似た意味を持つ「空虚感」(読み方:くうきょかん)と「虚無感」(読み方:きょむかん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「空虚感」と「虚無感」という言葉は、むなしい気持ちを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
空虚感と虚無感の違い
空虚感と虚無感の意味の違い
空虚感と虚無感の違いを分かりやすく言うと、空虚感とは何かが欠けていてむなしい気持ち、虚無感とは何事にも価値を感じられずむなしい気持ちという違いです。
空虚感と虚無感の使い方の違い
一つ目の空虚感を使った分かりやすい例としては、「ふと空虚感に苦しむことがある」「自分に落胆して空虚感が膨らんでしまう」「周りと比較してさらに空虚感が増大する」「空虚感でモヤモヤしている」などがあります。
二つ目の虚無感を使った分かりやすい例としては、「仕事の過労から虚無感に襲われた時があった」「虚無感はうつ病の症状の一つである」「自分の人生に虚無感を抱くことがある」「心の虚無感と向き合う」などがあります。
空虚感と虚無感の使い分け方
空虚感と虚無感という言葉に共通する「虚」は形だけで中身がないのことを表し、空虚感も虚無感も、むなしい感情を意味するマイナスイメージの言葉です。どちらも満たされていない、むなしい感情を意味するのですが、微妙にニュアンスが異なるので注意が必要です。
空虚感とは、心にぽっかり穴が空いたような、あるべきものが無くなって感じるむなしい感情を意味します。一方の虚無感とは、すべてがむなしく感じることや、何事にも意味や価値が感じられないような感覚を意味します。
「空虚感に苦しむ」と「虚無感に苦しむ」の違い
例えば「愛犬が死んで空虚感に苦しむ」となると、愛犬を失って感じるむなしさに苦しむことを表します。これが「愛犬が死んで虚無感に苦しむ」となると、愛犬を失ったことにより、何事にも価値を見出せなくなって苦しんでいることを表します。
つまり、空虚感は何かが欠けていてむなしく感じることであり、虚無感とは何事にも意味や価値が見出せずにむなしく感じることなのです。これが、空虚感と虚無感という言葉の違いになります。
「空虚感を感じる」「虚無感を感じる」は二重表現
また、この二つの言葉は「空虚感を感じる」「虚無感を感じる」と表現されやすいのですが、これは二重表現になります。「腹痛が痛い」のように同じ意味の言葉を重複して用いる表現になるので、「空虚感を覚える」や「虚無感を抱く」など、ほかの動詞を使った方が良いでしょう。
空虚感と虚無感の英語表記の違い
空虚感も虚無感も英語にすると「feeling of emptiness」「sense of void」となり、例えば上記の「空虚感に苦しむ」を英語にすると「struggle with a feeling of emptiness」となります。
空虚感の意味
空虚感とは
空虚感とは、むなしく感じてしまう感情を意味しています。
表現方法は「空虚感に苛まれる」「空虚感に襲われる」「空虚感が消えない」
「空虚感に苛まれる」「空虚感に襲われる」「空虚感が消えない」などが、空虚感を使った一般的な言い回しです。
空虚感の使い方
空虚感を使った分かりやすい例としては、「空虚感を埋めるために衝動買いをしてまう」「ペットの死から喪失感や空虚感に苛まれる」「言動がおかしくなるほどの空虚感を抱く」「突然、空虚感に襲われることがある」などがあります。
その他にも、「目標を失い空虚感を抱くようになった」「空虚感に苦しみ酒におぼれた」「幸せそうな家族をみると空虚感にとらわれる」「空虚感に苛まれ心理カウンセラーに相談した」「実存的空虚感の尺度を用いる」などがあります。
空虚感という言葉の「空虚」とは、内部に何もないことや、むなしいことを意味します。空虚感とは、心がからっぽであるさまを表し、むなしい気持ちを意味します。大切な人を失ったり、大事なものを失くしたとき、あるいは漠然と無意味さを感じたときに、こみ上げてくるむなしい感情のことです。
「実存的空虚感」の意味
