【ホスピタリティ】と【サービス】と【おもてなし】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「ホスピタリティ」と「サービス」と「おもてなし」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「ホスピタリティ」と「サービス」と「おもてなし」という言葉は、招いた客への対応という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




「ホスピタリティ」と「サービス」と「おもてなし」の違い

「ホスピタリティ」と「サービス」と「おもてなし」の意味の違い

「ホスピタリティ」と「サービス」と「おもてなし」の違いを分かりやすく言うと、「ホスピタリティ」は価値を付加する行為を表す時に使い、「サービス」は平等に提供される奉仕を表す時に使い、「おもてなし」は親切心を表す時に使うという違いです。

「ホスピタリティ」と「サービス」と「おもてなし」の使い方の違い

「ホスピタリティ」という言葉は、「ホスピタリティがどの業界でも求められることが多い」「社員教育の方針としてホスピタリティ精神を身に付けることが主軸におかれた」などの使い方で、心のこもったもてなしを意味します。

「サービス」という言葉は、「この店のサービスは細部まで行き届いている」「丁寧なサービスに魅力を感じた」などの使い方で、人のために力を尽くすことを意味します。

「おもてなし」という言葉は、「彼におもてなしをするために事前に好きなものを聞いておきたい」「おもてなしの精神は日本で大切にされる」などの使い方で、客への対応の仕方やご馳走を意味します。

「ホスピタリティ」と「サービス」と「おもてなし」の使い分け方

「ホスピタリティ」と「おもてなし」はどちらも、招いた相手に対してもてなすことを意味する言葉ですが、前者は対価に対して想定されているサービス満足度を超えるための行為を指し、後者は見返りを求めない行為を指します。

そのため、「ホスピタリティ」は相手の求める物や行為を考え対応するなど元あるサービスに更なる価値を与える行為であり、「おもてなし」は価値を減らさないための行為とも言い換えることができます。

一方「サービス」は、顧客から金銭などの対価を受け取った上で、それに応じた奉仕で、誰に対しても平等に提供される行為を指すため、「ホスピタリティ」や「おもてなし」の土台となる行為を表します。

「サービス」には、店側が商品の値引きをしたり、おまけをつけるという意味もありますが、「ホスピタリティ」と「おもてなし」の使い方とは異なります。

これが、「ホスピタリティ」、「サービス」、「おもてなし」の明確な違いです。

「ホスピタリティ」の意味

「ホスピタリティ」とは

「ホスピタリティ」とは、心のこもったもてなしを意味しています。

その他にも、放浪する教徒や客人を神様と見なして招きもてなす風習を意味する異人歓待の意味を持つ言葉でもあります。

「ホスピタリティ」の語源

英語で「hospitality」と表記される「ホスピタリティ」は、ラテン語で客人の保護を意味する「hospes」、「hospics」が語源となった言葉です。また、病院を意味する「hospital」やホテルを意味する「hotel」なども同じ語源です。

表現方法は「ホスピタリティが高い」「ホスピタリティがない」「ホスピタリティを高める」

「ホスピタリティが高い」「ホスピタリティがない」「ホスピタリティを高める」などが、ホスピタリティを使った一般的な言い回しです。

「ホスピタリティ産業」の意味

「ホスピタリティ」を使った言葉として、「ホスピタリティ産業」があります。これは、主に接客サービスを提供する業種を総称した言い方で、具体的に宿泊業、運輸業、旅行業界などを指す言葉で、教育業界や医療業界などを含むこともあります。

「ホスピタリティ産業」の類語

「ホスピタリティ」の類語・類義語としては、手厚くもてなすことを意味する「優遇」、心から深く思いやる気持ちを意味する「厚情」、喜んで迎えることを意味する「歓迎」、情け深いもてなしを意味する「恩遇」などがあります。

「サービス」の意味

「サービス」とは

「サービス」とは、人のために力を尽くすことを意味しています。

表現方法は「サービスする」「サービスを提供する」「サービスを受ける」

「サービスする」「サービスを提供する」「サービスを受ける」などが、サービスを使った一般的な言い回しです。

「サービス」を使った言葉として、「サービス精神」「アフターサービス」があります。

「サービス精神」の意味

一つ目の「サービス精神」とは、人を喜ばせようとする心や態度を意味しますが、この精神作用が強い場合にサービス精神という言葉が使われます。

小説家の太宰治は、文学作品だけでなく私生活において注目を浴びるような行動をすることで、読者に対するサービスを行なっており、三島由紀夫や芥川龍之介らも過剰なサービス精神を持ち合わせていました。

「アフターサービス」の意味

二つ目の「アフターサービス」とは、商品やサービスを購入した後、その商品やサービスを維持するための助けや、修理などに関するサポートを販売メーカーなどが提供することを指す言葉です。

「サービス」の類語

「サービス」の類語・類義語としては、職務や役目をつとめて仕えることを意味する「勤仕」、社会や人のために役に立つことを意味する「寄与」、周囲の状況などに合わせて事をすることを意味する「対応」などがあります。

