【タクトタイム】と【サイクルタイム】と【リードタイム】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「タクトタイム」と「サイクルタイム」と「リードタイム」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「タクトタイム」と「サイクルタイム」と「リードタイム」という言葉は、製造のための作業時間という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




タクトタイムとサイクルタイムとリードタイムの違い

タクトタイムとサイクルタイムとリードタイムの意味の違い

タクトタイムとサイクルタイムとリードタイムの違いを分かりやすく言うと、タクトタイムは製品完成までの時間に使い、サイクルタイムは作業開始から次の作業開始までの時間に使い、リードタイムは依頼から製品完成までの時間に使うという違いです。

タクトタイムとサイクルタイムとリードタイムの使い方の違い

タクトタイムという言葉は、「タクトタイムの算出は目標を定めるのと同義だ」「タクトタイムはサイクルタイムと同程度であることが望ましい」などの使い方で、一つの製品や一つの部品の製造時間を意味します。

サイクルタイムという言葉は、「サイクルタイムの短縮に成功したことで売り上げも伸びた」「サイクルタイムが長いと感じたら不必要な工程を考えなければならない」などの使い方で、一つの作業の工程開始から次の作業に移る時間を意味します。

リードタイムという言葉は、「注文が殺到したことによってリードタイムが延びてしまった」「その店舗ではリードタイムが他店より短く重宝されている」などの使い方で、製造命令が出てから製品が完成するまでの時間を意味します。

タクトタイムとサイクルタイムとリードタイムの使い分け方

タクトタイムとサイクルタイムは、どちらも物の製造に掛かる時間を表す言葉ですが、前者は一つの製品を製造するのに必要な時間を指し、後者は製品を製造するための作業に掛かる時間です。

タクトタイムは1日で生産する目標数値までの時間を指し、サイクルタイムは1日で生産できる能力で掛かる時間を指します。そのため、両者が同等の数値である場合効率が良いと言えます。

一方のリードタイムは、製造に掛かる作業時間はもちろん、製造のために必要な原材料の調達時間や、出来上がった製品の運搬時間なども全て含まれます。

これが、タクトタイム、サイクルタイム、リードタイムの明確な違いです。

タクトタイムの意味

タクトタイムとは

タクトタイムとは、一つの製品や一つの部品の製造時間を意味しています。

タクトタイムの語源

タクトタイムの「takt」はドイツ語で本来は指揮棒や拍子の意味を持つ言葉で、それを時間を表す「time」と合わせて、和製英語として使っているのがタクトタイムです。

音楽の演奏時に指揮者が使うタクトによって演奏のリズムを取りタイミングを合わせることが由来となった言葉で、生産工程におけるタイミングを図ることに例えて使われていて、ピッチタイムと言われることもあります。

タクトタイムの計算方法

1日の勤務時間を仮に8時間とし、そのうち1時間は休憩に当てると考えた場合、実際に製造を行う時間は7時間となり、分数にすると420分です。

この時、1日に500個分製造しなければならない場合は、分数を製造目標個数で割った数である約50秒が1個分の製造に掛けられる時間となり、これをタクトタイムと言います。

サイクルタイムの意味

サイクルタイムとは

サイクルタイムとは、一つの作業の工程開始から次の作業に移る時間を意味しています。

サイクルタイムの計算方法をわかりやすく

1日に8時間、うち休憩を1時間とって7時間勤務し、1日500個製品を作らなけらばならない場合、約50秒に1個製造を行わなければいけません。

しかし、一つの工程の所要時間が長いなどが原因で他の工程が進まないこともあります。このように、本来の生産時間を圧迫する原因となるような工程をボトルネックと言います。

ボトルネックによって、50秒で製造ができない場合は想定されているタクトタイムよりも延びることとなりますが、ボトルネックもなく、1個の製造時間が40秒に短縮された場合はタクトタイムよりも実際に製造にかかった時間は短くなります。

この実際に製造に必要とされた時間をサイクルタイムと言います。そのため、タクトタイムを超えた場合には生産が追い付かなくなり、タクトタイムよりも短い時間で製造を続けると在庫を抱えてしまうことになります。

リードタイムの意味

リードタイムとは

リードタイムとは、製造命令が出てから製品が完成するまでの時間を意味しています。

また、依頼や注文を受けてから実際に製品が依頼主のもとに届くまでの時間も表すため、実際に原材料などを調達するための時間や、その原材料を運ぶ時間なども含めます。

リードタイムは「出荷リードタイム」や「輸送リードタイム」に細分化される

リードタイムは、「出荷リードタイム」「輸送リードタイム」「生産リードタイム」「製造リードタイム」「調達リードタイム」などに分けられますが、業種などによって定義は様々です。

リードタイムを短縮することによって依頼主のもとに製品が早く届くため、満足度が上がり、他の企業や店舗などに差をつけることができます。その他にも、企業が抱える在庫が減るため、保管する場所などのコスト削減にも繋がります。

タクトタイムの例文

1.作業時間を増やすよう頼まれる時は依頼も増加しているため、タクトタイムに変化はさほどないと言える。
2.タクトタイムと比べて製造数が大きく異なっていることに気が付いた上司は原因の究明に追われている。
3.算出されたタクトタイムを短縮することができたことによって、さらに多くの依頼を受けることができるようになった。

この言葉がよく使われる場面としては、一つの製品や一つの部品の製造時間を意味する時などが挙げられます。

例文2のタクトタイムは、無駄な工程や時間が含まれる可能性のあるサイクルタイムという言葉に置き換えて使うことができません。

サイクルタイムの例文

1.目標とされているサイクルタイムより早く作業が終わるだけがいいわけではなく、質の良いものを提供しなければならない。
2.サイクルタイムを短縮するために無駄な工程や時間を無くしていかなければならない。
3.定期的にサイクルタイムの分析を行うために、本社から監査員がやってくるが、今年の評価もいつも通りであった。

この言葉がよく使われる場面としては、一つの作業の工程開始から次の作業に移る時間を意味する時などが挙げられます。

例文2で使われているサイクルタイムには無駄な工程が含まれていると文章から分かるため、タクトタイムという言葉に置き換えて使うことができません。

リードタイムの例文

1.機械部品の不足のために商品のリードタイムが随分と長期化されたことをニュースで知った。
2.その店舗ではリードタイムを短縮するために様々な取り組みを行っているため、顧客からの評価が高い。
3.開発リードタイムを短縮するために、仕様を複雑にせず、他の製品と共通化しなければならない場合もある。

この言葉がよく使われる場面としては、製造命令が出てから製品が完成するまでの時間を意味する時などが挙げられます。

場合によっては例文3の「開発リードタイム」のように限定的な使い方がされる場合もあります。

タクトタイムとサイクルタイムとリードタイムどれを使うか迷った場合は、製品完成までは「タクトタイム」を、作業開始から次の作業開始までは「サイクルタイム」を、依頼から製品完成までは「リードタイム」を使うと覚えておけば間違いありません。

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