似た意味を持つ「急いては事を仕損じる」(読み方:せいてはことをしそんじる)と「急がば回れ」(読み方:いそがばまわれ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「急いては事を仕損じる」と「急がば回れ」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。
「急いては事を仕損じる」と「急がば回れ」の違い
「急いては事を仕損じる」と「急がば回れ」の意味の違い
「急いては事を仕損じる」と「急がば回れ」の違いを分かりやすく言うと、「急いては事を仕損じる」とはあまりあせるとかえって失敗しやすく急いでしたことが無駄になること、「急がば回れ」とは早く着こうと思うなら危険な近道より遠くても安全確実な方法をとったほうが早く目的を達することという違いです。
「急いては事を仕損じる」と「急がば回れ」の使い方の違い
一つ目の「急いては事を仕損じる」を使った分かりやすい例としては、「急いては事を仕損じるって言うしそこまで急がなくてもいいだろう」「急いては事を仕損じるので料理の火加減は強すぎない方がいいだろう」「大急ぎで仕上げたら質が悪く急いては事を仕損じるとはこのことだ」などがあります。
二つ目の「急がば回れ」を使った分かりやすい例としては、「急がば回れなので舗装された道を歩こう」「仕事に関しては急がば回れの精神で丁寧にやったほうがいい」「英語を上達させたいなら基礎からしっかり学ぶ急がば回れだと思います」などがあります。
「急いては事を仕損じる」と「急がば回れ」の使い分け方
「急いては事を仕損じる」と「急がば回れ」は似た言葉ですが、意味は微妙に異なっているので間違えないように注意が必要です。
「急いては事を仕損じる」はあまりあせるとかえって失敗しやすく急いでしたことが無駄になることを意味しており、焦ると失敗するというニュアンスで使います。また、急ぐ気持ちが強すぎると、確認不足や判断ミスなどで失敗するという戒めの言葉でもあります。
一方、「急がば回れ」は早く着こうと思うなら危険な近道より遠くても安全確実な方法をとったほうが早く目的を達することを意味しており、近道はリスクがあるから一見遠回りに見えても堅実な方法を選ぼうという教訓で使う言葉です。
そのため、一時の効率より長期的な成功や安全を重視しています。
つまり、あまりあせるとかえって失敗しやすく急いでしたことが無駄になることを表現したい時は「急いては事を仕損じる」を使い、早く着こうと思うなら危険な近道より遠くても安全確実な方法をとったほうが早く目的を達することができることを表現したい時は「急がば回れ」を使うと覚えておきましょう。
「急いては事を仕損じる」と「急がば回れ」の英語表記の違い
「急いては事を仕損じる」も「急がば回れ」も日本語特有のことわざなので、英語表記はありません。
「急いては事を仕損じる」の意味
「急いては事を仕損じる」とは
「急いては事を仕損じる」とは、あまりあせるとかえって失敗しやすく急いでしたことが無駄になることを意味しています。
「急いては事を仕損じる」の使い方
「急いては事を仕損じる」を使った分かりやすい例としては、「階段を駆け下りようとして転んでしまい、急いては事を仕損じるだなと思いました」「大急ぎで仕上げた作品が審査に落ちたので、急いては事を仕損じるを痛感しました」などがあります。
「急いては事を仕損じる」はあまりあせるとかえって失敗しやすく急いでしたことが無駄になることを意味することわざです。ことわざとは、古くから言い伝えられてきた教訓または風刺の意味を含んだ短い言葉のことを意味しています。
したがって、「急いては事を仕損じる」を簡単に言うならば、急いでもいいことないので落ち着いてやろうというニュアンスになります。
人は焦ると注意力が散漫になったり確認を怠ったりして、かえってミスが増えるので、それを戒めるための言葉です。
「急いては事を仕損じる」の特徴
「急いては事を仕損じる」は日常生活だけではなく、ビジネスシーンにおいても使うことができると覚えておきましょう。
「急いては事を仕損じる」の類語
「急いては事を仕損じる」の類語・類義語としては、先を争って貰おうとするとかえって貰いが少なくなるものであることを意味する「慌てる乞食は貰いが少ない」があります。
「急がば回れ」の意味
「急がば回れ」とは
「急がば回れ」とは、早く着こうと思うなら危険な近道より遠くても安全確実な方法をとったほうが早く目的を達することを意味しています。
「急がば回れ」の使い方
「急がば回れ」を使った分かりやすい例としては、「近道を選んだら渋滞にはまってしまったので急がば回れだと思う」「ダイエットに関しては急がば回れで健康的に痩せるのが一番です」「登山では急がば回れで安全な道を行くのがいいだろう」などがあります。
「急がば回れ」は早く着こうと思うなら危険な近道より遠くても安全確実な方法をとったほうが早く目的を達することを意味することわざで、古い時代から使われている言葉です。
「急がば回れ」の語源
「急がば回れ」の語源は室町時代です。室町時代に京都から大阪へ向かうには瀬田の唐橋を通って遠回りするのが安全なルートでした。一方、琵琶湖を船で渡れば近道で早く着くことができるとも言われていました。しかし、天候が悪いと沈むリスクもありかえって遅くなることもあるそうです。
この急いでいても遠回りの陸路を選んだ方が結果的に早くて安全ということが転じて、早く着こうと思うなら危険な近道より遠くても安全確実な方法をとったほうが早く目的を達することを意味する「急がば回れ」が生まれたと言われています。
「急がば回れ」の類語
「急がば回れ」の類語・類義語としては、用心の上にも用心深く物事を行うことを意味する「石橋を叩いて渡る」があります。
「急いては事を仕損じる」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、あまりあせるとかえって失敗しやすく急いでしたことが無駄になることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「急いては事を仕損じる」はマイナスのイメージで使う言葉です。
「急がば回れ」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、早く着こうと思うなら危険な近道より遠くても安全確実な方法をとったほうが早く目的を達することを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「急がば回れ」は教訓として使う言葉です。
「急いては事を仕損じる」と「急がば回れ」は似ていても意味は大きく異なります。
どちらの言葉を使うか迷った場合、あまりあせるとかえって失敗しやすく急いでしたことが無駄になることを表現したい時は「急いては事を仕損じる」を、早く着こうと思うなら危険な近道より遠くても安全確実な方法をとったほうが早く目的を達することを表現したい時は「急がば回れ」を使います。