「おもてなし」の意味

「おもてなし」とは

「おもてなし」とは、客への対応の仕方を意味しています。その他にも、食事や茶請けといったごちそうの類や、身に備わった物腰なども意味します。

「おもてなし」の語源

「おもてなし」は「持て成し」という言葉を丁寧にした言葉で、平安時代から使われていた意図を持って成し遂げることという意味が語源であるという説があります。

また、「おもてなし」が「表なし」という表記ができることから、裏表なしに敬意を払ったり思いやることを意味し、それが語源となったという説もあります。

「おもてなし」は流行語大賞に選出された

2013年に行われた国際オリンピック委員会の総会にて、日本側のアンバサダーとして滝川クリステルが「おもてなし」と発言したことで、日本では流行語大賞に選出されることにもなりました。

表現方法は「おもてなしする」「おもてなしを提供する」「おもてなしを受ける」

「おもてなしする」「おもてなしを提供する」「おもてなしを受ける」などが、「おもてなし」を使った一般的な言い回しです。

「おもてなし」の類語

「おもてなし」の類語・類義語としては、手厚くもてなすことを意味する「厚遇」、礼を尽くして厚くもてなすことを意味する「礼遇」、客をもてなすことを意味する「接待」、訪れた人を招き入れてその相手をすることを意味する「応接」などがあります。

「ホスピタリティ」の例文

1.ホスピタリティマインドが重要視され始め、接客業だけでなく、どの業界においても注目されることが増えてきたように思う。
2.行きつけの店はホスピタリティに溢れる社員ばかりで非常に居心地がいいため足繁く通ってしまう。
3.ホスピタリティに対する理解を深め、自身の携わる業務においてどんなことがホスピタリティに当てはまるかを考えるところから始めるべきだろう。
4.日本でいうホスピタリティは、先回りして転ばぬ先の杖を与えることのようですが、私の国の場合、フレキシビリティが一番重要なホスピタリティだと思います。
5.先日出張先で宿泊したホテルはホスピタリティが素晴らしかったので、機会があれば個人的に利用したいと思う。
6.ライバルの大手に負けないためには、われわれ社員一人一人のホスピタリティを高めるしかないと思っている。
7.役所の窓口と言えば評判が悪い代名詞だったが、現在では市民のためのホスピタリティ向上がうたわれている。
8.取引先の会社ではホスピタリティ溢れる従業員たちが生き生きと働いており、一種のカルチャーショックを受けた。

この言葉がよく使われる場面としては、心のこもったもてなしを意味する時などが挙げられます。

例文1の「ホスピタリティマインド」とは、奉仕や思いやりの心という意味を持ち、サービス業では多く使われている言葉です。

「サービス」の例文

1.一度サービスを受けて魅力的だと思ったら何度でも足を運びたくなってしまい、そろそろ片手で足りなくなるほど通ったことになる。
2.この店のサービスは酷いもので、長い時間待たされたところで料理が運ばれ、その料理は少し冷め始めているほどだった。
3.待ちに待った携帯ゲームのサービスが開始されるため急いで用事を片付けたものの、まだ配信されていなかった。
4.サービス残業を強いられるような会社でしか働いたことがなかったので、定時で上がれるいまの会社は夢のようです。
5.私はサービス精神が旺盛というか、乗せられると頼まれないことも過剰にやってしまうところがあるので、それは自分にとっても他人にとってもあまりよくないことなので気を付けないといけないとな、とは思っています。
6.ネットでも家電製品は買うことができるが、やはり実地店舗のほうがアフターサービスが充実しているので安心だ。
7.彼はみんながどんなに苦しい時でも、冗談をいって楽しませてくれるそんなサービス精神がある男だ。
8.日本のサービス残業を廃止するには、滅私奉公という言う独特の風潮をどう改めるかにかかっているだろう。

この言葉がよく使われる場面としては、人のために力を尽くすことを意味する時などが挙げられます。

例文3のように、オンライン上のゲームやシステムに対してもサービスという言葉を使います。

「おもてなし」の例文

1.日本人のおもてなしの精神によって、海外からやってくる人たちにとっては日本人が馴染みやすい国民であると認識してくれるだろう。
2.その地域ではおもてなしに力を入れている店舗がまとまった案内パンフレットが駅に置かれている。
3.おもてなしをするための茶請けやお茶などは常に用意されているが、使っているのをあまり見たことがない。
4.オリンピックのおもてなしという言葉が独り歩きをすることで、日本人の自己満足の様相も帯びてきたように思える。
5.海外にきてからは休む間もなく、現地の人々からおもてなしを受けたりととても忙しい日々を送っている。
6.もし地元にいらしてくれる機会がございましたら、わたくしどもとしましてもたくさんのおもてなしをする所存でございます。
7.当時敗戦後で物資もない中で主人は最高のおもてなしをしてくれた。そのことは一生忘れることはないだろう。
8.わが社ではわざわざ遠いところをたずねてくれた取引先への心ばかりのおもてなしとしてお茶とお漬物を出すことにしている。

この言葉がよく使われる場面としては、客への対応の仕方やご馳走を意味する時などが挙げられます。

基本的には見返りを求めない行為に対して使われるため、どの「おもてなし」という言葉も「ホスピタリティ」や「サービス」に置き換えて使うのに適していません。

「ホスピタリティ」と「サービス」と「おもてなし」どれを使うか迷った場合は、価値を付加する行為には「ホスピタリティ」を、平等に提供される奉仕には「サービス」を、親切心には「おもてなし」を使うと覚えておけば間違いありません。

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