【取り急ぎ】と【まずは】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「取り急ぎ」(読み方:とりいそぎ)と「まずは」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「取り急ぎ」と「まずは」という言葉は、どちらもとりあえずのことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




「取り急ぎ」と「まずは」の違い

「取り急ぎ」と「まずは」の意味の違い

「取り急ぎ」と「まずは」の違いを分かりやすく言うと、「取り急ぎ」の方が「まずは」よりも急いでいるというニュアンスが強いという違いです。

「取り急ぎ」と「まずは」の使い方の違い

一つ目の「取り急ぎ」を使った分かりやすい例としては、「取り急ぎ一筆申し上げます」「取り急ぎご報告失礼いたします」「取り急ぎメールにてお祝い申し上げます」などがあります。

二つ目の「まずは」を使った分かりやすい例としては、「まずは書面にて失礼いたします」「まずはご報告のみとさせていただきます」「まずはお気軽にご相談ください」「まずは自分のことをしっかりやってください」「まずはご質問ありがとうございました」などがあります。

「取り急ぎ」と「まずは」の使い分け方

「取り急ぎ」と「まずは」はどちらもとりあえずのことを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあります。

「取り急ぎ」の方が「まずは」よりも急いでいるニュアンスが強いというのが違いです。そのため、急を要する要件の場合には「まずは」ではなく、「取り急ぎ」を使うようにしましょう。

「取り急ぎ」と「まずは」の英語表記の違い

「取り急ぎ」を直訳した英語はないのですが、近い表現として「Just a heads up」「This is a quick note」「I will let you know」などがあります

一方、「まずは」を英語にすると「first of all」「firstly」「to begin with」となり、例えば上記の「まずはご質問ありがとうございました」を英語にすると「First of all, thank you for your question」となります。

「取り急ぎ」の意味

「取り急ぎ」とは

「取り急ぎ」とは、とりあえず急いでのことを意味しています。

表現方法は「取り急ぎご連絡」「取り急ぎ失礼します」「取り急ぎメールにて」

「取り急ぎご連絡」「取り急ぎ失礼します」「取り急ぎメールにて失礼いたします」などが、「取り急ぎ」を使った一般的な言い回しになります。

「取り急ぎ」の使い方

「取り急ぎ」を使った分かりやすい例としては、「取り急ぎご連絡申し上げます」「取り急ぎ見積書を送付いたします」「取り急ぎのご連絡で失礼いたします」「取り急ぎの返信にて失礼させていただきます」などがあります。

「取り急ぎ」は「取り急ぐ」の連用形でとりあえず急いでということを意味しており、十分な準備や対応ができていないが、急いでいるというニュアンスで使うことが多いです。また、「取り急ぎ」はビジネスメールや手紙などの文章において使うのが一般的になっています。

「取り急ぎ」を目上の人に使うのには注意

「取り急ぎ」はビジネスシーンにおいてよく使われる言葉ですが、「とりあえず急いで」という意味を持つ言葉なので、目上の人に対して使う場合には注意が必要です。

また、お礼やお詫びの際のに「取り急ぎ」を使うのも不適切な表現なので、なるべく使わないようにしましょう。

「取り急ぎ」の類語

「取り急ぎ」の類語・類義語としては、たいへん急を要することを意味する「大至急」、非常に急ぐことを意味する「至急」、可能な限りはやくしてもらうことを意味する「速やかに」、なるべく早くを略した言葉を意味する「なるはや」などがあります。

「まずは」の意味

「まずは」とは

「まずは」とは、初めにや最初にのことを意味しています。その他にも、とりあえずやともかくのこと、ある程度の確信をもって判断や見通しを述べることの意味も持っています。

「まずは」の使い方

「まずは下ごしらえをしてその後料理する」「まずは準備体操をしてからプールに入る」などの文中で使われている「まずは」は、「初めにや最初にのこと」の意味で使われています。

一方、「同封の書類に不備はないかまずはご確認ください」「だいぶ歩いたのでまずは一休みしよう」「この調子ならまずは大丈夫だろう」などの文中で使われている「まずは」は、「とりあえずやとかくのこと、ある程度の確信をもって判断や見通しを述べること」の意味で使われています。

「まずは」は「まず」を強めた言葉で、初めにや最初にのこと、とりあえずやともかくのこと、ある程度の確信をもって判断や見通しを述べることという複数の意味を持つ言葉です。

