似た意味を持つ「黙祷」(読み方:もくとう)と「黙想」(読み方:もくそう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「黙祷」と「黙想」という言葉は、どちらも無言で静かに行う行為を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
黙祷と黙想の違い
黙祷と黙想の意味の違い
黙祷と黙想の違いを分かりやすく言うと、黙祷とは無言で祈ること、黙想とは無言で考えをめぐらすこという違いです。
黙祷と黙想の使い方の違い
一つ目の黙祷を使った分かりやすい例としては、「大勢の被災者に1分間の黙祷を捧げた」「テロの犠牲者に黙祷を捧げる」「黙祷の時間はどれぐらいですか」「黙祷は宗教行為とは限りません」などがあります。
二つ目の黙想を使った分かりやすい例としては、「父はしばらく黙想してから言った」「黙想の効果は何ですか」「剣道の練習終わりに黙想する」「今年度の黙想会は終了しました」「黙想を取り入れている学校です」などがあります。
黙祷と黙想の使い分け方
黙祷と黙想という言葉は、音の響きが似ており、どちらも無言で静かに行う行為を表しますが、意味や使い方には違いがあります。
黙祷とは、無言で祈ることを意味します。戦争や災害で亡くなられた人々を追悼する式典や、故人を偲ぶ法事などにおいて、戦没者や故人に対し静かに黙って冥福を祈る行為を表します。
黙想とは、無言で考えをめぐらすことを意味します。ただ黙って自分の内面に集中し、思いをめぐらせることを表します。精神統一や心を落ち着かせる目的で、武芸や学校で取り入れられています。
つまり、黙祷は他者への祈りであり、黙想は自分の考えを整理したり集中力を高めることです。どちらも無言の行為であるため、表面的には同じように見えますが、目的が異なる行為なのです。
黙祷と黙想の英語表記の違い
黙祷を英語にすると「silent prayer」「moment of silence」となり、例えば上記の「黙祷する」を英語にすると「offer a silent prayer」となります。
一方、黙想を英語にすると「meditation」「muse」となり、例えば上記の「しばらく黙想する」を英語にすると「muse for some time」となります。
黙祷の意味
黙祷とは
黙祷とは、無言のまま心の中で祈ることを意味しています。
表現方法は「黙祷を捧げる」「黙祷をする」「黙祷する」
「黙祷を捧げる」「黙祷をする」「黙祷する」などが、黙祷を使った一般的な言い回しです。
黙祷の使い方
黙祷を使った分かりやすい例としては、「宗教を問わず黙祷をする文化があります」「日本の黙祷は海外の影響を受けている」「黙祷の時間にきまりはありません」「午後2時46分に黙祷を捧げる」などがあります。
その他にも、「1分間の黙祷を捧げます」「この度の黙祷の時間は30秒にします」「黙祷のやり方を教えてください」「被災地の方角へ向かって黙祷する」「英語圏にも黙祷の文化があります」「黙祷と瞑想は違います」などがあります。
黙祷の時間は30秒から1分ほど
黙祷とは、声を立てずに祈りを捧げることをです。戦没者や災害により亡くなった人へ哀悼の意を表す式典や、故人の冥福を祈るお葬式などで行われています。黙祷のスタイルに決まりはありませんが、時間は30秒から1分ほどで、黙祷と同時に目を閉じたり、手を合わせたりする人もいます。
黙祷という言葉の「祷」は神に訴え祈ることを表す漢字ですが、日本における黙祷は宗教的行為とは関係なく、故人に対する弔いのために祈りを捧げる場合を指すことが多くあります。
黙祷の由来
黙祷の由来は古く、中国の唐王朝の詩人「韓愈」の詩に「黙祷」が使われています。日本で黙祷が普及したのは、1923年に発生した関東大震災の被災者を追悼する慰霊祭で、黙祷が行われてからです。
黙祷の類語
黙祷の類語・類義語としては、神仏に請い願うことを意味する「祈り」、神仏に願いがかなうように祈ることを意味する「祈念」、神仏の加護を願い言葉によって除災増福を祈ることを意味する「祈祷」などがあります。
黙想の意味
黙想とは
黙想とは、黙って考えにふけることを意味しています。
表現方法は「黙想する」「黙想を取り入れる」「黙想会」
「黙想する」「黙想を取り入れる」「黙想会」などが、黙想を使った一般的な言い回しです。
黙想の使い方
黙想を使った分かりやすい例としては、「空手の稽古は黙想から始まります」「黙想のやり方を教えて下さい」「帰国子女の友人は英語で黙想するそうだ」「黙想と瞑想を使い分ける」「仏教行事で黙想する」などがあります。
その他にも、「黙想の効果に感情のコントロールがあります」「剣道の礼式では最初に黙想をします」「修道院の黙想会に参加する」「イエズス会の黙想の家を訪ねる」「学校の朝の会で黙想します」などがあります。
黙想とは、声を出さすに黙って深く考えをめぐらすことです。気持ちを落ち着かせるために行ったり、集中力を高めるために空手や剣道などの武芸で取り入れています。また、キリスト教カトリック系の祈りである宗教行為を指すこともあります。
四字熟語「熟思黙想」の意味
黙想とうい言葉を用いた四字熟語には「熟思黙想」があります。沈黙して心を平静にし、じっくりと物事を考えることを意味します。「熟思」とは十分に考えをめぐらすことを意味し、「熟思黙想」は「黙想」よりも、深く考えることを強調した表現になります。
黙想の類語
黙想の類語・類義語としては、だまって思いにふけることを意味する「黙思」、黙って考えることを意味する「黙考」、無言で考えにふけるさまを意味する「黙念」などがあります。
黙祷の例文
この言葉がよく使われる場面としては、 無言のまま心の中で祈祷することを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「黙祷を捧げる」とは、黙祷をする時によく使われる表現です。「捧げる」とは、まごころや愛情を示して相手に尽くすことを意味します。
黙想の例文
この言葉がよく使われる場面としては、無言で考えにふけることを表現したい時などが挙げられます。
例文2や例文5にあるように、黙想は、精神統一を図る目的で武芸の道場などで取り入れていることがあります。
黙祷と黙想という言葉は、どちらも無言で静かに行う行為を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、無言で祈りを捧げることを表現したい時は「黙祷」を、無言で考えにふけることを表現したい時は「黙想」を使うようにしましょう。