似た意味を持つ「尊敬の念」(読み方:そんけいのねん)と「畏敬の念」(読み方:いけいのねん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「尊敬の念」と「畏敬の念」という言葉は、どちらも敬う気持ちのことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「尊敬の念」と「畏敬の念」の違い
「尊敬の念」と「畏敬の念」の意味の違い
「尊敬の念」と「畏敬の念」の違いを分かりやすく言うと、「尊敬の念」とは人に対してしか使えない、「畏敬の念」とは人以外に対しても使えるという違いです。
「尊敬の念」と「畏敬の念」の使い方の違い
一つ目の「尊敬の念」を使った分かりやすい例としては、「社長に対して尊敬の念を示しています」「尊敬の念が深まる」「直接お会いして山田様には改めて尊敬の念を抱いております」「彼のインタビューを観て、彼への尊敬の念が生まれました」などがあります。
二つ目の「畏敬の念」を使った分かりやすい例としては、「畏敬の念を抱くとはまさにこのことだろう」「神社の前で思わず畏敬の念を込めて手を合わせました」「ここから観える美しい風景に畏敬の念を抱きました」「神様に畏敬の念を抱く」などがあります。
「尊敬の念」と「畏敬の念」の使い分け方
「尊敬の念」と「畏敬の念」はどちらも似た意味を持つ言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「尊敬の念」は相手を敬う気持ちのことを表します。つまり、言葉の対象となるのは人のみになります。一方、「畏敬の念」は崇高なものや偉大な人を敬う気持ちのことを表しており、人以外に対しても使うことが可能です。
分かりやすい例を挙げると、会社を対象とした場合、人ではないので「尊敬の念」は使うことができません。しかし、「畏敬の念」は人以外に対しても使うことができるので、「御社のご活躍には畏敬の念を抱いております」とすることが可能です。
また、「畏敬の念」は神様、仏様、自然などの崇拝すべきものに対しても使うことができます。
「尊敬の念」と「畏敬の念」の英語表記の違い
「尊敬の念」を英語にすると「respect」となり、例えば上記の「彼のインタビューを観て、彼への尊敬の念が生まれました」を英語にすると「After watching his interview, I started to respect him」となります。
一方、「畏敬の念」を英語にすると「a sense of awe」「a feeling of awe」となり、例えば上記の「神様に畏敬の念を抱く」を英語にすると「To god experience a feeling of awe」となります。
「尊敬の念」の意味
「尊敬の念」とは
「尊敬の念」とは、相手を敬う気持ちのことを意味しています。
表現方法は「尊敬の念を抱く」「尊敬の念に堪えません」「尊敬の念を示す」
「尊敬の念を抱く」「尊敬の念に堪えません」「尊敬の念を示す」「尊敬の念が深まる」「尊敬の念を覚える」「尊敬の念が尽きない」などが、「尊敬の念」を使った一般的な言い回しになります。
「尊敬の念」の使い方
「尊敬の念」を使った分かりやすい例としては、「先輩と一緒にお仕事をしてきて尊敬の念がわきました」「誰にでも平等に接する陛下には尊敬の念を抱かざるを得ない」「社長の素晴らしいお言葉に尊敬の念がやまない」などがあります。
「尊敬の念」はその人の人格を尊いものと認めて敬うことを意味する「尊敬」に、思いや気持ちのことを意味する「念」が合わさり、「相手を敬う気持ちのこと」を意味する言葉です。
「御社の業績には尊敬の念を抱いています」は誤用
「尊敬の念」の特徴としては、人に対してのみ使える言葉で、人以外の固有名詞に対しては使うことができません。
分かりやすい例を挙げると、「御社の業績には尊敬の念を抱いています」というのは対象が会社なので誤用になります。一方、「御社の社長には尊敬の念を抱いています」は対象が人なので使うことが可能です。
「尊敬の念」の類語
「尊敬の念」の類語・類義語としては、特定の対象を絶対のものと信じて疑わないことを意味する「信仰」、尊敬する気持ちを表すことを意味する「敬意を表す」、尊敬の念が浮かんでいることを意味する「尊敬の眼差し」などがあります。
「畏敬の念」の意味
「畏敬の念」とは
「畏敬の念」とは、崇高なものや偉大な人を敬う気持ちのことを意味しています。
表現方法は「畏敬の念を禁じ得ない」「畏敬の念を込めて」「畏敬の念を覚えた」
「畏敬の念を禁じ得ない」「畏敬の念を込めて」「畏敬の念を覚えた」「畏敬の念に堪えない」「畏敬の念を抱く」「畏敬の念が尽きない」などが、「畏敬の念」を使った一般的な言い回しになります。
「畏敬の念」の使い方
「畏敬の念」を使った分かりやすい例としては、「地球を創造した神に畏敬の念をもつことを忘れてはいけません」「ハイキングをすると自然に対して畏敬の念が湧いています」「勤務歴30年の先輩に畏敬の念を抱きました」などがあります。
「畏敬の念」は崇高なものや偉大な人を敬うことを意味する「畏敬」に、思いや気持ちのことを意味する「念」が合わさり、「崇高なものや偉大な人を敬う気持ちのこと」を意味する言葉です。
「畏敬の念」は人だけではなく、人以外に対しても使うことができるというのが特徴になります。また、神様、仏様、自然などの崇拝すべきものに対して使うことも可能です。
ただし、むやみやたらに使うのではなく、自分より遥かに地位の高い人やとてもつもない存在に対して使うのが、適切な使用方法と言えるでしょう。
「畏敬の念」の類語
「畏敬の念」の類語・類義語としては、心から傾倒して敬い尊ぶことを意味する「崇拝」、恐れたり怖いと思うことを意味する「恐怖」などがあります。
「尊敬の念」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、相手を敬う気持ちのことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「尊敬の念」は人に対してのみ使う言葉になります。
「畏敬の念」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、崇高なものや偉大な人を敬う気持ちのことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文のように、「畏敬の念」は人以外に対しても使うことができます。
「尊敬の念」と「畏敬の念」はどちらも敬う気持ちのことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、人に対してしか使えないのが「尊敬の念」、人以外に対しても使えるのが「畏敬の念」と覚えておきましょう。