似た意味を持つ「合致」(読み方:がっち)と「一致」(読み方:いっち)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「合致」と「一致」という言葉は、どちらも「複数の物事がぴったりと合うこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
合致と一致の違い
合致と一致の意味の違い
合致と一致の違いを分かりやすく言うと、合致とは抽象的な物事が合うことを表し、一致とは抽象的な物事だけでなく具体的な物事が合うことも表すという違いです。
合致と一致の使い方の違い
一つ目の合致を使った分かりやすい例としては、「世論と合致する政策を打ち出すことは難しい」「条件に合致するイラストレーターを探しています」「セキュリティ基準に合致しないので生成AIの利用を控えます」などがあります。
二つ目の一致を使った分かりやすい例としては、「一致団結は運動会に最適なスローガンです」「推定量の比較の基準に一致性と不偏性があります」「エクセルの関数で検索条件を一致させる」「偶然の一致にはスピリチュアルな力を感じる」「犯罪現場から採取した指紋と一致する」などがあります。
合致と一致の使い分け方
合致と一致という言葉は、どちらも二つ以上の物事がぴったりと合うことを表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
合致とは、互いに一致すること、ぴったりすることを意味します。「世論と合致する」「セキュリティ基準に合致しない」のような使い方で、抽象的なものの場合に使用されることが多い言葉です。
一致とは、二つ以上の物事が、食い違いなく同じになることを意味します。「偶然の一致」のような使い方で抽象的な物事に使用するだけでなく、「指紋と一致する」のような使い方で具体的な物事にも使用される言葉です。
つまり、合致とは抽象的な物事に用いられ、一致とは抽象的な物事だけでなく具体的な物事にも使用できる言葉です。二つの言葉はとてもよく似ていますが、使い方には違いがあることを覚えておきましょう。
合致と一致の英語表記の違い
合致も一致も英語にすると「accord」「coincidence」「agreement」となり、例えば上記の「世論と合致する」を英語にすると「accord with public opinion」となります。
合致の意味
合致とは
合致とは、ぴったり合うこと、一致することを意味しています。
合致の読み方
合致の読み方は「がっち」です。誤って「ごうち」「あいち」などと読まないようにしましょう。
合致の使い方
合致を使った分かりやすい例としては、「顧客の希望条件に合致した最適な提案をする」「勤務先とニーズが合致せず離職しました」「二人の意見は完全に合致している」「生徒の興味に合致するような英語の授業を行う」などがあります。
その他にも、「目的に合致するものを取捨選択する」「条件などが合致しないためにミスマッチが起こる」「ヤンキーの定義に合致する人を探す」「インスタで知り合ったオタクと渋谷で合致する」などがあります。
合致の「合」は訓読みっで「あう」「あわす」と読み、二つ以上のものが一緒になることを表し、「致」は物事の行き着くところを表す漢字です。これらの漢字が組み合わさり、合致とは、ある事柄とある事柄とがぴったりと合うことを意味します。
合致はオタク用語やヤンキー用語
合致という言葉は、オタク用語やヤンキー用語で、待ち合わせすることや合流して会うことの意味で使用されています。「ジャニヲタと合致する」「元ヤンとイオンで合致する約束をした」などと表現します。
合致の対義語
合致の対義語・反対語としては、物事がうまくかみ合わないことを意味する「齟齬」、二つのものの間にちがいがあることを意味する「相違」などがあります。
合致の類語
合致の類語・類義語としては、二つ以上の事柄がぴったりと照合することを意味する「符合」、二つ以上のものがまとまって一つになることを意味する「合体」、一つの目的のために多くの者が一つにまとまることを意味する「大同」などがあります。
一致の意味
一致とは
一致とは、二つ以上のものがぴったり一つになること、食い違いなく同じであること、合致を意味しています。
その他にも、「ごく普通の道理」の意味も持っています。
一致の使い方
「一致団結して頑張ろう」「英語の文字と読みを一致させる」「一致の定理を用いて複素関数の等式を調べる」「一致するまで終われまテンはZoomでも楽しめるゲームです」「完全一致検索で希望の品を見つける」などの文中で使われている一致は、「ぴったり一つになること」の意味で使われています。
一方、「常識や一致では説明できない不思議な出来事だった」「一致をわきまえて行動してください」「彼女は一致にはずれた言動が多すぎる」などの文中で使われている一致は、「ごく普通の道理」の意味で使われています。
一致とは、上記の例文にあるように二つの意味を持ちますが、一般的には「ぴったり一つになること」の意味で使用されています。現在、「ごく普通の道理」の意味で使用されることは、少なくなっています。
「完全一致」の意味
一致を用いた日本語には「完全一致」があります。完全一致とは、文字列を検索する手法の一つであり、文字の数や組み合わせがまったく同じになる文字列を探すことを意味します。対する言葉には「部分一致」があり、文字列の一部分が一致する検索方法を意味します。
一致の対義語
一致の対義語・反対語としては、ぴったり合わないことを意味する「不一致」などがあります。
一致の類語
一致の類語・類義語としては、物事がしっくり合うことを意味する「吻合」、一つにまとめることを意味する「一緒」、ずれや矛盾がなく前後上下などがそろうことを意味する「整合」、全体が一つにまとまることを意味する「揃う」などがあります。
合致の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、互いに一致すること、ぴったり合うことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、合致という言葉は、ニーズや意見など抽象的な事柄に使用されることがほとんどです。
一致の例文と使い方
この言葉がよく使われる場面としては、二つ以上の物事が一つになること、二人以上の人がある目的に向かって心を合わせることなどが挙げられます。
例文4にある「一致団結」とは、多くの人が心を一つに合わせて、堅く結ばれることを意味します。「団結」は心を堅く結び合わせて、共同の目的に向かうことです。
合致と一致という言葉は、どちらも「二つ以上の物事がぴったりと合うこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、抽象的な物事が合うことを表現したい時は「合致」を、抽象的な物事だけでなく具体的な物事が合うことも表現したい時は「一致」を使うようにしましょう。