似た意味を持つ「公募」(読み方:こうぼ)と「応募」(読み方:おうぼ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「公募」と「応募」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
公募と応募の違い
公募と応募の意味の違い
公募と応募の違いを分かりやすく言うと、公募とは一般から広く募集すること、応募とは募集に応じることという違いです。
公募と応募の使い方の違い
一つ目の公募を使った分かりやすい例としては、「助成事業の公募スケジュールが発表された」「絵画の全国公募展を紹介します」「公募される川柳大会をデータベース化する」「大学に公募推薦で受かる人もいます」などがあります。
二つ目の応募を使った分かりやすい例としては、「絵画コンクールに応募する」「応募用紙をプリントアウトする」「応募ハガキを締切日に出した」「採用枠に対して応募者が少ない」「皆様のご応募をお待ちしております」などがあります。
公募と応募の使い分け方
公募と応募という言葉は、音の響きが似ており、どちらも人や物を募集する場面で使われる言葉ですが、意味は大きく異なります。
公募とは、一般に広く呼び掛けて、人や物などを集めることを意味します。あるポストの人材を募集して選考のうえ採用したり、コンテストやコンクールで作品を集めて優秀な作品には賞を与えたりすることです。
応募とは、募集に応じて申し込みしたり、作品を送ったりすることを意味します。求人の募集に対して自ら希望して申し入れたり、コンテストやコンクールに作品を出品することです。
つまり、公募は募集することであり、応募は募集に対して申し込むことです。公募と応募とは、相反する立場の言葉であると言えるでしょう。
公募と応募の英語表記の違い
公募を英語にすると「public offering」「public placement」となり、例えば上記の「公募スケジュール」を英語にすると「schedule for public offering」となります。
一方、応募を英語にすると「subscription」「application」となり、例えば上記の「応募用紙」を英語にすると「application form」となります。
公募の意味
公募とは
公募とは、広く一般から募集することを意味しています。
その他にも、「広く不特定多数の投資家を対象に、新株または公社債を募集すること」の意味も持っています。
表現方法は「公募する」「公募をかける」「公募を行う」
「公募する」「公募をかける」「公募を行う」などが、公募を使った一般的な言い回しです。
公募の使い方
「政府は持続化補助金の公募を発表した」「公募推薦入試を受けることにした」「小説の公募に一次落ちした」「公募ガイドを定期購読している」「美術公募展の情報を集めたサイトです」などの文中で使われている公募は、「広く一般から募集すること」の意味で使われています。
一方、「公募価格を初値が上回った」「公募型プロポーザル方式の手続きをする」「今回の公募増資の目的は設備投資の資金集めです」などの文中で使われている公募は、「不特定多数の投資家を対象に、新株や公社債を募集すること」の意味で使われています。
公募という言葉の「公」とは、世間一般を表し、「募」とは、広く求めることを表します。公募とは、 広く一般から募集することを意味する言葉です。また、証券用語として、増資に際して不特定多数の一般投資家を対象に応募を求め、新株を発行することを意味します。
「公募推薦」の意味
上記の例文にある「公募推薦」とは、推薦入学の方法の一つです。大学側が求めている出願条件を満たし、学校長からの推薦があれば出願できるものです。指定校推薦とは違い、高校からの推薦をもらっても必ず合格できるとは限りません。
「公募債」の意味
公募を用いた日本語には「公募債」があります。公募債とは、広く公に募集される債券であり、誰でもでも購入できる債権のことです。一方、債券の発行者と特定の関係にある人だけにしか募集されない債券を「縁故債」「私募債」「非公募債」と言います。
公募の対義語
公募の対義語・反対語としては、株式などを発行する際に特定少数の投資家を対象に募集することを意味する「私募」、ある人を地位や名誉に適している者として他人にすすめることを意味する「推薦」などがあります。
公募の類語
公募の類語・類義語としては、広く呼びかけて必要な人や物を集めることを意味する「募集」、広い範囲に呼びかけて集めることを意味する「募る」、急いで募集することを意味する「急募」、必要な働き手を求めることを意味する「求人」などがあります。
応募の意味
応募とは
応募とは、募集に応じることを意味しています。
表現方法は「応募する」「プレゼント応募企画」「応募作品」
「応募する」「プレゼント応募企画」「応募作品」などが、応募を使った一般的な言い回しです。
応募の使い方
応募を使った分かりやすい例としては、「封筒に応募書類在中と手書きで書く」「キャンペーン応募規約を確認する」「メールで応募することができる求人です」「応募前職場見学ができる企業もあります」などがあります。
その他にも、「当選確率が上がるはがきの書き方がある」「応募書類に送付状を付ける」「プレゼント応募フォームはこちらです」「応募者への断り方に気を付ける」「応募者全員サービスでもらったメモ帳です」「応募者利回りを計算する」などがあります。
応募という言葉の「応」とは、訓読みで「こたえる」と読み、外からの求めや働きかけを受けて動くことを表します。応募とは、何らかの募集に対して、申し込んだり、作品を送ったり、集まったりすることを意味する言葉です。コンテストや懸賞、求人に対して多く使われています。
「応募者利回り」の意味
上記の例文にある「応募者利回り」とは、新発債を発行日に購入して償還期限まで保有した場合の利回りを意味します。債券が新規に発行された際の購入者を応募者と呼ぶことから、このように表現されています。
「ご応募させていただきました」は誤り
応募を用いた誤った言い回しには「ご応募させていただきました」があります。ご応募の「ご」は尊敬語のため、自分の行為に対して使えません。また、「させていただく」とは許可を得る場合と恩恵を受ける場合に使う表現であり、不適切です。正しくは「応募いたしました」と表現します。
応募の対義語
応募の対義語・反対語としては、広く呼びかけて必要な人や物を集めることを意味する「応募」、つのり集めることを意味する「徴募」、募集することや呼び集めることを意味する「召募」などがあります。
応募の類語
応募の類語・類義語としては、申し込むことやその手続きを意味する「申し込み」、競技会やコンテストなどへの参加の申し込みを意味する「エントリー」、自分から進んで願い出ることを意味する「志願」などがあります。
公募の例文
この言葉がよく使われる場面としては、一般から広く募集すること、証券市場で増資に際して不特定多数の投資家を対象に発行証券への応募を求めることを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4で使われている公募は、一般から広く募集することを意味します。例文5にある「公募増資」とは、企業が新株を発行し、50名以上の一般投資家に向け売り出すことです。
応募の例文
この言葉がよく使われる場面としては、募集に応じて申し込んだり、作品を送ったりすることを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「応募者」とは、募集に応じる者を意味します。ここでは、オンライン上で求人情報の提供提供するサイトに登録して、仕事を探してる人を指します。
公募と応募という言葉は、似ていても意味は大きく異なります。どちらの言葉を使うか迷った場合、一般から広く募集することを表現したい時は「公募」を、募集に応じることを表現したい時は「応募」を使うようにしましょう。