【受ける】と【請ける】と【享ける】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

同じ「うける」という読み方の「受ける」と「請ける」と「享ける」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「受ける」と「請ける」と「享ける」という言葉は同音の言葉ですが、意味は大きく異なりますのでご注意下さい。




「受ける」と「請ける」と「享ける」の違い

「受ける」と「請ける」と「享ける」の意味の違い

「受ける」と「請ける」と「享ける」の違いを分かりやすく言うと、「受ける」は向かってくるものを受け止める時に使い、「請ける」は提案や注文を引き受ける時に使い、「享ける」は身に授かる時に使うという違いです。

「受ける」と「請ける」と「享ける」の使い方の違い

「受ける」という言葉は、「息子はショックを受けて寝込んでしまった」「彼女の言うことを真に受けてはいけない」などの使い方で、自分に向かってくるものを受け止めることを意味します。

「請ける」という言葉は、「先日新しい仕事を請けたらしく父は忙しくしている」「彼の依頼を請けることにメリットはない」などの使い方で、注文や依頼、提案などを引き受けることを意味します。

「享ける」という言葉は、「生を享けてまず人間がすることは産声を上げることだ」「上司から恩恵を享けてしまった」などの使い方で、他から与えられることを意味します。

「受ける」と「請ける」と「享ける」の使い分け方

「受ける」と「享ける」は、どちらも他から与えられることを意味する言葉ですが、後者は「生を享ける」「恩恵を享ける」など生まれながらにして身に授かることや良いものを与えられる時に使われます。

前者の「受ける」は、利益になるような物事だけでなく、「被害を受ける」「ショックを受ける」など当人の利にならない時に使われる言葉です。ただし、「享ける」の享という漢字が常用漢字ではないため、「受ける」が使われることがほとんどです。

一方の「請ける」は、注文や依頼、提案などを頼まれることや受け入れる時に使われますが、今日では「注文を受ける」「依頼を受ける」など「受ける」に置き換えて使われています。

これが「受ける」、「請ける」、「享ける」の明確な違いです。

「受ける」の意味

「受ける」とは

「受ける」とは、自分の方に向かってくるものを支え止めたり、取って収めたりすることを意味しています。

「受ける」を使った言葉として、「意を受ける」「真に受ける」があります。

「意に受ける」の意味

一つ目の「意に受ける」とは、ある人の意向を聞いてそれに従うようにすることを意味する慣用表現です。

「真に受ける」の意味

二つ目の「真に受ける」とは、言葉をその通りに受け取って本当だと信じることを意味する慣用表現です。「間に受ける」という表記がなされることもありますが、これは誤用です。

表現方法は「注文を受ける」「ボールを受ける」「授業を受ける」

上記以外では「注文を受ける」「ボールを受ける」「授業を受ける」などが、「受ける」を使った一般的な言い回しです。

「受ける」の対義語

「受ける」の対義語・反対語としては、ある方向や方面に向けることを意味する「投げる」、ある対象に立ち向かっていくことを意味する「挑む」があります。

「受ける」の類語

「受ける」の類語・類義語としては、災いなどを身に受けることを意味する「被る」、好ましくない事態を引き起こすことを意味する「招く」、手に入れることや獲得することを意味する「得る」、ある考えや感情を持つことを意味する「抱く」があります。

「受ける」の受の字を使った別の言葉としては、受け入れて取り込むことを意味する「受容」、やむを得ないものとして受け入れることを意味する「甘受」(読み方:かんじゅ)、金銭や物品などを受け取り収めることを意味する「納受」などがあります。

「請ける」の意味

「請ける」とは

「請ける」とは、注文や依頼、提案をを引き受けることを意味しています。

「請ける」を使った言葉として、「下を請ける」「扇を請ける」があります。

「下を請ける」の意味

一つ目の「下を請ける」(読み方:さがりをうける)とは、仕入れた商品の相場が値下がりしたことで損をすることを意味する言葉です。「上がりを請ける」はこの言葉の対義語に当たります。

「扇を請ける」の意味

二つ目の「扇を請ける」とは、芸事などでその流派の扇を師匠から与えられることを意味する言葉で、その分野においてもっとも重要な要素である奥義を伝授された証として扱われます。

