同じ「せっせい」という読み方の「節制」と「摂生」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「節制」と「摂生」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
節制と摂生の違い
節制と摂生の意味の違い
節制と摂生の違いを分かりやすく言うと、節制とは欲望をコントロールすることを意味し、摂生とは健康に気をつけることを意味するという違いです。
節制と摂生の使い方の違い
一つ目の節制を使った分かりやすい例としては、「アルコールは節制して飲むように」「お酒もたばこも節制して健康的な生活を送る」「祖父はたぐいまれな節制家だった」「だらしない生活を節制しなさい」などがあります。
二つ目の摂生を使った分かりやすい例としては、「疲れているようだから摂生するように」「医者に注意されて摂生に努める」「健康で長生きするために摂生する」「自宅で摂生して回復に努める」などがあります。
節制と摂生の使い分け
節制と摂生という言葉は「せっせい」と読む同音の言葉で、飲食に関して使われることがある言葉なのですが、意味や使い方は異なるので注意が必要です。節制は度を越さないよう控えめにすることを意味し、摂生は飲食などを控えめにし健康に注意することを意味します。
どちらの言葉も「控えめにする」という意味合いを持つのですが、節制は様々な欲望や欲求を控えめにすること、摂生は健康のために飲食などを控えめにすることの違いがあります。よって、節制は飲食に限らず幅広い欲望に対して使え、摂生は健康に関わること、主に飲食に対して使われます。
節制と摂生の英語表記の違い
節制を英語にすると「moderation」「temperance」となり、例えば上記の「節制して飲む」を英語にすると「drink in moderation」となります。一方、摂生を英語にすると「care of health」「regimen」となり、例えば上記の「摂生するように」を英語にすると「take care of your health」となります。
節制の意味
節制とは
節制とは、度を越さないよう控えめにすること、ほどよくすることを意味しています。
他にも、欲望を理性の力によって秩序のあるものとすることの意味も持っています。
表現方法は「節制に努める」「節制する」
「節制に努める」「節制する」などが、節制を使った一般的な表現方法です。
節制の使い方
「健康診断の前にお酒と食事を節制している」「買い物を節制してお金を貯めよう」「ゲームを節制して時間を勉強にあてる」などの文中で使われている節制は、「度を越さないよう控えめにすること」の意味で使われています。
一方、「節制した生活でお金を貯める」「節制を心がけ、節度を守る」「自粛生活では節制できずにリズムか崩れた」などの文中で使われている節制は、「理性によって秩序を保つこと」の意味で使われています。
節制という言葉は上記の例のように二つの意味を持っているのですが、どちらも欲望をコントロールする意味合いを持っています。節制の「節」は、「ほどよい、控えめにする」という意味を持ち、「制」は「おさえる、調整する」の意味を持ちます。
「度を越さないよう控えめにすること」の意味では、上記の例のように、飲食だけでなく、買い物やゲームなど様々な欲望を控えめにすることを表すことができます。よって、この意味で使われる時は、「食事を」「買い物を」「ゲームを」という何を控えめにするのかの目的語が伴います。
「節制した生活」「節制を心がける」の意味
「理性によって秩序を保つこと」の意味では、「節制した生活」「節制を心がける」などのように使われます。「節制した生活」とは、リズムや行動などが規則正しい生活を意味します。「節制を心がける」とは、欲望や欲求を抑えて望ましい状態を保とうと心がけることを意味します。
節制の類語
節制の類語・類義語としては、自分の感情や欲望を抑えることを意味する「自制」、過不足がなく調和がとれていることを意味する「中庸」などがあります。
節制の節の字を使った別の言葉としては、つりあいのとれた状態にすることを意味する「調節」、行き過ぎのない適当な程度を意味する「節度」などがあります。
摂生の意味
摂生とは
摂生とは、飲食などを慎み、健康に注意することを意味しています。
表現方法は「摂生に努める」「摂生な生活」「不摂生」
「摂生に努める」「摂生な生活」「不摂生」などが、摂生を使った一般的な表現方法です。
摂生の使い方
摂生を使った分かりやすい例としては、「日頃から健康に気を遣って摂生に努める」「摂生とは疾病の予防になるものだ」「十分な自己管理と摂生で病の進行を遅らせる」「普段から摂生している」などがあります。
その他にも、「日頃の不摂生がたたる」「若い時から摂生して疾病予防に備えた」「摂生出来る人は自制心のある人だと思う」「昨日は食べ過ぎたので今日は摂生する」「口の養生は全身の摂生を導くそうだ」などがあります。
摂生の読み方
「摂生」は「せっせい」と読みます。「せっしょう」ではないので注意しましょう。
摂生の語源
摂生という言葉は、飲食などを控えめにし健康に気をくばることを意味します。摂生の「摂」は、取り入れること、「生」は生きることを意味し、特に飲食による健康を表していることが分かります。
「摂生の七養」の意味
摂生を用いた表現に「摂生の七養」があり、健康のために守るべき七つのことを表す言葉です。江戸時代の学者である貝原益軒が「養生訓」のなかで示したもので、飲食や生活について健康長寿の秘訣をまとめたものです。ここでの摂生は、健康に気をくばることや健康増進の意味で使われいます。
摂生の対義語
摂生の対義語・反対語としては、健康に悪いことをすることを意味する「不摂生」、健康に気をつけないことを意味する「不養生」などがあります。
摂生の類語
摂生の類語・類義語としては、生活に留意して健康の増進を図ることを意味する「養生」、健康を守り保つことを意味する「保健」などがあります。
摂生の摂の字を使った別の言葉としては、自然界を支配している法則を意味する「摂理」、取り入れて自分のものにすることを意味する「摂取」などがあります。
節制の例文
この言葉がよく使われる場面としては、度を越さないよう控えめにすること、理性によって秩序を保つことを表現したい時などが挙げられます。
例文1や例文2で使われている節制は、度を越さないよう控えめにすることを意味します。例文3や例文4で使われている節制は、欲望を理性の力によって秩序のあるものとすることを意味します。例文5にあるように、タロット占いのカードに「節制」がありますが、節制の本来の意味とは異なります。
摂生の例文
この言葉がよく使われる場面としては、飲食などを慎み健康に注意することを表現したい時などが挙げられます。
例文1のように、摂生という言葉は飲食などを控えて健康に気をつけることを意味します。例文2や例文3のように、摂生は飲食だけでなく睡眠や生活リズムに関しても使われることがあります。どちらにしても、健康に注意することの意味合いが強い言葉です。
例文4や例文5にある「不摂生」は、健康に気をつけないことや健康に悪いことをすることを意味します。不摂生により悪い結果や状態が生じることを表すときに「不摂生がたたる」と表現することがあります。
節制と摂生という言葉は、同音で似た使い方をする言葉ですが、意味は異なります。節制は飲食に限らず様々な欲望をコントロールすることを意味し、摂生は飲食などを慎み健康に注意することを意味します。同音の言葉ですが、節制と摂生の漢字と意味の使い分けに気をつけましょう。