似た意味を持つ「当方」(読み方:とうほう)と「弊方」(読み方:へいほう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「当方」と「弊方」という言葉は、どちらも自分たちが属している組織を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
当方と弊方の違い
当方と弊方の意味の違い
当方と弊方の違いを分かりやすく言うと、弊方とは当方のへりくだった言い方という違いです。
当方と弊方の使い方の違い
一つ目の当方を使った分かりやすい例としては、「当方の手違いで連絡が遅くなりました」「当方は一切の責任を負いかねます」「早急に当方宛にご連絡下さい」「当方よりメール便にて発送致します」などがあります。
二つ目の弊方を使った分かりやすい例としては、「弊方宛までご連絡願います」「弊方の見解を申し上げます」「弊方のサービスをご利用頂き有難うございます」「弊方の不手際で発送が遅れてしまいました」などがあります。
当方と弊方の使い分け方
当方と弊方という言葉は、どちらも自分個人や自分が属している会社や組織を表し、「こちら」「我々」などを意味します。二つの言葉は同じ意味を持ちますが、使い方には違いがあります。
弊方は、当方の謙譲語です。当方も弊方も「私ども」を意味しますが、相手を敬って自分たちのことへりくだった表現が弊方になります。「当方宛までご連絡ください」よりも「弊方宛までご連絡ください」の方が、より畏まって相手に敬意を表すことが出来ます。
ただし、弊方という言葉があまり一般的ではなく、会話の中で理解されないこともあります。当方という言葉も丁寧な表現であるため、会話の中では、広く使われれいる当方を用いた方が無難です。
当方と弊方の英語表記の違い
当方も弊方も英語にすると「I」「our part」「our side」となり、例えば上記の「当方の手違いで」を英語にすると「Through a slipup on our part」となります。
当方の意味
当方とは
当方とは、自分の属している方、自分の方を意味しています。
当方の読み方
当方の読み方は「とうほう」です。誤って「とうかた」「あてかた」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「当方オタク」「当方にて」「当方の責任」
「当方オタク」「当方にて」「当方の責任」などが、当方を使った一般的な言い回しです。
当方の使い方
当方を使った分かりやすい例としては、「ただいま当方にて確認中です」「当方の提案に反対意見があるようだ」「当方はビジネスで使われる一人称です」「当方よりメールにてご連絡いたします」などがあります。
その他にも、「当方オタクのふるゆわ女子です」「当方2児の母、実母の子育て論がうざいです」「現在、当方に迎撃の用意あります」「当方ジャニオタです、情報交換しましょう」「当方の缶バッチと交換しませんか」などがあります。
当方とは、自分が所属している組織や団体を指す一人称の言葉であり、「こちら」や「私ども」などと言い換えることができます。会社で使う場合、取引先や顧客など社外の人に対して使います。社内の人に対して使うことは出来ません。
当方という言葉は、主にビジネスシーンにおいて使用する言葉ですが、日常生活においても畏まった表現をしたい時に用いられています。特に、個人間で行われているインターネット上のオークションやフリ-マーケットで「私」の意味で使われることがあります。
当方の対義語
当方の対義語・反対語としては、相手方を意味する「先方」、三人称の人代名詞を意味する「彼方」(読み方:あちら)などがあります。
当方の類語
当方の類語・類義語としては、話し手自身や話し手の側を意味する「此方」(読み方:こちら)、一人称の人代名詞を意味する「私」、官職についている人が自分をへりくだっていう語を意味する「小職」などがあります。
弊方の意味
弊方とは
弊方とは、自分の属している方や自分の方を謙遜していう語を意味しています。
弊方の使い方
弊方を使った分かりやすい例としては、「弊方の不手際を深くお詫び申し上げます」「弊方宛のお問い合わせはこちらまで」「弊方は下名のひとつです」「弊方のプライバシーポリシーをお知らせします」などがあります。
その他にも、「弊方よりご説明いたします」「弊方の商品に不具合がございましたらご連絡ください」「弊方の事務所を移転することにしました」「発送の際は弊方から確認メールをお送りします」などがあります。
弊方という言葉の「弊」とは、自分のことにつける謙称です。「弊社」が自分の会社をへりくだっていう語であるように、弊方とは、自分の側や自分が属する組織側ををへりくだっていう言葉です。「我々」や「当方」の謙譲語だと捉えれば良いでしょう。
弊方よりも弊社の方が使われる
現在では、自分が属する会社を表す時に「弊社」を用いることが多く、「弊方」はあまり使われていません。自分が属している組織が会社ではなく、団体であったり組合である場合、あるいは自分個人を指す場合に用いられることがあります。
弊方の対義語
弊方の対義語・反対語としては、相手の側やその人を意味する「相手方」、相手や先方を意味する「向こう」などがあります。
弊方の類語
弊方の類語・類義語としては、自分をへりくだっていう語を意味する「下名」、自分や自分が所属する集団などをへりくだっていう語を意味する「私共」、自分の会社をへりくだっていう語を意味する「弊社」、官職にある者が自分をさしていう語を意味する「本官」などがあります。
当方の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分の属している方、自分の方を表現したい時などが挙げられます。
当方という言葉はビジネスシーンで使われることが多い言葉ですが、例文3から例文5のように、日常会話やインターネット上でも個人の一人称として使われることがあります。
弊方の例文
この言葉がよく使われる場面としては、自分や自分側の組織を指すへりくだった言い方を表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「下名」とは、一人称の人代名詞であり、弊方と同じように自分をへりくだっていう語です。例文5について、弊方は自分たちの組織を指す言葉であり、同じ組織の人に使用することは誤用になります。
当方と弊方という言葉は、どちらも自分たちが属している組織を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、より相手を敬って自分たちのことを控えめに表現したい時は「弊方」を使うようにしましょう。