【何卒】と【どうぞ】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「何卒」(読み方:なにとぞ)と「どうぞ」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「何卒」と「どうぞ」という言葉は、どちらも丁重に頼んだり心から願ったりする気持ちを表すことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




「何卒」と「どうぞ」の違い

「何卒」と「どうぞ」の意味の違い

「何卒」と「どうぞ」の違いを分かりやすく言うと、「何卒」は書き言葉、「どうぞ」は話し言葉という違いです。

「何卒」と「どうぞ」の使い方の違い

一つ目の「何卒」を使った分かりやすい例としては、「何卒お許しくださいませ」「今後とも何卒宜しくお願いいたします」「明日の会議には何卒ご出席ください」「恐縮ですが何卒よろしくお願いいたします」などがあります。

二つ目の「どうぞ」を使った分かりやすい例としては、「どうぞよろしくお願いします」「この程度の怪我でしたらすぐ治りますのでどうぞご安心ください」「何かありましたらどうぞお気軽にご連絡ください」などがあります。

「何卒」と「どうぞ」の使い分け方

「何卒」と「どうぞ」はどちらも丁重に頼んだり心から願ったりする気持ちを表すことという同じ意味を持つ言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。

「何卒」は主にメールや文章などで使われる書き言葉なのに対して、「どうぞ」は主に会話で使用される話し言葉というのが違いになります。

また、「何卒」の方が「どうぞ」よりも丁寧な言い回しなので、ビジネスシーンなどのかしこまった場面では「何卒」の方を使うのが適していると言えるでしょう。ただし、「何卒」は書き言葉なので、会話などで使う場合は「どうぞ」の方が一般的になっています。

「何卒」と「どうぞ」の英語表記の違い

「何卒」も「どうぞ」も英語にすると「please」「kindly」となり、例えば上記の「恐縮ですが何卒よろしくお願いいたします」を英語にすると「I’m sorry to trouble you, but please take good care of us」となります。

「何卒」の意味

「何卒」とは

「何卒」とは、相手に強く願う気持ちを表すことを意味しています。

「何卒」の読み方

「何卒」の正しい読み方は「なにとぞ」になります。「卒」という漢字は「とぞ」よりも「そつ」と読むのが一般的になっているため、間違えやすいですが気をつけるようにしましょう。

「何卒」の使い方

「何卒」を使った分かりやすい例としては、「何卒ご理解のほどよろしくお願い申し上げます」「ご理解ご協力の程何卒よろしくお願いいたします」「何卒お取り次ぎの程をお願い申し上げます」」などがあります。

「何卒」は相手に強く願う気持ちを表すことを意味する言葉ですが、主に目上の人に対して使います。そのため、ビジネスシーンにおいて頻繁に使われている言葉です。

また、「何卒」は書き言葉なので、会話などで使うのはあまり一般的ではありません。そのため、ビジネスメールでのお願いや謝罪に使う言葉と覚えておきましょう。

「何卒」の類語

「何卒」の類語・類義語としては、心をこめて強く願うことを意味する「是非」、心から丁重に頼み込む気持ちのことを意味する「どうか」、どうやってでものことを意味する「何としても」などがあります。

「どうぞ」の意味

「どうぞ」とは

「どうぞ」とは、丁重に頼んだり心から願ったりする気持ちを表すことを意味しています。その他にも、相手に物事を勧めたり、承知や許可を与えたりする気持ちを表すことの意味も持っています。

「どうぞ」の使い方

「どうぞ彼女が東大に合格しますように」「ご無礼をどうぞお許しください」などの文中で使われている「どうぞ」は、「丁重に頼んだり心から願ったりする気持ちを表すこと」の意味で使われています。

一方、「こちらがカレーライスになります。どうぞお召し上がりください」「気になるものがありましたらどうぞお手に取ってみてください」などの文中で使われている「どうぞ」は、「相手に物事を勧めたり、承知や許可を与えたりする気持ちを表すこと」の意味で使われています。

「どうぞ」は丁重に頼んだり心から願ったりする気持ちを表すことと、相手に物事を勧めたり、承知や許可を与えたりする気持ちを表すことという二つの意味を持つ言葉ですが、どちらの意味でも使われています。

