似た意味を持つ「反面教師」(読み方:はんめんきょうし)と「人の振り見て我が振り直せ」(読み方:ひとのふりみてわがふりなおせ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「反面教師」と「人の振り見て我が振り直せ」という言葉は、どちらも見本にすることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「反面教師」と「人の振り見て我が振り直せ」の違い
「反面教師」と「人の振り見て我が振り直せ」の意味の違い
「反面教師」と「人の振り見て我が振り直せ」の違いを分かりやすく言うと、「反面教師」とは悪い見本でしか使えない、「人の振り見て我が振り直せ」とは悪い見本と良い見本どちらでも使えるという違いです。
「反面教師」と「人の振り見て我が振り直せ」の使い方の違い
一つ目の「反面教師」を使った分かりやすい例としては、「彼を反面教師にして自分はそうしないよう気を付けたい」「彼らは私にとって人生の反面教師です」「場合によっては反面教師になるかもしれません」「彼女は良い反面教師です」などがあります。
二つ目の「人の振り見て我が振り直せ」を使った分かりやすい例としては、「彼の座右の銘は人の振り見て我が振り直せです」「人の振り見て我が振り直せと言い返したくなりました」などがあります。
「反面教師」と「人の振り見て我が振り直せ」の使い分け方
「反面教師」と「人の振り見て我が振り直せ」はどちらも人を見本にする場合に使う言葉ですが、使い方に少し違いがあります。
「反面教師」は見習いたくない行為をしている人を見て、自分はそれをしないようする場合にしか使いません。
一方、「人の振り見て我が振り直せ」は他人の行為をみて自分の行動を改めることで、「反面教師」と同じようなニュアンスだけでなく、人が素晴らしい行為をしているのを見て、自分も習おうとする場合にも使えるというのが一番の違いです。
「反面教師」と「人の振り見て我が振り直せ」の英語表記の違い
「反面教師」を英語で直訳すると「teacher by negative example」となり、例えば上記の「彼女は良い反面教師です」を英語にすると「She is a good example of what not to do」となります。
一方、「人の振り見て我が振り直せ」を直訳した英語はないのですが、近い表現として「 Learn wisdom by the follies of others」があります。
「反面教師」の意味
「反面教師」とは
「反面教師」とは、悪い見本として反省や戒めの材料となる物事や人のことを意味しています。
表現方法は「反面教師にする」「反面教師にさせてもらう」「反面教師と言われた」
「反面教師にする」「反面教師にさせてもらう」「反面教師と言われた」などが、反面教師を使った一般的な言い回しです。
「反面教師」の使い方
「反面教師」を使った分かりやすい例としては、「彼女を反面教師にして自分はそうしないよう気を付けたい」「彼を反面教師にすることで学べることもあるだろう」「彼を反面教師として自分の人生に活かすことにしました」などがあります。
「反面教師」とは、悪い見本として反省や戒めの材料となる物事や人のことを指す四字熟語です。
例えば、自分の父親が全然働かず毎日飲んだくれていて家族みんなに迷惑をかけていたとします。そこで、自分は絶対そういう風にはならないと決めた時に「父親を反面教師とする」と言うことができます。
つまり、悪い見本と参考にして自分はそうならないと決意した場合に使う言葉と覚えておきましょう。また、「反面教師」を使う上で注意しなければいけないのは、悪い見本に対してしか使わず、良い見本に対しては使わないということです。
「反面教師」の由来
「反面教師」の由来は中国共産党の革命家「毛沢東」(読み方:もうたくとう)が発案したと言われています。
毛沢東は演説で、間違った組織というのは少数の間違った人物が中心となって構成されていることから組織全体が間違った状態になっており、大多数はこのことから間違った行いをしてしまいます。
そのため、中心少数の間違った人物を孤立させた上で、その他大多数に対しては正しい教育を施すということで大部分の構成員は正しい状態へと導かれて行くと言いました。これが反面教師の由来になります。
「反面教師」の類語
「反面教師」の類語・類義語としては、他人の誤った行いを自分の行いの参考にすることを意味する「他山の石」、先人の失敗は後人の教訓となることを意味する「前車の覆るは後車の戒め」(読み方:ぜんしゃのくつがえるはこうしゃのいましめ)などがあります。
「人の振り見て我が振り直せ」の意味
「人の振り見て我が振り直せ」とは
「人の振り見て我が振り直せ」とは、他人の行いの善悪を見て自分の行いを反省し改めることを意味しています。
「人の振り見て我が振り直せ」の使い方
「人の振り見て我が振り直せ」を使った分かりやすい例としては、「父親の座右の銘は人の振り見て我が振り直せらしいです」「人の振り見て我が振り直せで絶対にああいうことはしないと誓いました」などがあります。
「人の振り見て我が振り直せ」は他人の行いの善悪を見て自分の行いを反省し改めることを意味することわざです。また、「人の振り見て我が振り直せ」は相手を批判する言葉ではないと覚えておきましょう。
「人の振り見て我が振り直せ」は他人の行動を悪い見本として自分の行い改めてるだけでなく、他人の行動を良い見本として自分の行いを改める場合にも使うことができます。
「人の振り見て我が振り直せ」は「人のふり見て我がふり直せ」でもOK
「人の振り見て我が振り直せ」は、「人のふり見て我がふり直せ」と平仮名を使って表記することも可能です。辞書によっては後者しか載っていない場合もあります。
「人の振り見て我が振り直せ」の類語
「人の振り見て我が振り直せ」の類語・類義語としては、つまらない人間の言ったことでも聞くべきところがあればその言葉を無視することはないことを意味する「人を以て言を廃せず」(読み方:ひとをもってげんをはいせず)などがあります。
「反面教師」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、悪い見本として反省や戒めの材料となる物事や人のことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「反面教師」はマイナスなイメージでしか使わない言葉です。
「人の振り見て我が振り直せ」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、他人の行いの善悪を見て自分の行いを反省し改めることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「人の振り見て我が振り直せ」は前後の文章によってプラスとマイナスどちらのイメージでも使うことが可能です。
「反面教師」と「人の振り見て我が振り直せ」はどちらも見本にすることを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、悪い見本でしか使えないのが「反面教師」、悪い見本と良い見本どちらでも使える「人の振り見て我が振り直せ」と覚えておきましょう。