【御大】と【首領】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「御大」(読み方:おんたい)と「首領」(読み方:しゅりょう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「御大」と「首領」という言葉は、団体のトップに立つ人物という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




御大と首領の違い

御大と首領の意味の違い

御大と首領の違いを分かりやすく言うと、御大は親しみを込めた愛称として使い、首領は第三者による呼称を表現する時に使うという違いです。

御大と首領の使い方の違い

一つ目の御大を使った分かりやすい例としては、「御大は人を見る目があるため組織を大きくすることが出来てきた」「バッハ御大の楽曲は学生時代の音楽の時間に鑑賞した」「怖いと恐れられている御大のどこが怖いのか自分には理解できない」などがあります。

二つ目の首領を使った分かりやすい例としては、「その物語では悪党の首領がスラム街の人々を救っていた」「首領格を捕まえることができればこの事件も解決となる」「首領の命令に背けば何が起きるかは想像に容易い」などがあります。

御大と首領の使い分け方

御大は「御大将」という尊称を省略した言葉で、尊敬する相手に対する親しみを込めて愛称として呼び掛けの際に使われている言葉です。

一方の首領は、第一位や上に立つ人を意味する首という漢字と、重要なところや中心人物、先頭に立って人々を率いることを意味する領という漢字を組み合わせた言葉で、ここに話者や書き手の感情は込められていません。

御大と首領のどちらの言葉も、団体や組織の長である人物に対して使う言葉ですが、前者は付き合いやすかったり話しやすい相手に対する呼び方として使われ、後者は呼びかけ以外に身分や地位を示す言葉として使われるという違いがあります。

御大と首領の英語表記の違い

御大も首領も英語にすると「boss」「leader」「chief」となり、例えば上記の「悪党の首領」を英語にすると「the leader of a group of villains」となります。

御大の意味

御大とは

御大とは、仲間や団体のトップに対する愛称を意味しています。

御大の読み方

御大は「おんたい」という読み方をする言葉ですが、御大将の省略であることもあり、「おんだい」「ぎょだい」「ぎょたい」「ごたい」などの他の読み方はできません。

また、「おだい」という読み方をすることもできますが、この場合は大という漢字が大黒の略となって僧侶の妻を表したり、大尽の略となって金持ちを表す言葉に変わるため、「おんたい」と読む場合とは大きく異なります。

親しみを込めた呼び方で、有名人や重要人物であったり敬うべき相手、偉大な業績を収めた人物に対して使われています。ただし、相手への蔑称として使われることもあり、その場合は「温帯」と別の表記がなされることもあります。

御大の使い方

御大を使った分かりやすい例としては、「御大から得た知識はこれからの生活で十分に役立つ」「ラヴクラフト御大は無類の猫好きだったと言われている」「御大ヒトラーは大衆を動かすほど話術に長けていたと言えるだろう」などがあります。

その他にも、「御大のような人が現れるだけで意識がそちらへと吸い寄せられていく」「功績を称えられてファンからは御大と呼ばれている」「御大のことは母に話を聞いたことしかない」などがあります。

御大という言葉だけで偉業を成し遂げた人物を表すこともありますが、「ラヴクラフト御大」のように名前の後ろに付ける場合や、「御大ヒトラー」のように名前の前に付ける場合もあります。ただし、御大は女性に対してあまり使われることはありません。

御大の類語

御大の類語・類義語としては、集団のトップに対する敬称を意味する「お頭」、弟子などを指導し保護する立場にある人を意味する「親方」、団体の人々を統率する人を意味する「頭目」、集団のかしらを意味する「棟梁」などがあります。

御大の対義語

御大の対義語・反対語としては、ある人の支配下にある人を意味する「手下」、ある人の支配下にあって服従する者を意味する「子分」、使われる者たちを意味する「手先」があります。

首領の意味

首領とは

首領とは、仲間の長を意味しています。

首領の読み方

首領は「しゅりょう」という読み方をする言葉ですが、日本では当て字で「ドン」という読み方をすることもあります。

これは、スペインやイタリアなどにおいて、男性の名前の前に付ける敬称の「ドン」が権力者という意味を持つことから、1980年代頃から日本でも同じ意味でドンという言葉が使われるようになり始めます。

首領の使い方

首領を使った分かりやすい例としては、「首領格の男性は下っ端の人たちには姿を見せないらしい」「暴徒たちの首領が逮捕されたことでその組織はほぼ壊滅した」「首領として誰かに命令する立場になるなんてことはない」などがあります。

