同じ「せいしょ」という読み方の「清書」と「正書」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「清書」と「正書」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
清書と正書の違い
清書と正書の意味の違い
清書と正書の違いを分かりやすく言うと、清書とはきれいに書き直すこと、正書とは漢字の書体のことという違いです。
清書と正書の使い方の違い
一つ目の清書を使った分かりやすい例としては、「提出するレポートを清書する」「清書した手紙を投函する」「イラストの線画を清書する」「鉛筆で下書きしものをボールペンで清書する」「清書用半紙を買いに行く」などがあります。
二つ目の正書を使った分かりやすい例としては、「こちらの書類は正書で書いてください」「正書は日常的に使用されている書体です」「正書体で書かれた文章を読む」「卒業論文を正書で清書する」などがあります。
清書と正書の使い分け方
清書と正書という言葉は、どちらも「せいしょ」と読み、文章を書く場面で使われていますが、意味や使い方は異なります。
清書とは、原稿や下書きなどをきれいに書き直すことを意味します。一方、正書とは、漢字の書体の一つである楷書を意味します。上記の例文にある「正書で清書する」とは、文字の書体に楷書を用いて、正しくきれいに書き直すことを表します。
清書と正書という言葉は、意味が異なる同音異義語のため、互いに置き換えて使うことはできません。
清書と正書の英語表記の違い
清書を英語にすると「fair copy」「engrossment」「beautifier」となり、例えば上記の「清書する」を英語にすると「make a fair copy」となります。
一方、正書を英語にすると「printed style」「standard style」「block style」となり、例えば上記の「正書で書く」を英語にすると「use block letters」となります。
清書の意味
清書とは
清書とは、原稿などを綺麗に書き直すことを意味しています。
その他にも、習字で先生の指導を受けるためにきちんと書くことの意味も持っています。
表現方法は「清書する」「清書用紙」「清書書き」
「清書する」「清書用紙」「清書書き」などが、清書を使った一般的な言い回しです。
清書の使い方
「実験レポートを提出する前に清書する」「お手紙の清書をお願いします」「ビジネス文書を清書する」「イラストを清書描きする時に手が震えてしまう」「漫画の清書を手伝う」などの文中で使われている清書は、「きれいに書き直すこと」の意味で使われています。
一方、「書き初めを清書する」「練習用紙のあと清書用紙に書いてみよう」「清書書きを先生にみてもらう」「硬筆の清書をしました」などの文中で使われている清書は、「習字で先生の指導を受けるためにきちんと書くこと」の意味で使われています。
清書という言葉の「清」とは、払い清めることや、きれいに片付けることを表します。清書とは、一度書いたものを新たに丁寧に書き直すことを意味する言葉です。特に習字において、先生に提出し指導を請うなどのためにきちんと書くことの意味も持っています。
清書とは、文字や文章を読みやすくするために、正しく書き直すことを表します。また、漫画やイラストなどに対して、下書きを基に正式な物を描く時ことも表します。
清書の対義語
清書の対義語・反対語としては、清書の前に練習のためにかいてみることを意味する「下書き」、文字を乱雑に書くことを意味する「乱筆」、字がへたなことを意味する「悪筆」などがあります。
清書の類語
清書の類語・類義語としては、下書きなどをきれいに書きなおすことを意味する「浄書」、きれいに書き写すことを意味する「浄写」、浄書や清書を意味する「清書き」(読み方:きよがき)などがあります。
正書の意味
正書とは
正書とは、楷書のことを意味しています。
正書の使い方
正書を使った分かりやすい例としては、「くずし字ではなく正書でご記入ください」「漢の時代に隷書が正書体となる」「ドイツ語教育において正書法は普及している」「日本語には正書法がありません」などがあります。
その他にも、「正書で書かれた成書です」「正書体のフォントをダウンロードする」「ビジネス文書は正書で書かれるべきだろう」「礼状や詫び状は読みやすい正書がおすすめです」「正書は整然と組み立てられた書体です」などがあります。
正書とは、漢字の書体の一つであり、楷書とも言います。隷書から生じた、一点一画を正確に書く書体です。現在、最も標準的な書体とされており、文章を書くときは正書を使うことが一般的です。
「正書で書かれた成書」の意味
上記の例文にある「正書で書かれた成書」とは、楷書体の文字で書かれた書物を意味します。「成書」とは、正書と同じ「せいしょ」と読みますが、書物としてできあがっているものを意味する同音異義語です。
「正書する」は誤り
正書という言葉の誤った言い回しには「正書する」があります。正書は書体の一つを指す言葉であり、動詞として使うことはありません。
正書の類語
正書の類語・類義語としては、楷書をやや崩した書体を意味する「行書」、行書をさらに崩して点画を略し曲線を多くしたものを意味する「草書」、中国で秦以前に使われた書体を意味する「篆書」、秦の程邈が小篆を簡略化して作ったものといわれる書体を意味する「隷書」などがあります。
清書の例文
この言葉がよく使われる場面としては、下書きした原稿などをきれいに書き改めること、習字で先生に指導を請うためにきちんと書くことを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文4で使われている清書は、下書きした原稿などをきれいに書き改めることを意味します。例文5の清書は、習字で先生に指導を請うためにきちんと書くことの意味で使われています。「清書用紙」とは、提出用の習字用紙のことです。一般に、練習用紙よりも紙質が良いものです。
正書の例文
この言葉がよく使われる場面としては、漢字の書体の一つである楷書を表現したい時などが挙げられます。
例文2にある「正書法」とは、言語を文字で正しく記述する際のルールです。正字法とも言います。日本語には文字体系として漢字、平仮名、片仮名、ローマ字の4種類があり、どの文字で語を書き表すかは決まっていません。このことから、日本語には正書法がないという考えがあります。
清書と正書という言葉は、どちらも「せいしょ」と読む同音異義語です。どちらの言葉を使うか迷った場合、きれいに書き改めることを表現したい時は「清書」を、漢字の書体を表現したい時は「正書」を使うようにしましょう。