似た意味を持つ「拝察いたします」(読み方:はいさついたします)と「お察しいたします」(読み方:おさっしいたします)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「拝察いたします」と「お察しいたします」という言葉は、どちらも気持ちや事情を察することを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「拝察いたします」と「お察しいたします」の違い
「拝察いたします」と「お察しいたします」の意味の違い
「拝察いたします」と「お察しいたします」の違いを分かりやすく言うと、「拝察いたします」の方が「お察しいたします」よりも丁寧な表現という違いです。
「拝察いたします」と「お察しいたします」の使い方の違い
一つ目の「拝察いたします」を使った分かりやすい例としては、「慣れない環境での生活はご心労拝察いたします」「皆様のご苦労はいかほどかと拝察いたします」「息子さんの悲しみはいかばかりかと拝察いたします」などがあります。
二つ目の「お察しいたします」を使った分かりやすい例としては、「お仕事でのご苦労お察しいたします」「皆様のご不安な気持ちお察しいたします」「あなたのご心中をお察しいたします」などがあります。
「拝察いたします」と「お察しいたします」の使い分け方
「拝察いたします」と「お察しいたします」はどちらも気持ちや事情を察することを意味しており、大きな違いはありません。あえて違いを挙げるならば、「拝察いたします」の方が「お察しいたします」よりも丁寧な表現という点です。
また、「お察しいたします」は敬語表現ではあるものの、上から目線な表現と捉える人もいるため、目上の人に対して使う場合は注意するようにしましょう。
もし、どちらを使うか迷うのであれば、より丁寧な表現である「拝察いたします」を使うのが無難です。
「拝察いたします」と「お察しいたします」の英語表記の違い
「拝察いたします」も「お察しいたします」も英語にすると「my thoughts are with you」「guess」「infer」「surmise」となり、例えば上記の「息子さんの悲しみはいかばかりかと拝察いたします」を英語にすると「My thoughts are with you and your son at this most difficult time」となります。
「拝察いたします」の意味
「拝察いたします」とは
「拝察いたします」とは、気持ちや事情を察することを意味しています。
表現方法は「ご心労拝察いたします」「ご多忙のことと拝察いたします」
「ご心労拝察いたします」「ご多忙のことと拝察いたします」「ご健勝のことと拝察いたします」などが、「拝察いたします」を使った一般的な言い回しになります。
「拝察いたします」の使い方
「拝察いたします」を使った分かりやすい例としては、「この度はお喜びのことと拝察いたします」「お忙しいことと拝察いたしますがご対応いただければ幸いです」「ご多用だと拝察いたしますがご返信いただけるようお願い申し上げます」などがあります。
「拝察いたします」は気持ちや事情を察することを意味する「拝察」に、「する」の丁重語の「いたす」と丁寧語の「ます」が合わさった敬語表現です。
「拝察いたします」は二重敬語と勘違いしやすい言葉ですが、二重敬語ではなく正しい敬語表現になります。
二重敬語とは「尊敬語+尊敬語」「謙譲語+謙譲語」「丁寧語+丁寧語」などのように、一つ語の中に同じ種類の敬語を重複させてしまう間違った敬語の使い方です。
「拝察いたします」は謙譲語の「拝察」、丁重語の「いたす」、丁寧語の「ます」から成り立っている言葉なので、上記の例には当てはまらない正しい日本語になります。
丁重語とは謙譲語の一種で謙譲語Ⅱとも言われており、自分や身内の行動を謙る場合に使う言葉です。謙譲語は自分の行動を謙り行為の受け手に敬意を示す場合に使うのに対して、丁重語は自分の行動を謙り、話の聞き手に敬意を示す場合に使うというのが違いになります。
ただし、より丁寧に表現しようとして、「ご拝察いたします」としてしまうと、二重敬語の例に当てはまってしまうので注意しましょう。なぜなら、接頭語の「ご」が謙譲語表現になるからです。
「ご拝察いたします」は敬語表現なのでビジネスシーンにおいて使うことができます。また、とても丁寧な表現なので、上司や取引先などの目上の人に対して使っても問題ありません。
「拝察いたします」の類語
「拝察いたします」の類語・類義語としては、他人の思いや事情を状況から推し測ることを意味する「ご推察いたします」、他人の事情を推察することを意味する「恐察いたします」などがあります。
「お察しいたします」の意味
「お察しいたします」とは
「お察しいたします」とは、気持ちや事情を察することを意味しています。
「お察しいたします」の漢字表記
「お察しいたします」を漢字にすると、「御察しいたします」と表記することができますがあまり一般的ではありません。余程の理由がない限り、ひらがなの「お察しいたします」を使うようにしましょう。
表現方法は「ご苦労お察しいたします」「胸中お察しいたします」
「ご苦労お察しいたします」「胸中お察しいたします」などが、「お察しいたします」を使った一般的な言い回しになります。
「お察しいたします」の使い方
「お察しいたします」を使った分かりやすい例としては、「大学合格までの道のりは大変だったとお察しいたします」「その件に関しては心中お察しいたします」「さぞご心配なさっていることと胸中お察しいたします」などがあります。
「お察しいたします」は察するの謙譲語である「お察し」に、「する」の丁重語の「いたす」と丁寧語の「ます」が合わさり、気持ちや事情を察することを意味する敬語表現です。
「お察しいたします」は敬語表現なのでビジネスシーンにおいても使うことができる言葉ですが、人によっては失礼だと感じる人もいるため、使う際は十分に注意するようにしましょう。
なぜなら、「お察しいたします」は気持ちは分かりますよというニュアンスで使う言葉なので、やや上から目線に感じることが多い言葉だからです。
もし、目上の人に使いたいのであれば、「心中お察しいたします」「ご心労お察しいたします」などのように、より丁寧な表現にする必要があると覚えておきましょう。
「お察しいたします」の類語
「お察しいたします」の類語・類義語としては、相手を敬ってその人が推察することを意味する「賢察いたします」、相手の手厚い配慮や好意などに対して深く感じいることを意味する「痛み入ります」があります。
「拝察いたします」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、気持ちや事情を察することを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「拝察いたします」はビジネスシーンにおいても使うことができる言葉です。
「お察しいたします」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、気持ちや事情を察することを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「お察しいたします」はビジネスシーンにおいても使うことができる言葉です。
「拝察いたします」と「お察しいたします」はどちらも気持ちや事情を察することを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、よりも丁寧な表現である「拝察いたします」を使うのが無難と覚えておきましょう。