似た意味を持つ「四面楚歌」(読み方:しめんそか)と「八方塞がり」(読み方:はっぽうふさがり)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「四面楚歌」と「八方塞がり」という言葉は、どちらも周囲の者が反対者ばかりのことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「四面楚歌」と「八方塞がり」の違い
「四面楚歌」と「八方塞がり」の意味の違い
「四面楚歌」と「八方塞がり」の違いを分かりやすく言うと、「四面楚歌」よりも「八方塞がり」の方が厳しい状況という違いです。
「四面楚歌」と「八方塞がり」の使い方の違い
一つ目の「四面楚歌」を使った分かりやすい例としては、「彼女は職場で四面楚歌の状況です」「四面楚歌にならないように注意しよう」「反対意見ばかりでまさに四面楚歌です」「誰も信用できない四面楚歌の状況です」などがあります。
二つ目の「八方塞がり」を使った分かりやすい例としては、「問題解決の糸口が見えない八方塞がりな状況です」「彼が八方塞がりなのは自業自得です」「八方塞がりの状況で何かと希望を見出そうとしている」などがあります。
「四面楚歌」と「八方塞がり」の使い分け方
「四面楚歌」と「八方塞がり」はどちらも似た意味を持つ言葉ですが、使い方には少し違いがあるので注意が必要です。
「四面楚歌」は周囲の者が反対者ばかりで味方がいないが、何とかなる可能性が少しは残っています。一方、「八方塞がり」は周囲の者が反対者ばかりで手の打ちようがない状況で使う言葉です。
そのため、「四面楚歌」よりも」「八方塞がり」の方がより厳しい状況というのが違いになります。
「四面楚歌」と「八方塞がり」の英語表記の違い
「四面楚歌」を英語にすると「be hemmed in by enemies」となり、例えば上記の「彼女は職場で四面楚歌の状況です」を英語にすると「She is surrounded by enemies on all sides at the workplace」となります。
一方、「八方塞がり」を英語にすると「be up against the wall」「be stuck in」なり、例えば上記の「私八方塞がりになってしまった」を英語にすると「I’m up against the wall」となります。
「四面楚歌」の意味
「四面楚歌」とは
「四面楚歌」とは、周囲の者が反対者ばかりであることを意味しています。
「四面楚歌」の使い方
「四面楚歌」を使った分かりやすい例としては、「四面楚歌のこの村で彼女がただ一人味方です」「わがままばかり言っていたら四面楚歌になってしまった」「四面楚歌の状況を打破することができません」などがあります。
「四面楚歌」とは周囲が全て敵や反対者で孤立していて、助けや味方がいないことを意味する四字熟語です。「四面楚歌」は昔からある言葉ですが、現代でも使われています。
「四面楚歌」は味方がいないことや助けがないことを意味している言葉なので、一般的にはマイナスなイメージを持って使います。また、「四面楚歌」は四字熟語なので、ビジネスシーンにおいても使うことが可能です。
「四面楚歌」の由来
四面楚歌の由来は中国の史記の「項羽本紀」の故事になります。
「項羽本紀」は楚(読み方:そ)と漢(読み方:かん)が起こした戦争のお話で、楚の項羽が漢の高祖に敗れて、垓下で包囲された時、夜更けに四面の漢軍が盛んに楚の歌を歌うのを聞きました。この歌声を聞いた項羽は楚の民がすでに漢に降伏したと思い絶望してしまいました。
これが転じて、周囲が全て敵や反対者で孤立していて、助けや味方がいないことを「四面楚歌」というようになりました。
「四面楚歌」の類語
「四面楚歌」の類語・類義語としては、施すべき手段や方法がなくて困ることを意味する「手詰まり」、もはやお終いで何をしてもだめなことを意味する「万事休す」(読み方:ばんじきゅうす)、支援する者がない中一人で懸命に戦うことを意味する「孤軍奮闘」などがあります。
「八方塞がり」の意味
「八方塞がり」とは
「八方塞がり」とは、どの方面にも差し障りがあって手の打ちようがないことを意味しています。
「八方塞がり」の使い方
「八方塞がり」を使った分かりやすい例としては、「何をやってもダメな八方塞がりの状況です」「八方塞がりのこの状況では自分の直感を信じるしかありません」「八方塞がりで打開策が見つからない」などがあります。
「八方塞がり」はどのような手段もなく、どうしようもなくってしまうというマイナスなイメージを持つ慣用句です。すでに悪いことが起きており、改善しようがない場合などに使います。
「八方塞がり」の由来
「八方塞がり」の由来は陰陽道です。陰陽道を簡単に言うならば、中国の占いのことを指しています。「八方塞がり」は元々陰陽道の言葉で、どの方角に向かって事を行っても、不吉な結果が予想されることを意味する言葉でした。現代ではこの意味ではほとんど使われていません。
これが転じて、どの方面にも差し障りがあって手の打ちようがないことを「八方塞がり」と言うようになりました。
「八方塞がり」の類語
「八方塞がり」の類語・類義語としては、逃げることのできない苦境に立たされることを意味する「絶対絶命」、頼るものがなく一人ぼっちで助けのないこと意味する「孤立無援」、もうこれ以上後ろには下がれないことを意味する「後がない」などがあります。
「四面楚歌」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、周囲の者が反対者ばかりであることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「四面楚歌」はマイナスなイメージで使われることが多い言葉です。
「八方塞がり」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、どの方面にも差し障りがあって手の打ちようがないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「八方塞がり」はマイナスなイメージで使われることが多い言葉です。
「四面楚歌」と「八方塞がり」はどちらも周囲の者が反対者ばかりのことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、「四面楚歌」よりも「八方塞がり」の方がより厳しい状況で使うと覚えておきましょう。