似た意味を持つ「斡旋」(読み方:あっせん)と「仲介」(読み方:ちゅうかい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「斡旋」と「仲介」という言葉は、どちらも関係を取り持つことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
斡旋と仲介の違い
斡旋と仲介の意味の違い
斡旋と仲介の違いを分かりやすく言うと、斡旋とは紹介の意味合いが強く、仲介とは話をまとめる意味合いが強いという違いです。
斡旋と仲介の使い方の違い
一つ目の斡旋を使った分かりやすい例としては、「友人に娘の就職の斡旋を頼むことにした」「学生マンションを斡旋します」「人材斡旋の仕事に資格は必要ですか」「斡旋手数料の支払調書を提出する」「職場の斡旋販売で安く手に入れた」などがあります。
二つ目の仲介を使った分かりやすい例としては、「不動産売却の仲介手数料をチェックする」「仲介業者を通して英語留学した」「不動産仲介業を営んでいます」「仲介手数料を交渉して安くしてもらった」などがあります。
斡旋と仲介の使い分け方
斡旋と仲介という言葉は、どちらも関係を取り持つことを表し、不動産取引に関しても使われていますが、意味や使い方には違いがあります。
斡旋とは、間に入って関係や契約が成立するように促すことを意味します。上記の例文にある「学生マンションを斡旋する」とは、学生マンションを探している人に対して、第三者が希望にかなった学生専用のマンションを紹介することを表します。
仲介とは、間に立って話をまとめたり、良好な関係にすることを意味します。上記の例文にある「不動産仲介業」とは、買主と売主もしくは貸主と借主の間に立ち、売買契約や賃貸契約を成立させる仕事のことです。
つまり、斡旋とは紹介するニュアンスが強く、仲介とは話をまとめるニュアンスが強い言葉です。二つの言葉を比べると、斡旋よりも仲介の方が当事者間に深く関与し、解決しようとする意味合いがあります。
斡旋と仲介の英語表記の違い
斡旋も仲介も英語にすると「mediation」「intermediation」となり、例えば上記の「斡旋を頼む」を英語にすると「ask for somebody’s mediation」となります。
斡旋の意味
斡旋とは
斡旋とは、間に入って双方をうまく取り持つことを意味しています。
その他にも、労働関係調整法による労働争議の解決方法の一つ、 行政法上で公益事業用地の紛争を解決するために行われる手続き、の意味も持っています。
斡旋の読み方
斡旋の読み方は「あっせん」です。誤って「あつせん」と読まないようにしましょう。
表現方法は「斡旋する」「斡旋を受ける」「斡旋してもらう」
「斡旋する」「斡旋を受ける」「斡旋してもらう」などが、斡旋を使った一般的な言い回しです。
斡旋の使い方
「人材斡旋業者で仕事を紹介してもらう」「書籍の斡旋販売を行います」「会員様への斡旋価格を設定しております」「斡旋手数料の勘定科目は何ですか」「留学斡旋業者を使わずに海外留学した」などの文中で使われている斡旋は、「間に入って双方をうまく取り持つこと」の意味で使われています。
一方、「労働争議の調整には斡旋、調停、仲裁がある」「会社側が斡旋案を受諾した」などの文中で使われている斡旋は「労働争議の解決方法の一つ」の意味で、「市農業委員会が斡旋事業を行う」の文中で使われている斡旋は「公益事業用地の紛争を解決するための手続き」の意味で使われています。
斡旋という言葉の「斡」とは回すことを表し、「旋」とは仲を取り持つことを表します。斡旋とは、間に入って両者が上手くいくように世話をすることを意味します。一般に、特定の物や人を求めている人に対し、それを紹介することを表すことが多い言葉です。
「職権斡旋」の意味
斡旋という言葉を用いた日本語には「職権斡旋」があります。労働争議が発生した際に、労働委員会の会長の職権に基づいて、斡旋員を指名して行なわせる斡旋を意味します。対比する言葉に、当事者の双方または一方の申請によって開始される「任意斡旋」があります。
斡旋の対義語
斡旋の対義語・反対語としては、仲買人を通さず売り手と買い手とが直接行う取引を意味する「直取引」、間に他のものを置かず直接に結びつけることを意味する「直結」などがあります。
斡旋の類語
斡旋の類語・類義語としては、売買や交渉などで当事者間に立って世話をすることを意味する「周旋」、間に立って斡旋することや取り持つことを意味する「世話」、傍らから言葉を添えてとりなすことを意味する「口添え」などがあります。
仲介の意味
仲介とは
仲介とは、当事者双方の間に立って便宜を図り事をまとめることを意味しています。
その他にも、第三者が紛争当事者の間に立って紛争の解決に努めることの意味も持っています。
表現方法は「仲介をする」「仲介に入る」「仲介に立つ」
「仲介をする」「仲介に入る」「仲介に立つ」などが、仲介を使った一般的な言い回しです。
仲介の使い方
「不動産売買の仲介をする」「仲介手数料の相場が知りたい」「若い二人の間を仲介する」「保険仲介者がコミッションを受け取る」などの文中で使われている仲介は、「当事者双方の間に立って便宜を図り事をまとめること」の意味で使われています。
一方、「中立的な第三者として仲介する」「仲介委員が当事者間に入り和解を目指す」「紛争仲介の手続きを開始する」などの文中で使われている仲介は、「第三者が紛争当事者の間に立って解決に努めること」の意味で使われています。
仲介という言葉は、上記の例文にあるように複数の意味がありますが、一般には、二者の間に立って話をまとめたり、良好な関係にしたりすることの意味で使われています。特に、不動産関係の売買契約をまとめたりすることに関して使われている言葉です。
「仲介手数料」の意味
上記の例文にある「仲介手数料」とは、不動産の売買または賃貸借契約の際に、仲介をした不動産業者に支払う手数料のことです。宅建業法で定義される「媒介報酬」の一般的な呼び方になっています。
「仲介貿易」の意味
仲介という言葉を用いた日本語には「仲介貿易」があります。「三国間貿易」とも言い、外国間の貿易を売買契約の当事者として仲介するだけの貿易を意味します。商品は第三国を通過せず、輸出国から輸入国に向けて輸送され、第三国は仲介手数料を取得する仕組みです。
仲介の対義語
仲介の対義語・反対語としては、人を介さずに本人が直接にする様子を意味する「直直」、間に他のものをはさまないで接することを意味する「直接」などがあります。
仲介の類語
仲介の類語・類義語としては、両者の間に立って事がうまくいくように世話をすることを意味する「取持つ」、両者の間に入って取持つことを意味する「橋渡し」、両方の間に立って仲立ちをすることを意味する「媒介」などがあります。
斡旋の例文
この言葉がよく使われる場面としては、間に入って両者が上手くゆくように世話をすることを表現したい時などが挙げられます。
例文2にある斡旋販売とは、商品やサービスの販売を仲立ちすることを意味し、本業とは別に特定の範囲において商品を紹介する形で販売する際に使われる表現です。
仲介の例文
この言葉がよく使われる場面としては、双方の間に立ってその便宜をはかることを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「不動産仲介会社」とは、土地やマンションなどの不動産に関して、売買契約や賃貸借契約の成立に向けて仲介する会社のことです。例文4にある「仲介者型」とは性格タイプの一つであり、INFP型とも表現されています。
斡旋と仲介という言葉は、どちらも関係を取り持つことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、紹介することを表現したい時は「斡旋」を、話をまとめることを表現したい時は「仲介」を使うようにしましょう。