似た意味を持つ「ついに」と「やっと」と「とうとう」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「ついに」と「やっと」と「とうとう」という言葉は、最終的に到達した結果という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「ついに」と「やっと」と「とうとう」の違い
「ついに」と「やっと」と「とうとう」の意味の違い
「ついに」と「やっと」と「とうとう」の違いを分かりやすく言うと、「ついに」は最終的な結果を表現する時に使い、「やっと」は苦労して得た結果を表現する時に使い、「とうとう」は様々な過程を経た上での結果を表現する時に使うという違いです。
「ついに」と「やっと」と「とうとう」の使い方の違い
「ついに」という言葉は、「次々と呼び出されてついに自分の名前が呼ばれた」「ついにその日彼に出会うことはなかった」などの使い方で、長い時間の後、最終的にある結果に到達する様子を意味します。
「やっと」という言葉は、「給料を貯めてやっと海外旅行に行くことができた」「迷子になってからやっとのことで再会できた」などの使い方で、長い時間や労力を費やして実現したり、成立する様子を意味します。
「とうとう」という言葉は、「何度か問題視されていたがとうとう議題として話し合うこととなった」「お祭りで兄に会いたくなかったがとうとう会ってしまった」などの使い方で、物事が最終的にそうなる様子を意味します。
「ついに」と「やっと」と「とうとう」の使い分け方
「ついに」と「とうとう」は、どちらも実現するまでに時間が掛かるものの最終的な結果を表す言葉ですが、前者は結果が現れた瞬間を重視するのに対して、後者は結果が現れるまでの過程を重視しています。
また、「ついに」は文語的に使われ、「とうとう」は口語的に使われるため、日常会話においては後者が用いられています。
一方の「やっと」も長い時間を掛けて実現した様子を意味しますが、「ついに」や「とうとう」と比べて、苦労したことや、限界に近いことを強く表します。
これが、「ついに」、「やっと」、「とうとう」の明確な違いです。
「ついに」の意味
「ついに」とは
「ついに」とは、長い時間の後、最終的にある結果に到達する様子を意味しています。
その他にも、「彼はついに約束の時間に現れることはなかった」「ついに期日までに実験が成功することはなかった」などのように、打消しの言葉と共に使うことで、ある状態が最後まで続く様子も意味します。
「ついに」の漢字表記
「ついに」は、漢字で「終に」や「遂に」、常用漢字ではありませんが「竟に」という表記をすることができます。
「ついに」を使った言葉として、「鼠口終に象牙なし」「細行を矜まざれば終に大徳を累わす」があります。
「鼠口終に象牙なし」の意味
一つ目の「鼠口終に象牙なし」(読み方:そこうついにぞうげなし)とは、ねずみの口に象牙が生えるようなことは過去にもないという意味から、つまらない人間には立派なことを言えるわけがないことを表すことわざです。
「細行を矜まざれば終に大徳を累わす」の意味
二つ目の「細行を矜まざれば終に大徳を累わす」(読み方:さいこうをつつしまざればついにだいとくをわずらわす)とは、ちょっとした行いでも慎重に行わなければ、最後にはその人の特に悪影響を及ぼすことを意味する故事成語です。
「ついに」の類語
「ついに」の類語・類義語としては、いろいろの経過を経て落ち着いた最後を意味する「結局」、最後の最後を意味する「挙句の果て」、様々な経過を経た最終的な結論を意味する「畢竟」があります。
「やっと」の意味
「やっと」とは
「やっと」とは、長い時間や労力を費やして実現したり、成立する様子を意味しています。
その他にも、「やっと食べていけるだけの賃金ではそろそろ生きていけなくなってきた」などのように、足りてはいるが余裕のない様子も意味します。
「やっと」の漢字表記
「やっと」は、漢字で「漸と」と表記します。ひらがなの表記のままであれば、たくさん、はるかにといった意味としても使います。
「やっと」を使った言葉として、「やっとの思いで」「やっとのことで」があります。
「やっとの思いで」の意味
一つ目の「やっとの思いで」とは、散々苦労してようやく、限界に近い状態を意味する慣用表現です。
「やっとの思いで転がり出た時には建物が炎で覆われていた」「やっとの思いで仕事を終わらせた時には終電がなくなっていた」などのように使うことができます。
「やっとのことで」の意味
二つ目の「やっとのことで」とは、どうにかこうにかを意味する慣用表現です。「やっとのことで母の愚痴から逃れられた」「やっとのことでプレゼン資料に終わりが見えた」などのように使うことができます。
「やっと」の類語
「やっと」の類語・類義語としては、「ようやく」「何とか」「どうにか」「かろうじて」があります。
「とうとう」の意味
「とうとう」とは
「とうとう」とは、物事が最終的にそうなる様子を意味しています。
「とうとう」の漢字表記
「とうとう」は、漢字で「到頭」と表記します。また、「とうどう」という読み方がされることもあります。
また、水がとどまることなく流れる様子を表す「滔滔」、穴などがぽっかりと空いた様子や黒々として奥深い様子を意味する「洞洞」、果てしなく広い様子を意味する「蕩蕩」など、同じ「とうとう」でも漢字の表記が変わると意味も変わります。
副詞は漢字表記をされることがほとんどなく、会話の中で使う場合は表記は関係ないため、文脈で判断する必要があります。
ただし、これらの言葉は形容動詞であることから「とうとうとしている」などのように使われるため、副詞として使われる「とうとう」とは使い方が異なります。
「とうとう」の類語
「とうとう」の類語・類義語としては、年月を経過した後の状態を意味する「果て」、行きつくところを意味する「とどのつまり」があります。
「ついに」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、長い時間の後、最終的にある結果に到達する様子を意味する時などが挙げられます。
どの例文の「ついに」も「とうとう」という言葉に置き換えて使うことができますが、「やっと」という言葉に置き換えてしまうと、不満があるようなニュアンスとなるためあまり適していません。
「やっと」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、長い時間や労力を費やして実現したり、成立する様子を意味する時などが挙げられます。
例文2のように、足りていないわけではないものの余裕がない状態を表す言葉としても使われます。
「とうとう」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事が最終的にそうなる様子を意味する時などが挙げられます。
例文2と例文3の「とうとう」は「ついに」や「やっと」という言葉に置き換えて使うことができますが、例文1は「ついに」しか置き換えて使うことができません。
「ついに」と「やっと」と「とうとう」どれを使うか迷った場合は、最終的な結果を表す場合は「ついに」を、苦労して得た結果を表す場合は「やっと」を、様々な過程を経た上での結果を表す場合は「とうとう」を使うと覚えておけば間違いありません。