【若干】と【弱冠】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

同じ「じゃっかん」という読み方を持つ「若干」と「弱冠」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「若干」と「弱冠」という言葉は、読み方は同じでも意味は大きく違いますので、混同しないようご注意下さい。

若干と弱冠の違い

若干と弱冠の違いを分かりやすく言うと、若干というのは、数が少ないことや程度が低いことを意味していて、弱冠というのは、若いことを意味しているという違いです。

一つ目の若干という言葉は、数が少ないことや程度が低いという意味を持つ言葉です。正確な数を言う必要がない場合や明言したくない場合に用いられます。「若干名遅刻」と言えば、遅刻者は全体の中の少しだということですが、具体的に何人かは分かりません。

また「若干早めだけど、今日は終わりにしよう」というような場合も、具体的にどれだけ早めなのかは明言されていません。

若干という言葉は、ビジネスなどフォーマルな場で使うのがふさわしい用法と、日常会話とビジネスのどちらで使ってもおかしくない用法の二つがあります。

「若干名遅刻」や「若干の問題」のように使う場合にはやや堅苦しく感じられるため、日常会話で使われることはあまりありません。逆に「若干遅れている」や「若干問題がある」のように副詞的に使う場合には、フォーマルにもフランクにもなります。

二つ目の弱冠という言葉は、年齢が若いことを意味する言葉です。元々は六十歳を意味する「還暦」や七十歳を意味する「古希」のように、男子の二十歳を意味するのが「弱冠」という言葉でした。弱冠は中国の唐の時代の書物『礼記』に由来する故事成語です。

今では意味が拡大されて、漠然と若いことを意味する言葉となっていますが、年齢に似つかわしくない素晴らしい業績を残した人の年齢を紹介するために使われます。

例えば「弱冠二十六歳の社長」という紹介文は「社長なのに若い」ということを強調していると考えることも出来ます。弱冠という言葉は、若さに似合わない業績や立場にいる人の年齢を、その立場と共に紹介することで、箔をつけるために使われます。

なので、年齢相応の人に対しては弱冠という言葉を使うことはありません。

若干の意味

若干とは、数が少ないことや程度が低いことを意味しています。若干の若という字は、「わかい」という意味ではなく、漢文にある「ごとし」という意味で、干という字は「少ない」という意味です。若干は「すこしばかり」という意味になります。

若干という言葉では、どれだけ少なかったり低かったりするか、具体的に明言されてはいません。例えば「部品が若干足りない」や「若干の損害が発生した」のように用いられる言葉です。

ただし、使われ方によって語調が変化します。「若干足りない」のように副詞的に使われる若干は丁寧な表現であることも、砕けた言い方であることもあります。

ただし「若干の損害」や「在庫若干数」のように形容詞的に使われる若干は、堅苦しい印象を与えるために、砕けた会話では使われません。

若干の類義語としては、数が少ないことや程度が低いことを意味する口語的表現である「幾らか」、ほんの少しであることを意味する「僅か」などがあります。

若干の対義語としては、並みの程度を超えていることを意味する「かなり」、完全ではないが十分であることを意味する「結構」などがあります。

若干の若の字を使った別の言葉としては、人のことなど構わず自分勝手に振舞うことを意味する「傍若無人」などがあります。

弱冠の意味

弱冠とは、若いことを意味しています。元々は中国の『礼記』に由来する、男子の二十歳を意味する故事成語でしたが、現在では男女問わず若いことを意味する言葉として定着しています。「弱冠十七歳」のように必ず直後に年齢を示す言葉が来ます。

『礼記』の原文では「二十歳を弱という。冠す」というとても短い表現でした。

「冠す」という表現に注目して下さい。この言葉は「抜きんでる、優れる」というような意味を持ちます。「二十歳にして傑出した人物になる」というのが、弱冠の元々の意味でした。

傑出した人物になるという意味は現代の弱冠の使い方でも残っています。「弱冠十七歳で初タイトル」や「弱冠七歳にして四か国語を話す」のように、弱冠という言葉は業績や能力とともに使われます。平凡な人の年齢を若干という言葉で表現することはありません。

弱冠という言葉を業績や能力と共に使うことで、その人物が卓越していることを際立たせよるという使い方をされるのが、弱冠の今日的用法です。

弱冠の字を使った言葉としては、年齢が若いことを意味する「弱年」、経験が浅く未熟であること「弱輩」などがあります。

弱冠の例文と使い方

1.遅刻が若干一名いるようですが、どうしますか。
2.これだけの大事故なのに、若干の軽症者だけで済んだのは奇跡のようなものだ。
3.細部に若干問題があるように感じられますが、ひとまずこれで大丈夫です。
4.息子に若干の札束を渡して、スーパーにお使いを頼んだ。
5.僕はそのとき若干の不安を覚えたが、のちに自分の勘が正しかったことが分かる。

この言葉がよく使われる場面としては、数が少ないことや、程度が低いことを表現したい時などが挙げられます。

例えばクラスで三人遅刻していた場合に「遅刻若干」と言うことが出来ます。三という具体的な数字を言う必要がないか、言いたくないというような場合に使うことが出来る言葉です。その意味では若干は「些細」や「些末」と言い換えることが出来る言葉です。

例文3の「若干問題がある」というのも、意味合いは少し違ってしまいますが、「些細な問題」や「些末な問題」と言い換えても通じるものです。

若干は、相手に遠慮をする表現としても使えます。例文3の「若干問題があるけれどこれで大丈夫」というのは、本当かどうか分かりません。

「本当は直してもらわないと困るけど、後はこっちでフォローする」という気持ちを隠すために「若干」が使われている可能性もあります。

弱冠の例文と使い方

1.弱冠という言葉は、もともとは還暦や古希と同じように節目の年齢のことで、二十歳の意味だよ。
2.この選手は弱冠二十一歳でタイトルを獲得した以降は、いまいちパッとしない成績で現役生活を終えた。
3.彼女は弱冠二十六歳にして衆議院議員に立候補し、見事に当選を果たした。
4.娘は弱冠十九歳で一児の母となりましたが、家事も育児もよくこなしていると思います。
5.この世界では三十五歳でも若手なんだけれど、メディアは「弱冠三十五歳」とは書いてくれないよなぁ・・・。

この言葉がよく使われる場面としては、若くして卓抜な業績や能力を有する人の年齢を表現したい時などが挙げられます。平凡な人の年齢を表現するために使われることはありません。

弱冠と言う言葉は必ず、業績や能力とセットで使われます。弱冠とは、傑出した能力や業績と共に若さを示すことで、その人物の非凡さを際立たせる言葉です。インターネットやテレビ、新聞などで使われることの多い言葉で、日常会話ではまず使われません。