raised in Tokyo」となります。

「持ち前」の意味

「持ち前」とは

「持ち前」とは、その身に生まれつき備わっているもののことを意味しています。 その他にも、各自が所有している部分や担当している役割のことの意味も持っています。

表現方法は「持ち前の優しさ」「持ち前の能力」「持ち前の根性」

「持ち前の優しさ」「持ち前の能力」「持ち前の根性」「持ち前の向上心」「持ち前の明るさ」「持ち前の努力」「持ち前の行動力」「持ち前のバイタリティ」などが、「持ち前」を使った一般的な言い回しになります。

「持ち前」の使い方

「持ち前の明るさでみんなを元気づける」「彼は持ち前のフットワークを活かして仕事をこなす」の文中で使われている「持ち前」は、「その身に生まれつき備わっているもの」の意味で使われています。

一方、「部下が困っていたので持ち前の仕事を手伝る」「持ち前の土地にマンションを建てる」などの文中で使われている「持ち前」は、「各自が所有している部分や担当している役割のこと」の意味で使われています。

「持ち前」は二つの意味を持つ言葉ですが、一般的に使うのはその身に生まれつき備わっているもののことの意味です。また、日常生活とビジネスシーンの両方で使えるのも特徴の一つです。

「持ち前」の類語

「持ち前」の類語・類義語としては、生まれつきそのようであることを意味する「天性」、最初からそういう状態や性質であることを意味する「元来」、割り当てたもののことを意味する「割り当て」などがあります。

「根っから」の意味

「根っから」とは

「根っから」とは、元からのことを意味しています。その他にも、打消しの語や否定的な表現を伴って少しものことの意味も持っています。

表現方法は「根っからの悪人」「根っからのクズ」「根っからの善人」

「根っからの悪人」「根っからのクズ」「根っからの善人」などが、「根っから」を使った一般的な言い回しになります。

「根っから」の使い方

「彼は根っからの関西人です」「彼は根っからの勝負師です」「彼女は根っからの怠け者だ」「根っからの悪人なんていないだろう」などの文中で使われている「根っから」は、「元からのこと」の意味で使われています。

一方、「彼のことは根っから当てにしていない」「英語は根っからダメなんです」などの文中で使われている「根っから」は、「打消しの語や否定的な表現を伴って少しも」の意味で使われています。

「根っから」は元からのこと、つまり今現在よりも前からという意味で使うのが一般的です。また、打消しの語や否定的な表現を伴って少しもや全くなどの意味で使うこともできます。

「根っから」の類語

「根っから」の類語・類義語としては、打ち消しの表現を伴って少しものことを意味する「全然」、打ち消しの表現を伴って全くのことを意味する「からきし」などがあります。

「持ち前」の例文

1.彼女は持ち前の推理力と行動力で難事件を解決していく、捜査一課のエースです。
2.彼は持ち前の明るい性格を武器に、営業や広報活動を行っています。
3.移籍当初は控えに甘んじていたが、持ち前の能力を発揮してスタメンを奪取してからはチームの柱としてプレーし続けている。
4.彼は持ち前の仕事を完璧にこなすので、社員みんなから頼りにされています。
5.タワーマンションを建設するので、持ち前の土地を譲って欲しいと不動産屋から連絡がありました。
6.都会から来た少年はまだこの学校に転校してきて半月も経っていないが、持ち前のフットワークの軽さで、あっという間に友達を作っていたのですごいと思っていた。
7.大地震による大津波でお店はすべて流されてしまい、彼女はもはや一文無しの状態だったが、持ち前の忍耐力とまわりの協力のおかげで、5年後にはお店を再開することができた。
8.社員たちがプロジェクトの失敗を落胆していても、彼だけは持ち前のポジティブさで、皆を励ましていたので、その後の彼の評価が一変して良くなったように思えた。
9.当初海外生活は大変なこともあったけど、持ち前の明るさのおかげで現地の友達には事欠かなかったので、いろいろ助けてもらって今では楽しく過ごしているよ。
10.彼はフリーランスのウェブデザイナーとしては駆け出しで何のツテもなかったのだが、持ち前の行動力が功を奏して、次々と大きな仕事を獲得していったのだった。

この言葉がよく使われる場面としては、その身に生まれつき備わっているもののことを表現したい時などが挙げられます。 その他にも、各自が所有している部分や担当している役割のことを表現したい時にも使います。

例文1から例文3の「持ち前」は、その身に生まれつき備わっているものの意味で使っており、例文4と例文5の「持ち前」は各自が所有している部分や担当している役割のことの意味で使っています。

「根っから」の例文

1.私は根っからの関西人ですが、職場では標準語で話すようにしています。
2.私の父は根っからのジャイアンツファンで、テレビ中継を欠かさず観ています。
3.彼は根っからの悪人ではないので、きっと改心して戻ってくるはずです。
4.昔から文章を書くことが根っからダメなので、理系に進学した方がいいだろう。
5.彼女を説得しようなんて根っからダメだった、もう諦めることにしよう。
6.男は根っからの東京下町育ちで、うだうだ愚痴をいわずにスパッというところがあるので、見ているこっちもなんだか気持ちがスカッとするのだ。
7.男のような根っからのクズというのは何をやってもクズなので、人からは蔑みの対象だが、やはりクズなのでそんなこともお構いなしといった感じであった。
8.彼はクラスメイト思いのいいやつなのだが、一方で根っからの負けず嫌いが影響して、他校の不良からの挑戦状を受けてしまう悪癖があったのだ。
9.父親は根っからの人好きのせいで、連帯保証人を安請け合いしていたことがわかり、わたしたち家族は突如借金まみれになって厳しい取り立てにさらされた。
10.わたしは根っからの甘いもの好きなので、旅行に行くとかならずご当地の銘菓がないかとあちこち探しまわったり、おいしいスイーツ屋さん巡りをしたりするのが定番である。

この言葉がよく使われる場面としては、元からのことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、打消しの語や否定的な表現を伴って少しものことを表現したい時にも使います。

例文1から例文3の「根っから」は元からのことの意味で使っており、例文4と例文5の「根っから」は打消しの語や否定的な表現を伴って少しものことの意味で使っています。

「持ち前」と「根っから」という言葉は、どちらも元からそうであることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、生まれつきというニュアンスがある時は「持ち前」を、生まれつきというニュアンスがない時は「根っから」を使うようにしましょう。

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