似た意味を持つ「高邁」(読み方:こうまい)と「高尚」(読み方:こうしょう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「高邁」と「高尚」という言葉は、どちらも「気高いさま」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
高邁と高尚の違い
高邁と高尚の意味の違い
高邁と高尚の違いを分かりやすく言うと、高邁とは気高く優れているさまを表し、高尚とは気高く上品であるさまを表すという違いです。
高邁と高尚の使い方の違い
一つ目の高邁を使った分かりやすい例としては、「自治会長は高邁な人格を備えた人です」「政治家には高邁な精神が求められます」「高邁な思想を絵に描いた餅にしてはいけません」「高邁な志をもって社会に貢献する」などがあります。
二つ目の高尚を使った分かりやすい例としては、「インテリたちは高尚な議論を好みます」「彼女は高尚な人だと思います」「生け花を嗜むなんて高尚な趣味ね」「本校ではキリスト教に基づく高尚な精神と知性を育てます」などがあります。
高邁と高尚の使い分け方
高邁と高尚という言葉は、どちらも人格や物事に対して用いられ、気高く気品があるさまを表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
高邁とは、気高く優れているさまや、志などが高く衆にぬきんでていることを意味します。上記の例文にある「高邁な精神」とは、哲学用語にも使われている言葉であり、心が優れていて気高いことを表しています。
高尚とは、気高く上品であること、学問や技芸などの程度が高く深いさまを意味します。「高尚な趣味」とは、程度が高く立派な趣味を意味し、その趣味に品があることや品格を感じるさまを表しています。
つまり、二つの言葉は共に気高さを表しますが、高邁は他より優れているという意味合いがあり、高尚は上品であるさまの意味合いが強いという違いがあります。
高邁と高尚の英語表記の違い
高邁を英語にすると「noble」「lofty」「high-minded」となり、例えば上記の「高邁な人格」を英語にすると「lofty character」となります。
一方、高尚を英語にすると「advanced」「majestic」「sublime」となり、例えば上記の「高尚な議論」を英語にすると「sublime views」となります。
高邁の意味
高邁とは
高邁とは、志などが高く、衆にぬきんでているさまを意味しています。
高邁の読み方
高邁の読み方は「こうまい」です。誤って「こうまん」などと読まないようにしましょう。
高邁の「邁」は、訓読みで「すぎる」「ゆく」と読み、他を越して先に出ることを表す漢字です。優れていることを表す「高」と組み合わさり、高邁とは、衆にぬきんでて優れていること、気高く優れているさまを意味します。
表現方法は「高邁な人」「高邁な精神」「高邁な思想」
「高邁な人」「高邁な精神」「高邁な思想」などが、高邁を使った一般的な言い回しです。
高邁の使い方
高邁を使った分かりやすい例としては、「組織改革には高邁な志が必要です」「高邁な理想のために己の危険を顧みない」「本学では高邁な人格の育成に努めています」「デカルトのいう高邁の精神をわかりやすく教えてください」などがあります。
その他にも、「高邁な志をもって英語留学に旅立つ」「友人の高邁さに気後れすることがあります」「創設者の高邁な理念が社風に受け継がれています」「先生は高邁な人柄で生徒たちに慕われていました」などがあります。
高邁とは、心理学において、アリストテレスやデカルトに重視された概念です。アリストテレスは高邁を中庸の徳の一種として捉えました。一方、デカルトは気高さのニュアンスを含ませ、自由意志の正しい使用に対する決意感や、それを支える自尊感として重視しました。
四字熟語「高邁闊達」の意味
高邁を用いた四字熟語には「高邁闊達」があります。高邁闊達とは、気高く他の人よりも優れていて度量が広いことを意味します。「闊達」は、心が広く物事にこだわらないさまを表します。
高邁の対義語
高邁の対義語・反対語としては、品性が卑しいことや下劣なことを意味する「浅ましい」、みすぼらしいさまを意味する「さもしい」、言動が下品であらあらしくて洗練されていないことを意味する「粗野」などがあります。
高邁の類語
高邁の類語・類義語としては、気高く尊いことを意味する「崇高」、世俗を離れて気高く身を保っているさまを意味する「高踏的」、人柄などに気品のあるさまを意味する「高貴」などがあります。
高尚の意味
高尚とは
高尚とは、学問・技芸・言行などの程度が高く上品なこと、気高くて立派なさまを意味しています。
表現方法は「高尚な人」「高尚な恋」「高尚な女性」
「高尚な人」「高尚な恋」「高尚な女性」などが、高尚を使った一般的な言い回しです。
高尚の使い方
高尚を使った分かりやすい例としては、「高尚な人は物事に執着しないものです」「祖父は高尚な人間でした」「社会を変えたいなどという高尚な目的はありません」「英文が高尚過ぎて読みづらい」などがあります。
その他にも、「盆栽を高尚な趣味として楽しむ人が増えています」「あの英語教師は高尚な趣味を持っている」「勇ましく高尚な生涯を送りました」「学問は決して高尚なものではありません」などがあります。
高尚という言葉の「高」は気高いことや優れていること、「尚」は等級や地位が高いことを表します。高尚とは、知性や品格の程度が高く上品なことを意味します。主に、学問や技芸、その人の話や振る舞いに対して使われる言葉です。
四字熟語「心事高尚」の意味
高尚を用いた四字熟語には「心事高尚」があります。心事高尚とは、心に思っている事柄が気高く立派なさまを意味します。福沢諭吉は、この四字熟語を用いて「心事高尚ならざれば、働きもまた高尚なるを得ざるなり」という名言を残しています。
高尚の対義語
高尚の対義語・反対語としては、品格や品性が劣ることを意味する「下品」、下品で俗っぽいことを意味する「低俗」、心根の卑しいことや身分の低い者を意味する「下衆」などがあります。
高尚の類語
高尚の類語・類義語としては、品格のあるさまや品のよいさまを意味する「上品」、正しく整っていて上品なさまを意味する「典雅」、俗世間のことに無関心なことを意味する「浮世離れ」などがあります。
高邁の例文
この言葉がよく使われる場面としては、志などが高く、衆にぬきんでていることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、高邁という言葉は、思想や精神、人格や人柄に対して用いられています。
高尚の例文
この言葉がよく使われる場面としては、学問や技芸などの程度が高く深いこと、物事が気高くて立派なさまを表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2で用いられている高尚は、学問や技芸などの程度が高く深いことの意味で用いられています。例文3から例文5の高尚は、物事が気高くて立派なさまの意味で用いられています。
高邁と高尚という言葉は、どちらも「気高さ」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、気高く優れている様子を表現したい時は「高邁」を、気高く上品な様子を表現したい時は「高尚」を使うようにしましょう。