似た意味を持つ「ハザード」と「リスク」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「ハザード」と「リスク」という言葉は、「危険なもの」という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
ハザードとリスクの違い
ハザードとリスクの意味の違い
ハザードとリスクの違いを分かりやすく言うと、ハザードは危険の原因を表現する時に使い、リスクは危険の原因によって影響を受ける可能性を表現する時に使うという違いです。
ハザードとリスクの使い方の違い
一つ目のハザードを使った分かりやすい例としては、「新しい街に引っ越してきたためハザードマップを確認する」「ハザードと人がどう関わるかによって災害の起こり方を知る」「ハザードからボールを出すのは一苦労だ」などがあります。
二つ目のリスクを使った分かりやすい例としては、「リスクを負うことを嫌がる若者は多い」「ローリスクであればローリターンなのも頷ける」「この件に関してリスクがあることは重々承知だ」などがあります。
ハザードとリスクの使い分け方
ハザードとリスクは、どちらも害がある可能性を持つものを指す言葉ですが、示すものの性質が若干異なります。
ハザードは、危険の原因、危険物や障害物を指す言葉として使われています。そのため、現状危険でなくても将来危険視されるような、潜在的に危険性を有しているものに対して使われます。
一方のリスクは、危険が生じる可能性や危険度を指す言葉として使われ、金融に関する損害や健康上悪影響なものなど幅広い分野で使われている言葉です。
厚生労働省では、ライオンを例に挙げて、ハザードはライオンそのものが持つ危険性を、リスクはライオンの近くへと寄ることで負傷する可能性を指すとしています。
つまり、ハザードは危険とされる原因を指し、リスクは言動などの外的な要因によって引き起こされる対象の危険性を指します。
ハザードとリスクの英語表記の違い
ハザードを英語にすると「hazard」となり、例えば上記の「ハザードマップ」を英語にすると「hazard map」となります。一方、リスクを英語にすると「risk」となり、例えば上記の「リスクを負う」を英語にすると「take a risk」となります。
ハザードの意味
ハザードとは
ハザードとは、危険の原因を意味しています。
その他にも、危険物や障害物を指す言葉としても使われています。
表現方法は「ハザードをたく」「ハザードをつけたまま」「ハザードがつかない」
「ハザードをたく」「ハザードをつけたまま」「ハザードがつかない」などが、ハザードを使った一般的な言い回しです。
ハザードの使い方
「ハザードマップと防災マップを一度は確認しておく」「ハザードの特定がされないままであれば労働者が病気になっていたかもしれない」「ハザードの除去を行うべきだ」などの文中で使われているハザードは、「危険の原因」の意味で使われています。
一方、「ハザードランプを点灯させてからバック駐車を行う」「ウォーターハザードのせいでダブルボギーで1ホール目を終えた」「公園内のハザードに早く気付けば救われる子どももいる」などの文中で使われているハザードは、「障害物」の意味で使われています。
ハザードは英語で「hazard」と表記され、危険や冒険、偶然を意味し、日本語でも同じように使われていますが、冒険といった意味で使われることはありません。
「ハザードマップ」の意味
上記例文の「ハザードマップ」とは、災害が発生した場合の被害を予測して、その範囲を地図に記したものを指す言葉です。危険を回避しながら避難所へと向かうルートを確認することができ、災害の種類によって地図は異なります。
「ハザードランプ」の意味
また、上記例文の「ハザードランプ」は車の機能の一つで、正式名称は「非常点滅表示灯」です。駐車を行う時、前方に他の車やその他障害物があるため原則することを後続車両に知らせる時などに使用されるランプです。
ハザードの対義語
ハザードの対義語・反対語としては、危険がない安らかな状態を意味する「安全」、変わったこともなく穏やかなことを意味する「平穏」、世の中が穏やかで安定していることを意味する「安寧」があります。
ハザードの類語
ハザードの類語・類義語としては、降りかかってくる不幸な出来事を意味する「厄災」、心配することを意味する「憂慮」、気がかりで落ち着かないことを意味する「不安」、突然の大変動を意味する「カタストロフ」などがあります。
リスクの意味
リスクとは
リスクとは、危険が生じる可能性や危険度を意味しています。
その他にも、損害や悪影響を受ける可能性を指す言葉としても使われています。
表現方法は「リスクが生じる」「リスクが高い」「リスクを冒す」
「リスクが生じる」「リスクが高い」「リスクを冒す」などが、リスクを使った一般的な言い回しです。
リスクの使い方
「ハイリスクハイリターンのデメリットが大きく踏み出せない」「事故のリスクが高い横断歩道には信号機をつけるべきだ」「リスクが低いとはいえ防止策を講じないわけではない」などの文中で使われているリスクは、「危険度」の意味で使われています。
一方、「リスクマネジメントではまず発生するリスクを確認する」「大きなリスクを冒すことを彼は厭わない」「リスクを伴う彼女のやり方は褒められたものではない」などの文中で使われているリスクは、「損害を受ける可能性」の意味で使われています。
リスクは英語で「risk」と表記され、危険や恐れを意味しますが、日本語でも同じように使われています。金融用語として使う場合は良いことが起こる可能性も含むとしている人もいるようですが、悪影響を及ぼすものに対して使われることがほとんどです。
高いリスクのものやその状態のものに対しては、「リスキー」という言葉に変化させて使われることもあります。
「ハイリスクハイリターン」の意味
上記例文の「ハイリスクハイリターン」とは、大きな収穫を得ることができる一方で損失が大きくなる可能性も高いという表現で、投資など金融に関する用語として使われていましたが、今日ではビジネスシーンから日常生活まで幅広い場面で使われています。
「リスクマネジメント」の意味
また、上記例文の「リスクマネジメント」とは、行動の結果を予測できない状態や、不測の結果が発生する可能性がある状態を回避するために管理することを意味する言葉で、ビジネスシーンで多く使われるプロセスです。
リスクの対義語
リスクの対義語・反対語としては、利益や恩恵を意味する「ベネフィット」、気がかりなことがなく心が落ち着くことを意味する「安心」があります。
リスクの類語
リスクの類語・類義語としては、生命にかかわるような危ないことを意味する「危難」、悪い結果が予測される危険な状況を意味する「危機」、危険が迫っており今のも滅びそうなことを意味する「風前の灯火」などがあります。
ハザードの例文
この言葉がよく使われる場面としては、危険の原因を意味する時などが挙げられます。
例文3から例文5のように、障害物や危険物を意味する言葉としても使われています。また、例文4の「ハザード」は車の「ハザードランプ」の略称です。
リスクの例文
この言葉がよく使われる場面としては、危険が生じる可能性や危険度を意味する時などが挙げられます。
例文3の「リスクヘッジ」とは、あらかじめ発生しうるリスクを予測して対応出来るように備えておくことを意味する言葉です。
ハザードとリスクは、どちらも「危険なもの」を表します。どちらを使うか迷った場合は、危険の原因を表す場合は「ハザード」を、危険の原因によって影響を受ける可能性を表す場合は「リスク」を使うと覚えておけば間違いありません。