空虚感を用いた言葉には「実存的空虚感」があり、心理学用語で、生きる意味の欠落感からくる虚しさを意味します。実存的空虚感には、突如として訪れる悲劇の経験を原因とする「急性型」と、はっきりとした原因がなく日常生活でふと意識化される「慢性型」があります。
空虚感の対義語
空虚感の対義語・反対語としては、心が満たされている心情を意味する「充実感」、満ち足りたという感じを意味する「満足感」などがあります。
空虚感の類語
空虚感の類語・類義語としては、 心を占めるものが何もなく空しい感じを意味する「空白感」、大切なものを失ったときの空虚な気持ちを意味する「喪失感」などがあります。
空虚感の空の字を使った別の言葉としては、見せかけだけで内容や実質がないことを意味する「空疎」、現実とかけ離れた役に立たない議論を意味する「空論」などがあります。
虚無感の意味
虚無感とは
虚無感とは、すべてがむなしく感じること、何事にも意味や価値が感じられないような感覚を意味しています。
虚無感の使い方
虚無感を使った分かりやすい例としては、「年齢を重ねるにつて虚無感に苛まれるようになった」「虚無感や空虚感が消えなくて辛い」「虚無感から過食にはしる人もいる」「仕事の虚無感に対してアドバイスをもらう」などがあります。
その他にも、「誰しも虚無感を抱くことはある」「虚無感に襲われる原因により解消法が異なる」「スピリチュアルな観点から虚無感をとらえる」「虚無感が続いてる自分はメンヘラかも」などがあります。
虚無感という言葉の「虚無」とは、何物もなくむなしいことや、全てのものに価値を認めないことを意味します。虚無感とは、何事にも意味や価値が感じられないような感覚を表す言葉です。はっきりとした原因から生じるよりも、日々の生活に満足していなかったりして、じわじわと感じるものです。
「虚無感に苛まれる」「虚無感に襲われる」の意味
上記の例の「虚無感に苛まれる」とは、虚無感でいっぱいになり苦しんでいる様子を表します。「虚無感に襲われる」とは、不意に虚無感を覚えることを意味します。どちらも受身表現になっており、意思とは関係なく湧き起こる感情を表します。
表現方法は「虚無感がすごい」「虚無感に包まれる」「虚無感に駆られる」
「虚無感に苛まれる」「虚無感に襲われる」以外では、「虚無感がすごい」「虚無感に包まれる」「虚無感に駆られる」などが、虚無感を使った一般的な言い回しです。
虚無感の対義語
虚無感の対義語・反対語としては、満ち足りた感覚を意味する「充足感」、成し遂げたことによって得られる満足感を意味する「達成感」などがあります。
虚無感の類語
虚無感の類語・類義語としては、体力も気力も失せて何も手につかない感覚を意味する「虚脱感」、物寂しいことやわびしい気持ちを意味する「寂寥感」などがあります。
虚無感の無の字を使った別の言葉としては、価値なくつまらないことを意味する「無意味」、全く存在しないことを意味する「皆無」などがあります。
空虚感の例文
この言葉がよく使われる場面としては、むなしく感じてしまう感情を表現したい時などが挙げられます。
例文1では死んだ愛犬を、例文2では別れた恋人を思い出し、むなしく感じることを空虚感という言葉を使って表現しています。例文3にある「空虚感を埋める」とは、むなしくなっている心を満たすことを意味します。例文5の「空虚感にとらわれる」とは、空虚感に心が拘束されることを表します。
虚無感の例文
この言葉がよく使われる場面としては、すべてがむなしく感じること、何事にも意味や価値が感じられないような感覚を表現したい時などが挙げられます。
例文1にあるように、何が原因というわけではなくとも、この世に存在するすべてのものに価値や意味が感じられなくなり虚無感に襲われることがあります。例文3にある「虚無感に包まれた」とは、虚無感にすっぽりと覆われていることを表しています。
空虚感と虚無感という言葉は、むなしい気持ちを表す言葉です。どちらの言葉を使うか迷った場合、何かが欠けていてむなしい気持ちを表現したい時は「空虚感」を、何事にも価値を感じられずむなしい気持ちを表現したい時は「虚無感」を使うようにしましょう。