同じ「ただただ」という読み方の「只々」と「唯々」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「只々」と「唯々」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
只々と唯々の違い
只々と唯々の意味の違い
只々と唯々の違いを分かりやすく言うと、只々とは「ただ」の強調表現、唯々とは「ただ」の強調表現だけでなく、他人の言いなりになるさまも表すという違いです。
只々と唯々の使い方の違い
一つ目の只々を使った分かりやすい例としては、「その絶景に只々息を飲むばかりであった」「赤ちゃんの寝顔は只々可愛い」「只々、旨いビーフカレーが食べたいです」「ホテルのおもてなしに只々感動しました」などがあります。
二つ目の唯々を使った分かりやすい例としては、「孫の誕生は唯々嬉しいものです」「唯々英語を聞いているだけでは英文を書けません」「新たな発見に唯々驚くばかりでした」「努力家の彼女は唯々すごいと思う」などがあります。
只々と唯々の使い分け方
只々と唯々という言葉は、どちらも「ただただ」と読み、もっぱらそのことだけを行うさまの「ただ」の強調表現です。二つの言葉は、ひたすらな様子や心からそう思うさまを表します。そのため、上記の例文にある「只々」と「唯々」は互いに置き換えることが出来ます。
さらに「唯々」という言葉には、「いい」という読み方があります。この読み方になると「他人の言うがままになるさま」という別な意味になり、「唯々として従う」とは言いなりになって従うことを表します。この場合、「唯々」を「只々」に置き換えることは出来ません。
つまり、只々は読み方や意味は一つですが、唯々は読み方が二つあり、読み方によって意味が異なります。唯々と表記されている場合には、文脈により読み方と意味を捉える必要があります。
なお、「ただ」の強調表現である只々と唯々という言葉は、一般的には「ただただ」と平仮名で書かれています。特にこだわりがない場合には、「ただただ」と平仮名表記をする方が良いでしょう。
只々と唯々の英語表記の違い
只々も唯々も英語にすると「just」「simply」「absolutely」となり、例えば上記の「只々息を飲むばかり」を英語にすると「simply breathtaking」となります。
只々の意味
只々とは
只々とは、ひたすら、もっぱらを意味しています。
只々の使い方
只々を使った分かりやすい例としては、あまりの美味しさに只々感動です」「只々好きというだけでは生活は出来ません」「只々英語の単語を覚えるのは効率が悪いです」「只々一人になりたくて宿を取りました」などがあります。
その他にも、「情けなくて只々涙が出るばかりでした」「突然の再会に只々嬉しい気持ちで一杯です」「只々意味もなく喋り続けた」「只々旨いマーボー豆腐が食べたい」「只々無心になって本を読み続けた」などがあります。
只々の読み方
只々の読み方は「ただただ」です。「只」という漢字は、訓読みで「ただ」と読みます。音読みでは「し」と読みますが、「しし」という言葉はありません。また、「只管」と書いて「ひたすら」と読み、只々と只管はほぼ同じ意味を持ちます。
只々という言葉は、それより他にないと限定するさま「ただ」を強めていう語であり、一途に、もっぱらを意味します。只々は、後ろに続く言葉を強調する言葉であり、「只々涙が出るばかり」のように「ばかり」や「だけ」という範囲を限定する語句を伴うことがあります。
只々の類語
只々の類語・類義語としては、他を考えないで一つのことに打ち込むことを意味する「一途」、一つの物事だけに心を向けているさまを意味する「直向き」、そのものだけであることを意味する「一重」などがあります。
唯々の意味
唯々の意味
唯々とは、ひたすら、もっぱらを意味しています。
唯々の使い方
唯々を使った分かりやすい例としては、「我が子を唯々可愛いと思って育ててきました」「楽しみがなく唯々只管に日本酒を飲む毎日です」「彼のおもてなしに唯々感動した」「ご無事を唯々祈るばかりです」などがあります。
その他にも、「突然の朗報に唯々驚くばかりでした」「唯々日本が好きで日本語を勉強しました」「アニメが唯々好きというだけです」「唯々英語に興味があるだけで移住したくはありません」などがあります。
唯々の読み方
唯々の読み方には「ただただ」「いい」の二通りあります。「ただただ」と読む場合は、只々と全く同じ意味になり、「ただ」を強調する語になります。上記の例文にある「唯々只管に」とは、「ただただひたすらに」と読み、一つのことだけに集中したり、そのことだけをする様子を表します。
唯々を「いい」と読む場合は、意見に従って少しも逆らわないさまを意味します。唯々という言葉を使った四字熟語の「唯々諾々」とは、事のよしあしに関わらず他人の意見にしたがう様子を表します。
唯々の類語
唯々の類語・類義語としては、ただそのことだけをするさまを意味する「偏に」、ただ一つのことに心を傾けるさまを意味する「一筋」、物事をいちずに思いこむ性質であるさまを意味する「一本気」などがあります。
只々の例文
この言葉がよく使われる場面としては、そのことだけをするさまの「ただ」を強める表現をしたい時などが挙げられます。
「只々」とは、そのことに集中するさまや、それより他にないと限定するさまを表します。上記の例文の「只々」は、「ひたすら」「もっぱら」「一途に」などと言い換えることができます。また、「ただただ」と平仮名で書き表すことが多くあります。
唯々の例文
この言葉がよく使われる場面としては、そのことだけをするさまの「ただ」を強めるを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にある唯々は、只々と同じ意味で使われているため、只々に置き換えても問題ありません。また、「ひたすら」「もっぱら」「一途に」などと言い換えることができます。平仮名表記で「ただただ」と書くことが一般的です。
只々と唯々という言葉は、どちらも「ただ」の強調表現であり、もっぱらそのことだけを行うさまを表します。さらに「唯々」には「いい」という読み方もあり、他人に逆らわないで言いなりになるさまを意味することを覚えて置きましょう。