また、「どうぞ」は話し言葉なので、会話などのにおいて使うのが一般的です。

「どうぞ」という言葉自体は敬語ではないので、丁寧に表現したい場合は、「してください」などの丁寧な言葉と一緒に使うようにしましょう。

「どうぞ」は少しフランクな印象がある言葉なので、ビジネスシーンで使う場合は場面や場所を選んで使うのが無難です。

「どうぞ」の類語

「どうぞ」の類語・類義語としては、心をこめて強く願うことを意味する「是非とも」、願うところのことを意味する「願わくは」、何度も心をこめて依頼や懇願することを意味する「くれぐれも」などがあります。

「何卒」の例文

1.誠に勝手ながら本日は休業日とさせていただきます。何卒ご了承のほどよろしくお願いいたします。
2.今後とも、何卒ご指導ご鞭撻賜りますようよろしくお願い申し上げます
3.これから暑い日が続きますので、何卒お体にお気をつけてお過ごしくださいませ。
4.今月の27日にお伺いしますので、何卒よろしくお願い申し上げます。
5.工事は1ヶ月ほど続きます。騒音や振動などでご迷惑をおかけしますが、何卒ご理解のほどよろしくお願いいたします。
6.会合の日程につきまして、諸事情により急遽変更することになりました。大変恐縮ではございますが、何卒ご理解の程お願い申し上げます。
7.先日の商談に関しまして検討した結果、希望された価格ですと採算が取れないため誠に残念ながらお受けいたしかねます。何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。
8.明日の10周年記念式典にはなるべく多くの方が参加いただきますよう何卒よろしくお願いいたします。
9.わたしはどうしてもその技術を知りたかったので、何卒このわたくし目にその技術を教えてくださいませんかと頭を深々と下げたのだ。
10.この度は弊社社員がご迷惑をおかけして大変申し訳ございません。本人も深く反省をしておりますので何卒ご容赦くださいますようお願い申し上げます。

この言葉がよく使われる場面としては、相手に強く願う気持ちを表すことを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文のように、「何卒」はビジネスシーンにおいてよく使われている言葉です。

「どうぞ」の例文

1.娘がどうぞ大学に合格できますようにと、神社でお祈りしました。
2.本日付で入社した阿部と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
3.大丈夫ですよ、この程度の傷でしたらすぐ治りますので、どうぞご安心ください。
4.もう少し担当の者が参りますので、どうぞこちらにお掛けになってお待ちください。
5.お礼の印して、お菓子をお送りいたしましたので、どうぞお召し上がりください。
6.シェフからどうぞお召し上がりくださいと言われ、わたしはその料理を口にすると、やはりプロの作るものだからそれなりにおいしかった。
7.あの事件があった後、彼女はご無礼をどうぞお許しくださいと置手紙をして、どこかに行ってしまったのだ。
8.どうぞお好きなものをお選びくださいと言われたものの、一番高い料理を頼むのも気が引けたので3番目に高いものを選んだ。
9.当初スタッフの人からこのサービスは無料ですのでどうぞご安心くださいと言っていたのに、気づいたら有料プランの契約を結ばされそうになっていた。
10.お互いどうぞ、どうぞと譲り合いの気持ちはいいものだが、譲り合うだけで一向に誰も行こうとしないので、それはそれで面倒くさいなと思った。

この言葉がよく使われる場面としては、丁重に頼んだり心から願ったりする気持ちを表すことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、相手に物事を勧めたり、承知や許可を与えたりする気持ちを表すことを表現したい時にも使います。

例文1と例文2の「どうぞ」は丁重に頼んだり心から願ったりする気持ちを表すこと、例文3から例文5の「どうぞ」は相手に物事を勧めたり、承知や許可を与えたりする気持ちを表すことの意味で使っています。

「何卒」と「どうぞ」はどちらも丁重に頼んだり心から願ったりする気持ちを表すことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、「どうぞ」は話し言葉、「何卒」は書き言葉と覚えておきましょう。

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