似た意味を持つ「不義理」(読み方:ふぎり)と「不誠実」(読み方:ふせいじつ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「不義理」と「不誠実」という言葉は、どちらも「誠意がないこと」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
不義理と不誠実の違い
不義理と不誠実の意味の違い
不義理と不誠実の違いを分かりやすく言うと、不義理とは人に対して当然すべきことを怠ること、不誠実とは人に対して嘘をついたりすることという違いです。
不義理と不誠実の使い方の違い
一つ目の不義理を使った分かりやすい例としては、「あのような不義理をする人だとは思いませんでした」「不義理なことがあって実家に帰りづらい」「不義理な人の末路は孤独だと思います」「不義理を働き借金を踏み倒す」などがあります。
二つ目の不誠実を使った分かりやすい例としては、「不誠実な人とはお付き合いしたくありません」「濡れ衣を着せられて不誠実と言われた」「パワハラをもみ消そうとする会社の不誠実な対応が許せません」などがあります。
不義理と不誠実の使い分け方
不義理と不誠実という言葉は、どちらも誠意がない様子を表すマイナスイメージの言葉ですが、意味や使い方には違いがあります。
不義理とは、対人関係において、当然すべき義理立てや配慮をせずにやり過ごすさまを意味します。「不義理な人」とは、当然の礼節を欠いたり、他人からの恩恵に報いようとしない人、借りたものを返さない人などを表す言葉です。
不誠実とは、誠実でないこと、不正直で真心がないことを意味します。「不誠実な人」とは、自分の利益だけを考え、あたかも真実かのように平気で嘘をついたり、誤魔化したり、人の好意を踏みにじる行為をするような人を指します。
つまり、不義理とは人に対して当然すべきことを怠ることを意味することに対し、不誠実とは人に対して嘘をついたり誤魔化したりすることを意味する言葉なのです。
不義理と不誠実の英語表記の違い
不義理を英語にすると「injustice」「ungrateful」「fail to pay」となり、例えば上記の「あのような不義理」を英語にすると「such an act of injustice」となります。
一方、不誠実を英語にすると「insincerity」「unfaithfulness」「untruthful」となり、例えば上記の「不誠実な人」を英語にすると「an untruthful person」となります。
不義理の意味
不義理とは
不義理とは、義理を欠くことを意味しています。
その他にも、「人から借りた金や物を返さないでいること」の意味も持っています。
不義理の使い方
「彼女は無責任で不義理な人です」「バイト先を突然やめるという不義理を働く」「ビジネスマンとして不義理なことはしません」「不義理を重ねたことをお詫びします」「不義理をお許しくださいませ」などの文中で使われている不義理は、「義理を欠くこと」の意味で使われています。
一方、「実は不義理な借金があります」「不義理を働く人は信用できません」「不義理な行為が続いたので、もうお金は貸しません」などの文中で使われている不義理は、「借りた金や物を返さないでいること」の意味で使われています。
不義理の「義理」は人として守るべき正しい道や、他人に対して報いたりしなければならないことを表します。否定を表す「不」と結び付き、不義理とは、他人に対して当然すべきだと考えられることを怠ることを意味します。転じて、借りた金や物を返さないでいることも意味する言葉です。
「不義理を働く」の意味
不義理を用いた言い回しには「不義理を働く」があります。不義理を働くには二つの意味があり、一つは義理を欠くような行為をすること、恩知らずな行いをすることなどです。もう一つは、借金や借り物を相手に返さないことを表します。「働く」は、悪事をすることを意味する言葉です。
表現方法は「不義理な人」「不義理を詫びる」「不義理をお許しください」
「不義理を働く」以外では「不義理な人」「不義理を詫びる」「不義理をお許しください」などが、不義理を使った一般的な言い回しです。
「不義理を欠く」は誤り
不義理を用いた誤った表現には「不義理を欠く」があります。「義理を欠く」という表現はありますが、「不義理を欠く」は誤用になりますので注意しましょう。
不義理の対義語
不義理の対義語・反対語としては、相手に対する義理を堅く守ることを意味する「義理立て」、対人関係の義理を大切にして疎かにしないことを意味する「義理堅い」などがあります。
不義理の類語
不義理の類語・類義語としては、恩を受けてもそれに報いる気のないことを意味する「恩知らず」、約束や期待に背いたりすることを意味する「裏切り」、信義にそむくことを意味する「背信」などがあります。
不誠実の意味
不誠実とは
不誠実とは、誠実でないことを意味しています。
表現方法は「不誠実な対応」「不誠実な人」「不誠実な行動」
「不誠実な対応」「不誠実な人」「不誠実な行動」などが、不誠実を使った一般的な言い回しです。
不誠実の使い方
不誠実を使った分かりやすい例としては、「不誠実な人の特徴や見分け方を教えてください」「外見に惑わされて不誠実な女だと見抜けなかった」「不誠実な男との後腐れのない別れ方が知りたいです」などがあります。
その他にも、「不誠実団交は、団体交渉拒否に該当します」「英語の先生はどこか不誠実な一面があるようです」「不誠実な男とは結婚したくありません」「不誠実な人の末路は不幸なはずです」などがあります。
不誠実という言葉の「誠実」は、真心があって偽りがなく真面目なことを表します。打ち消しの助字である「不」と組み合わさり、不誠実とは、他人に対して真心に欠けるさま、義理を守らないことなどを意味する言葉です。
「不誠実団交」の意味
不誠実を用いた日本語には「不誠実団交」があります。会社などの使用者と労働組合の間で行われる団体交渉において、使用者が形式的に団体交渉に応じるだけで、実質的に誠実な交渉を行わないことを意味します。「団交拒否」とも言います。
不誠実の対義語
不誠実の対義語・反対語としては、真心をもって人や物事に対することを意味する「誠実」、情が深く誠実なことを意味する「篤実」、きわめて誠実なことを意味する「至誠」などがあります。
不誠実の類語
不誠実の類語・類義語としては、誠意や情味に欠けていることを意味する「不実」、義理を守らないことや誠実でないことを意味する「不心中」、真実ではないのに真実のように見せかけることを意味する「虚偽」などがあります。
不義理の例文
この言葉がよく使われる場面としては、義理に背くこと、借りた金の返済を怠ることを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3にある「不義理」は、義理に背くことや義理を欠くことを表しています。例文4や例文5の「不義理」は、借金を返さないでいることの意味で用いられています。
不誠実の例文
この言葉がよく使われる場面としては、誠実でないこと、誠実でないさまを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、不誠実という言葉は誠意のないことを表し、日常一般の広い事柄について使用されています。
不義理と不誠実という言葉は、どちらも「誠意がないこと」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、義理を欠くことや借金を返さないことを表現したい時は「不義理」を、誠実さに欠けることを表現したい時は「不誠実」を使うようにしましょう。