似た意味を持つ「疑心暗鬼」(読み方:ぎしんあんき)と「人間不信」(読み方:にんげんふしん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「疑心暗鬼」と「人間不信」という言葉は、どちらも疑う心理状態を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
疑心暗鬼と人間不信の違い
疑心暗鬼と人間不信の意味の違い
疑心暗鬼と人間不信の違いを分かりやすく言うと、疑心暗鬼とは疑う気持ちから不安になる心理状態、人間不信とは他人を信じられない心理状態という違いです。
疑心暗鬼と人間不信の使い方の違い
一つ目の疑心暗鬼を使った分かりやすい例としては、「私達は政治に対して疑心暗鬼になっている」「犯人は夫ではないかと疑心暗鬼になる」「市場に疑心暗鬼が募り株価が下がる」「不安感から疑心暗鬼を生ずる」などがあります。
二つ目の人間不信を使った分かりやすい例としては、「結婚詐欺にあい人間不信に陥る」「人間不信に陥って仕事を辞めたいです」「あなたの人間不信の原因は何ですか」「気持ちが落ち込み人間不信になった」などがあります。
疑心暗鬼と人間不信の使い分け方
疑心暗鬼と人間不信という言葉は、どちらも疑って信じられないという心理状態を表しますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
疑心暗鬼とは、疑う気持ちから、何でもないつまらないことが不安になったり恐ろしくなったりすることを意味します。「政治に対して疑心暗鬼になる」のように物事の性質に対して用いたり、「夫ではないかと疑心暗鬼になる」のように特定の人に対して用いる言葉です。
人間不信とは、他人を信じられなくなることを意味します。人間関係のトラブルや過去のトラウマが引き金となり、特定の人ではなく自分以外の人間を信用できなくなっている心理状態を表す言葉です。
二つの言葉を比べると、物事にも人に対しても使える疑心暗鬼という言葉の方が、人に対してのみ使える人間不信という言葉より汎用性があると言えるでしょう。
疑心暗鬼と人間不信の英語表記の違い
疑心暗鬼を英語にすると「jumping at shadows」「thought attack」となり、例えば上記の「私達は疑心暗鬼になっている」を英語にすると「We are all jumping at shadows」となります。
一方、人間不信を英語にすると「distrust of human beings」「misanthropy」「」となり、例えば上記の「人間不信に陥る」を英語にすると「have a distrust of human beings」となります。
疑心暗鬼の意味
疑心暗鬼とは
疑心暗鬼とは、疑いの心があると、なんでもないことでも怖いと思ったり、疑わしく感じることを意味しています。
表現方法は「疑心暗鬼になる」「疑心暗鬼から抜け出す」「疑心暗鬼に陥る」
「疑心暗鬼になる」「疑心暗鬼から抜け出す」「疑心暗鬼に陥る」などが、疑心暗鬼を使った一般的な言い回しです。
疑心暗鬼の使い方
疑心暗鬼を使った分かりやすい例としては、「嘘をついてなかいかと疑心暗鬼になる」「このぬいぐるみは妖怪ウォッチの偽物ではないかと疑心暗鬼になった」「チーム内で疑心暗鬼を生みやすい状況だった」などがあります。
その他にも、「地元の人々は疑心暗鬼に陥っている」「生歌ではなくボカロではないかと疑心暗鬼になる」「戦争や非常時には疑心暗鬼を生ずるものです」「心配する気持ちが疑心暗鬼を生みます」などがあります。
疑心暗鬼とは、心に疑いを持っていると、何でもないつまらないことまで不安になったり、恐ろしくなったりすることのたとえです。「疑心」とは仏教用語で、仏教の真理に対して惑い疑う心を表し、「暗鬼」とは暗がりの中に見える鬼や亡霊を表します。
疑心暗鬼の由来
疑心暗鬼という言葉は、「疑心暗鬼を生ず」の略です。中国思想書「列子」の一節の「疑心、暗鬼を生ず」に由来し、疑いの心があると暗闇の中に鬼の姿が作り出されることの意味から生じた言葉です。
疑心暗鬼の対義語
疑心暗鬼の対義語・反対語としては、心安らかに身を天命にまかせ動揺しないことを意味する「安心立命」、何のわだかまりもなく清らかで澄みきった心境のことを意味する「明鏡止水」、心にわだかまりがなく平静に事に望むことを意味する「虚心坦懐」などがあります。
疑心暗鬼の類語
疑心暗鬼の類語・類義語としては、疑い始めると怯えて疑い深くなることを意味する「杯中蛇影」、怖じ気づいてわずかなことにも恐れおののくことを意味する「風声鶴唳」、恐れられている人や物の実体がつまらないものであることなどを意味する「幽霊の正体見たり枯れ尾花」があります。
人間不信の意味
人間不信とは
人間不信とは、他人を信じられなくなることを意味しています。
表現方法は「人間不信に陥る」「人間不信になる」「人間不信が治らない」
「人間不信に陥る」「人間不信になる」「人間不信が治らない」などが、人間不信を使った一般的な言い回しです。
人間不信の使い方
人間不信を使った分かりやすい例としては、「恋人に浮気されて人間不信です」「根深い人間不信からうつ病になってしまった」「人間不信の治し方を教えて下さい」「重度の人間不信は治らないのでしょうか」などがあります。
その他にも、「人間不信は心の病気でしょうか」「人間不信からの対人恐怖症だと診断された」「人間不信の冒険者たちが世界を救う」「人間不信のままでは恋愛できませんよ」「ネットにある人間不信度診断をやってみる」などがあります。
人間不信とは、何らかの原因により他人を信じられなくなることです。人間不信という言葉は、辞書に載っていませんが世間一般で使われており、人間関係の揉め事による軽度のものから、社会生活に支障をきたすほどの重度のものまで指す言葉です。
人間不信の対義語
人間不信の対義語・反対語としては、価値や力量などを実際よりも高くみて信頼しすぎることを意味する「過信」、それまでの行為や業績などから信頼できると判断することを意味する「信用」、特定の人間関係に依存する状態を意味する「共依存」などがあります。
人間不信の類語
人間不信の類語・類義語としては、信用できないという気持ちを意味する「不信感」、人の言動を何か企んでいるのではないかと疑うことを意味する「猜疑」、危険や災害に備えて予め注意し用心することを意味する「警戒」、人との交わりを嫌うことを意味する「厭人」などがあります。
疑心暗鬼の例文
この言葉がよく使われる場面としては、一度疑い始めると何でもないことまで疑問や不安を感じたり、恐ろしくなってくることを表現したい時などが挙げられます。
例文1にある「疑心暗鬼から抜け出す」とは、疑心暗鬼という好ましくない状態から脱却することを意味します。例文3の「疑心暗鬼を生ず」は、四字熟語である「疑心暗鬼」の元の言い方です。
人間不信の例文
この言葉がよく使われる場面としては、他人を信用できなくなることを表現したい時などが挙げられます。
例文3にある「人間不信に陥る」とは、人を信じられない状態になることを意味します。「陥る」とは、望ましくない状態になること表します。
疑心暗鬼と人間不信という言葉は、どちらも疑って信じられないことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、疑う気持ちから不安になる心理状態を表現したい時は「疑心暗鬼」を、他人を信じられない心理状態を表現したい時は「人間不信」を使うようにしましょう。