似た意味を持つ「虎穴に入らずんば虎子を得ず」(読み方:こけつにはいらずんばこじをえず)と「危ない橋を渡る」(読み方:あぶないはしをわたる)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」と「危ない橋を渡る」という言葉は、どちらも危険を犯して挑戦することを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」と「危ない橋を渡る」の違い
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」と「危ない橋を渡る」の意味の違い
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」と「危ない橋を渡る」の違いを分かりやすく言うと、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」よりも「危ない橋を渡る」の方が法律に違反するような行為を行うというニュアンスが強いという違いです。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」と「危ない橋を渡る」の使い方の違い
一つ目の「虎穴に入らずんば虎子を得ず」を使った分かりやすい例としては、「虎穴に入らずんば虎子を得ずというし、難しいことにもチャレンジしてみよう」「虎穴に入らずんば虎子を得ずなので、前に進むことにしました」などがあります。
二つ目の「危ない橋を渡る」を使った分かりやすい例としては、「生活が苦しいからといって、危ない橋を渡るのは辞めた方がいいだろう」「貧しい私たちがのし上がるためには危ない橋を渡るしかありません」などがあります。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」と「危ない橋を渡る」の使い分け方
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」と「危ない橋を渡る」はどちらも危険を犯して挑戦することを意味しており、大きな違いはありません。
あえて違いを挙げるならば、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」よりも「危ない橋を渡る」の方が法律に違反するような行為を行うというニュアンスが強いという点です。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」と「危ない橋を渡る」の英語表記の違い
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」を英語にすると「Nothing ventured, nothing gained」となります。一方、「危ない橋を渡る」を英語にすると「tread on thin ice」となります。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の意味
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」とは
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」とは、危険を冒さなければ大きな成功は得られないことを意味しています。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の使い方
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」を使った分かりやすい例としては、「虎穴に入らずんば虎子を得ずなので、起業してみようと思います」「虎穴に入らずんば虎子を得ずの精神で頑張ります」などがあります。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」は危険を冒さなければ大きな成功は得られないことを意味することわざです。ことわざとは、古くから言い伝えられてきた教訓または風刺の意味を含んだ短い言葉のことを意味しています。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の由来
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の由来は漢の武将である班超が兵士に向けて言った言葉です。漢は中国の時代のことで、日本で表すと弥生時代になります。
漢の武将である班超の軍は漢の国から西城に派遣されました。班超たちは西城に着いたころは友好的な扱いを受けていたのですが、ある時から冷遇されるようになりました。なぜそうなったか探ってみると、漢の敵である北方の匈奴の使者が西城を訪れていたからでした。
それを知った班超の部下たちは、王が匈奴に寝返って自分たちは皆殺しにされてしまうかもしれないと不安を覚えました。班超は部下を勇気づけようと「虎穴に入らずんば虎子を得ずだ。夜襲を掛けよう」と言い士気を上げます。
そして夜襲を成功させ、見事匈奴の軍を破り勝利を収めたのでした。この話が元になり、危険を冒さなければ大きな成功は得られないことを「虎穴に入らずんば虎子を得ず」と言うようになりました。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」は成果を上げるにはそれなりの危険が伴っている場合や、成功を収めるための困難な状況で使う言葉と覚えておきましょう。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の対義語
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の対義語・反対語としては、用心の上にも用心深く物事を行うことを意味する「石橋を叩いて渡る」、苦労せずしてよいものを得ることを意味する「棚から牡丹餅」などがあります。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の類語
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の類語・類義語としては、危険を冒さなければいいものは得られないことを意味する「枝先に行かねば熟柿は食えぬ」、危険を避けてばかりでは成功できないことを意味する「危ない橋も一度は渡れ」などがあります。
「危ない橋を渡る」の意味
「危ない橋を渡る」とは
「危ない橋を渡る」とは、危険な手段を取ることを意味しています。
表現方法は「危ない橋を渡る人」「危ない橋を渡るとき」
「危ない橋を渡る人」「危ない橋を渡るとき」などが、「危ない橋を渡る」を使った一般的な言い回しになります。
「危ない橋を渡る」の使い方
「危ない橋を渡る」を使った分かりやすい例としては、「危ない橋を渡ることはできるだけ避けたいです」「彼は目的のためなら危ない橋を渡る恐ろしい人です」「無理して危ない橋を渡る必要はないだろう」などがあります。
「危ない橋を渡る」は危険な手段を取ることを意味することわざです。特に、法律に違反するような行為を行う場合に使われることが多いですが、それ以外でも使ってはいけないということはありません。
「危ない橋を渡る」の由来
「危ない橋を渡る」の由来は今でも落ちてしまいそうな頼りない吊り橋です。現代ではほとんどなくなりましたが、吊り橋は木で作られたものが大半でした。
向こう岸に渡るには吊り橋を使うしかない状況で、その吊り橋がボロボロで谷底に落ちるリスクがあったとしても向こう岸に行きたいのなら使うしかありません。このことが転じて、危険な手段を取ることを「危ない橋を渡る」というようになりました。
「危ない橋を渡る」の類語
「危ない橋を渡る」の類語・類義語としては、自分の利益にならないのに他人のために危険を冒すことを意味する「火中の栗を拾う」(読み方:かちゅうのくりをひろう)、危険性の高いことにあえて挑むことを意味する「火中に飛び込む」などがあります。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、危険を冒さなければ大きな成功は得られないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」は極めて困難な状況にある場合に使う言葉です。
「危ない橋を渡る」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、危険な手段を取ることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「危ない橋を渡る」は法律に違反するようなすれすれの行為を行う場合に使うことが多いです。
「虎穴に入らずんば虎子を得ず」と「危ない橋を渡る」はどちらも危険を犯して挑戦することを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」よりも「危ない橋を渡る」の方が、法律に違反するような行為を行うというニュアンスが強い場合に使うと覚えておきましょう。