その他にも、「このクラスの首領とされる彼女は多くの人に慕われているようだった」「ゲリラ暴動を起こした首領が隣国に逃げたようだ」「強盗メンバーの首領株は細身の男性という話だ」などがあります。

「首領格」「首領株」の意味

上記例文の「首領格」や「首領株」などは、首領の身分や地位を表す言葉として使われており、実際には首領がいない、もしくは存在の有無が確認できないもののメンバーを束ねる人物を指す時に使われています。

首領の類語

首領の類語・類義語としては、その任務を中心に行う人を意味する「主任」、人々を指揮することを意味する「司令」、仲間の中心になる人物を意味する「親玉」、悪事や謀反などの首謀者を意味する「首魁」、組織の長を意味する「ボス」などがあります。

首領の対義語

首領の対義語・反対語としては、ある人の支配下にあることを意味する「配下」、組織などにおいて指示や命令を受けて行動する人を意味する「部下」があります。

御大の例文

1.このクーデタでは御大の戦術によって少しばかりのダメージを負うだけで済んだため、軍師としても崇められることとなった。
2.今では御大クラスの芸能人とされる人たちが過去に出演したテレビ番組は、時たま登場シーンだけ流されることもある。
3.母に、御大とはいつ頃結婚して、いつ頃共に住み始めたのかなど矢継ぎ早に聞いたが、困ったように笑った後ゆっくりと教えてくれた。
4.御大だなんて異名を付けられることになったとしても、重役が務まるような人間ではないと自覚している。
5.植松御大の作り上げる作品はゲームを知らない人でもどこかで聞いたことがあると感じる曲もきっとある。
6.勤続30年、なんの役職にもついていないとはいえ、私もいよいよ御大と呼ばれるような歳になってしまいました。
7.気難しい御大の性格は十分把握しているつもりだが、それでも機嫌を損ねてしまうことがあったりする。
8.昨今のシティーポップブームの立役者である御大からいろいろ貴重なお話を聞くことができて感無量です。
9.いつもニコニコしている御大が、どうして怖いのか私にもわからなかった。もしかしたら腹に一物あると無意識に感じているからだろうか。
10.御大は人を見る目があるが、お金の管理が苦手だったので、会社を大きくすることができなかったのだ。

この言葉がよく使われる場面としては、仲間や団体のトップを意味する時などが挙げられます。

例文3の御大のように、団体の首領に対してだけではなく、家族の大黒柱である父親や、店の主人に対しても使うことができます。

首領の例文

1.たまに姿を見ていたキツネの首領株と思われる個体が、他のキツネたちを連れて近くの川辺へと歩いていくのを見てほっこりとした気分になった。
2.当時この地を治めていた首領様の信頼は厚かったようで、写真や肖像画も残されているらしい話を聞いたことがある。
3.捕縛された犯罪メンバーの中に首領たる人物はどうやらいなかったようで、これがトカゲのしっぽ切りかとその本の主人公は舌打ちをしていた。
4.その分野における首領とも言うことができるほどの実業家の名前を知らない人はこの国の人間であればいないだろう。
5.首領らしい男は非力そうに見えたが、連れている部下たちがこぞって立ち向かっても敵わないともっぱらの噂だ。
6.ある国の歴代総理大臣の中には、首領級の人物とは思えないほど存在感のない人もいるようです。
7.いくら特殊詐欺グループの受け子を逮捕できても、首領格を足取りが分からなければ同じことが繰り返されるだけだ。
8.首領の命令は絶対であるが、周りのイエスマンたちは噓の報告をしていたので、その命令もどこか頓珍漢なものになっていた。
9.警察が地元の不良グループの首領株を一網打尽にしたことで、不良グループのいくつかは自然消滅させることに成功した。
10.その業界には首領と呼ばれている男がいて、その男にあいさつをしないで商売を行えば干されるという噂がある。

この言葉がよく使われる場面としては、仲間の長を意味する時などが挙げられます。

例文1の「首領株」や例文2の「首領様」のように、何か言葉が付属している場合には首領を御大など他の言葉に置き換えて使うことはできません。

御大と首領どちらを使うか迷った場合は、親しみを込めた愛称を表す場合には「御大」を、第三者による呼称を表す場合は「首領」を使うと覚えておけば間違いありません。

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