表現方法は「まずはお礼のみ」「まずはご連絡まで」「まずはご報告まで」

一つ目の意味である初めにや最初にのことの意味はビジネスシーンにおいてよく使われており、「まずはお礼のみ」「まずはご連絡まで」「まずはご報告まで」という言い回しが一般的になっています。

目上の人には「まずはご連絡のみ失礼いたします」「まずはご報告のみさせていただきます」

また、「まずはご連絡のみ失礼いたします」「まずはご報告のみさせていただきます」のように、前後の言葉を丁寧に表現することによって目上の人に対しても使うことが可能です。

「まずは」の漢字表記

「まずは」を漢字にすると、「先ずは」と表記することができます。

「まずは」の類語

「まずは」の類語・類義語としては、細かいことはさて置いてまず行動することを意味する「とにかく」、物事のはじめのことを意味する「初っ端」、最初に始めることを意味する「先頭を切る」などがあります。

「取り急ぎ」の例文

1.来月のバーベキュー大会の開催場所について、取り急ぎメールにてご連絡申し上げます。
2.詳細については追ってご説明のメールを送信させていただきますが、取り急ぎご連絡いたします。
3.本日、お送りいただいた荷物を受領しました。取り急ぎの連絡にて失礼いたします。
4.明日の打ち合わせ関して至急電話をいただきたいとのことです。取り急ぎ要件のみご連絡申し上げます。
5.お送りいただいた資料を拝見いたしましたので、取り急ぎのご連絡にて失礼いたします。
6.先日の会議でも取り上げていた例の資料を鈴木さんからさきほど受け取りましたことを取り急ぎご連絡いたします。
7.ご連絡いただきましてありがとうございました。見積もりの方ですが、取り急ぎ簡単な見積書を送付いたします。
8.明日開かれる予定でありました営業会議の件ですが、諸事情により翌週に変更になりましたので取り急ぎご報告を失礼いたします。
9.このたびは見積書を早急にお送りいただきまして大変ありがとうございました。引き続きよろしくお願いいたします。取り急ぎ拝受の連絡を失礼いたします。
10.被害者の部屋には紙の切れ端にメモらしきものが殴り書きがしてあったが、誰かに事情を知らせるために取り急ぎ書かれたもなのだろうと推測した。

この言葉がよく使われる場面としては、とりあえず急いでのことを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文のように、「取り急ぎ」はビジネスシーンのメールにおいて使われることが多いです。

「まずは」の例文

1.まずは地道な聞き込み捜査から始めるのが、一流の刑事の基本です。
2.初対面の方々がほとんどなので、まずは各々自己紹介をお願いいたします。
3.怪我している足に応急処置を施したので、まずは一安心です。
4.今日は朝から歩いて疲れたと思うので、この辺りでまずは一休みしましょう。
5.彼が証言していることなので、まずは間違いないだろう。
6.以前は居酒屋でメニューを決める前にまずはビールでも頼んでという流れになるのが当たり前だったが、今ではハイボールを頼むことも多い。
7.すぐにでもサッカーをしたかったが、まずは準備体操をしてからでないと身体を痛めてしまうのでということではやる気持ちを抑えて足の屈伸をした。
8.年齢を重ねると嫌でも保守的になりやすいので、もしも新しい文物を知ったら、何も考えずにまずは受け入れてみることにしている。
9.わたしたちは怠け者だったのでだいぶ歩いたのでまずは一休みしようと言って、10分に三回も休憩時間を設けていたので一向に進まなかった。
10.本日は貴重なお話をしていただきありがとうございます。次回の集まりは土曜日の8時からになりますのでまずはご連絡のみ失礼いたします。

この言葉がよく使われる場面としては、初めにや最初にのことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、とりあえずやともかくのこと、 ある程度の確信をもって判断や見通しを述べることを表現したい時にも使います。

例文1と例文2の「まずは」は、初めにや最初にのこと、例文3と例文4の「まずは」はとりあえずやともかくのこと、例文5の「まずは」はある程度の確信をもって判断や見通しを述べることの意味で使っています。

「取り急ぎ」と「まずは」という言葉は、どちらもとりあえずのことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、「取り急ぎ」の方が「まずは」よりも急いでいるニュアンスが強いと覚えておきましょう。

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