表現方法は「仕事を請ける」「工事を請ける」「依頼を請ける」

上記以外では「仕事を請ける」「工事を請ける」「依頼を請ける」などが、「請ける」を使った一般的な言い回しです。

「請ける」の対義語

「請ける」の対義語・反対語としては、相手の申し出などに応じられないことを告げることを意味する「断る」があります。

「請ける」の類語

「請ける」の類語・類義語としては、構わないとして受け入れることを意味する「認める」、相手の働きかけに対応して行動を起こすことを意味する「応ずる」があります。

「請ける」の請の字を使った別の言葉としては、こい願うことや目上の人などに願い出ることを意味する「請願」、無理に頼むことを意味する「強請」、神仏の来臨や神託を祈り願うことを意味する「勧請」(読み方:かんじょう)などがあります。

「享ける」の意味

「享ける」とは

「享ける」とは、身に授かることを意味しています。

「享ける」の読み方

「享ける」は「うける」という読み方をしますが、「享たる」と表記して「あたる」という読み方をすることもあります。享という漢字には「きょう」という読み方もありますが、「享ける」を「あける」や「きょうける」のように読むことはありません。

「享ける」は常用漢字外で公用文で使えない

また、「享ける」の享という漢字が常用漢字ではないため、文章の中でも「受ける」という言葉が使われることがほとんどで、文学作品で使われていることが少しある程度です。

表現方法は「生を享ける」「恩恵を享ける」「恩寵を享ける」

「享ける」を使った表現として、「生を享ける」「恩恵を享ける」「恩寵を享ける」「恵みを享ける」などがあります。どれも、権利や能力などを与えられたことを意味しますが、やはり日常会話の中ではあまり使われない言葉です。

「享ける」の対義語

「享ける」の対義語・反対語としては、相手のためになるものを提供することを意味する「与える」があります。

「享ける」の類語

「享ける」の類語・類義語としては、送られた物を受け取り自分の物とすることを意味する「貰う」、金では買えない大切なものを与えられることを意味する「授かる」、生まれながらにして自分の物として持っていることを意味する「備わる」があります。

「享ける」の享の字を使った別の言葉としては、受け入れて自分のものとすることを意味する「享受」(読み方:きょうじゅ)、この世に生存していた年数を意味する「享年」、権利などを生まれながら身につけていることを意味する「享有」などがあります。

「受ける」の例文

1.毎年本格的な冬が始まる前に予防接種を受ける人で病院が混雑する。
2.来年度入学試験を受けるにあたって、自分に足りない知識をリストアップして基礎を固めることから始めた。
3.とあるアーティストが発表した新曲が中高生に受けたことで、テレビなどでも取り上げられることが増えた。

この言葉がよく使われる場面としては、自分の方に向かってくるものを支え止めたり、取って収めたりすることを意味する時などが挙げられます。

例文3の「中高生に受ける」という表現で、その対象の人気を集めることを意味することとなります。

「請ける」の例文

1.取引先から新しい仕事を請けて、チーム全員がやる気に満ち溢れていた。
2.今進めているRPGゲームは本編を進めずに、街の人々からの依頼を請けてゲーム内貨幣を集めている。
3.消防隊員が要請を請けて駆け付けてくれたことで、これ以上の大きな被害を招くことはなかった。

この言葉がよく使われる場面としては、注文や依頼、提案をを引き受けることを意味する時などが挙げられます。

どの例文の「請ける」も「受ける」に置き換えて使うことができます。

「享ける」の例文

1.この世に生を享けたからには、自分にしかできないことを成し遂げたいという物語の主人公に胸を打たれた。
2.隣国の経済成長の恩恵を享けることで徐々に発展していった国もある。
3.自然の恵みを享ける街への旅行は、都心の喧噪に慣れ切った私を心身ともに癒してくれた。

この言葉がよく使われる場面としては、身に授かることや他から与えられることを意味する時などが挙げられます。

どの例文の「享ける」も「受ける」に置き換えて使うことができます。

「受ける」と「請ける」と「享ける」どれを使うか迷った場合は、向かってくるものを受け止める場合は「受ける」を、提案や注文を引き受ける場合は「請ける」を、身に授かる場合は「享ける」を使うと覚えておけば間違いありません。

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