似た意味を持つ「鵜の目鷹の目」(読み方:うのめたかのめ)と「目くじらを立てる」(読み方:めくじらをたてる)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「鵜の目鷹の目」と「目くじらを立てる」という言葉は、どちらも他人の粗探しをすることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「鵜の目鷹の目」と「目くじらを立てる」の違い
「鵜の目鷹の目」と「目くじらを立てる」の意味の違い
「鵜の目鷹の目」と「目くじらを立てる」の違いを分かりやすく言うと、「鵜の目鷹の目」はプラスとマイナスどちらのイメージでも使える、「目くじらを立てる」はマイナスなイメージでしか使えないという違いです。
「鵜の目鷹の目」と「目くじらを立てる」の使い方の違い
一つ目の「鵜の目鷹の目」を使った分かりやすい例としては、「良い不動産を購入するために鵜の目鷹の目で探し回っています」「鵜の目鷹の目で監視されていては思うように動くことができません」「今度の上司は鵜の目鷹の目で粗探しをするタイプです」などがあります。
二つ目の「目くじらを立てる」を使った分かりやすい例としては、「彼は小さなミスに目くじらを立てる」「目くじらを立てても自分の評価を落とすだけなのでやらないようにしよう」「彼女は私のすることにいちいち目くじらを立てる」などがあります。
「鵜の目鷹の目」と「目くじらを立てる」の使い分け方
「鵜の目鷹の目」と「目くじらを立てる」はどちらも似た意味を持つ言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「鵜の目鷹の目」は「優秀な人材を鵜の目鷹の目で探す」のように、自分の利益になるものを熱心に探すというプラスのイメージで使うだけではなく、「彼女のスキャンダルを鵜の目鷹の目で探す」のように、粗探しをするというマイナスなイメージでも使うことができます。
一方、「目くじらを立てる」は「彼女は些細なミスに目くじらを立てる」「彼は目くじらを立ててばかりいるので嫌われている」などのように、マイナスなイメージでしか使いません。
つまり、「鵜の目鷹の目」はプラスとマイナスどちらのイメージでも使えるのに対して、「目くじらを立てる」はマイナスのイメージでしか使わないというのが違いになります。
「鵜の目鷹の目」と「目くじらを立てる」の英語表記の違い
「鵜の目鷹の目」を英語にすると「sharp eyes」「keen eyes」となり、例えば上記の「今度の上司は鵜の目鷹の目で粗探しをするタイプです」を英語にすると「The new boss is the kind who keeps a sharp eye out for every mistake」となります。
一方、「目くじらを立てる」を英語にすると「find fault with」「get angry about over」となり、例えば上記の「彼女は私のすることにいちいち目くじらを立てる」を英語にすると「She finds fault with everything I do」となります。
「鵜の目鷹の目」の意味
「鵜の目鷹の目」とは
「鵜の目鷹の目」とは、鵜や鷹が獲物を求めるように熱心にものを探し出そうとすることを意味しています。
「鵜の目鷹の目」の使い方
「鵜の目鷹の目」を使った分かりやすい例としては、「スカウトマンたちは鵜の目鷹の目で優秀な選手たちを探している」「スキャンダルが発覚した政治家にインタビューするために、家から出てくるところを鵜の目鷹の目で狙っている」などがあります。
「鵜の目鷹の目」鵜や鷹が獲物を求めるように熱心にものを探し出そうとすることを意味することわざです。ただ熱心に探すのではなく、自分の利益になるようなものや、粗探しをする場合に使います。
「鵜の目鷹の目」の由来
ではなぜ「鵜と鷹」が使われるようになったかというと、「鵜」はペリカンのことを指しており、魚を逃がさない鳥だからです。一方、「鷹」は小動物を中心に狩りをしており、狙った獲物を確実に仕留めます。
この鋭い目つきで確実に獲物を仕留めることが転じて、熱心にものを探し出そうとすること「鵜の目鷹の目」と言うようになりました。
「鵜の目鷹の目」の類語
「鵜の目鷹の目」の類語・類義語としては、他のすべてを忘れて一つの事に熱中することを意味する「血眼になる」、人の言い間違いや言葉尻を捕らえて非難したりからかったりすることを意味する「揚げ足を取る」などがあります。
「目くじらを立てる」の意味
「目くじらを立てる」とは
「目くじらを立てる」とは、他人の欠点を取り立てて非難することを意味しています。
表現方法は「目くじらを立てる人」「目くじらを立てる心理」
「目くじらを立てる人」「目くじらを立てる心理」などが、「目くじらを立てる」を使った一般的な言い回しになります。
「目くじらを立てる」の使い方
「目くじらを立てる」を使った分かりやすい例としては、「姑が目くじらを立てるので早く家族だけで暮らしたいです」「部長はすぐ目くじらを立てるので部下たちから嫌われています」「他人に目くじらを立てる人は器が小さいなと思う」などがあります。
「目くじらを立てる」は他人の欠点を取り立てて非難することや目を吊り上げて人の粗探しをすることを意味することわざです。そのため、基本的にマイナスなイメージでしか使わない言葉と覚えておきましょう。
「目くじらを立てる」の語源
「目くじらを立てる」の語源は目尻です。「目くじら」とは目の耳側の方の端のことを意味する「目尻」や目の端のことを意味する「目角」のことを意味しています。つまり、その「目尻」や「目角」を立てるので、「目くじらを立てる」とは目を吊り上げて怒っている様子を表しています。
この怒っている様子が転じて、他人を責めるというニュアンスになり、他人の欠点を取り立てて非難することを「目くじらを立てる」と言うようになりました。
したがって、海にいる「くじら」とは全く関係性がないので勘違いしないように注意しましょう。
「目くじらを立てる」の類語
「目くじらを立てる」の類語・類義語としては、人の欠点や過失などを取り上げて責めることを意味する「非難する」、人の言動や仕事などの誤りや欠点を指摘して正すべきであるとして論じることを意味する「批判する」などがあります。
「鵜の目鷹の目」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、鵜や鷹が獲物を求めるように熱心にものを探し出そうとすることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「鵜の目鷹の目」はプラスのイメージとマイナスのイメージどちらでも使うことができる言葉です。
「目くじらを立てる」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、他人の欠点を取り立てて非難することを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「目くじらを立てる」はマイナスなイメージでしか使わない言葉になります。
「鵜の目鷹の目」と「目くじらを立てる」はどちらも他人の粗探しをすることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、プラスとマイナスどちらのイメージでも使えるのが「鵜の目鷹の目」、マイナスのイメージでしか使わないのが「目くじらを立てる」と覚えておきましょう。