似た意味を持つ「夕凪」(読み方:ゆうなぎ)と「朝凪」(読み方:あさなぎ)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「夕凪」と「朝凪」という言葉は、どちらも「風がやんで波がなくなること」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
夕凪と朝凪の違い
夕凪と朝凪の意味の違い
夕凪と朝凪の違いを分かりやすく言うと、夕凪とは夕方に起こる無風状態、朝凪とは朝方に起こる無風状態という違いです。
夕凪と朝凪の使い方の違い
一つ目の夕凪を使った分かりやすい例としては、「穏やな気持ちになれる夕凪の時間が好きです」「夕凪で船が全く進まない」「夕凪はイルカウォッチングに最適です」「真夏の夕凪の時間は蒸し暑いです」などがあります。
二つ目の朝凪を使った分かりやすい例としては、「静まり返った朝凪の海を写真に収める」「朝凪のイラストが入ったTシャツを買う」「朝凪を季語に俳句を詠む」「朝凪には海の水平線が直線になります」などがあります。
夕凪と朝凪の使い分け方
夕凪と朝凪という言葉は、どちらも「風がやんで波がなくなり海辺が静まり返る自然現象」を表しますが、その発生する時間帯により言葉を使い分ける必要があります。夕凪とは、海辺で夕方に無風状態になることを意味します。一方、朝凪とは、海辺で朝方に無風状態になることを意味します。
沿岸地域では、日中に海から陸に向かって海風が吹き、夜中に陸から海に向かって陸風が吹きます。海風から陸風へ切り替わるときに一時的に無風状態になりますが、夕方の無風状態を「夕凪」、朝方の無風状態を「朝凪」と言うのです。
なお、一般に風がおさまって波の穏やかな状態を「凪」と言い、風力0(風速0.2メートル毎秒以下)の状態を指します。
夕凪と朝凪の英語表記の違い
夕凪を英語にすると「evening calm」となり、例えば上記の「夕凪の時」を英語にすると「time of evening calm」となります。一方、朝凪を英語にすると「morning calm」となり、例えば上記の「朝凪の海」を英語にすると「sea of morning calm」となります。
夕凪の意味
夕凪とは
夕凪とは、海岸地方で、夕方の海風から陸風に交替する時に、無風状態になることを意味しています。
夕凪の使い方
夕凪を使った分かりやすい例としては、「夕凪の海の写真をブログにアップする」「少年は夕凪の丘に佇んでいた」「夕凪や朝凪の原因は何でしょうか」「夕凪の発生時間はどのぐらいですか」などがあります。
その他にも、「晩夏の季語のひとつに夕凪があります」「夕凪を詠んだ俳句を味わう」「何時ごろに夕凪になりますか」「夕凪の街を歩いた後、夕飯に寿司を食べた」「瀬戸内の夕凪や讃岐の夕凪が有名です」などがあります。
夕凪とは、夕方に起こる無風の状態を意味します。海岸の地域では、昼は海から陸に向かって海風が、夜は陸から海に向かって陸風が吹きます。この昼から夜に風の方向が切り替わるタイミングに生じる、一時的な風の無い自然現象を指す言葉です。 特に、瀬戸内のような内海にみられる現象です。
夕凪をタイトルに用いた映画・アニメ作品・歌・楽曲は多い
夕凪をタイトルに用いた映画やアニメ作品、歌や楽曲はたくさんあります。なかでも、原爆をテーマに描いた「夕凪の街 桜の国」という漫画作品は有名で、後に映画化されました。
夕凪は俳句で晩夏の季語
夕凪という言葉は、俳句で晩夏の季語とされています。夏の終わりの頃を表す言葉ですが、陰暦で6月を指すので、具体的には7月7日頃から8月6日頃とされています。
夕凪の対義語
夕凪の対義語・反対語としては、海辺の地域で朝方に起こる無風の状態を意味する「朝凪」、風が強く吹いて波立つことを意味する「波風」、強い風を意味する「強風」などがあります。
夕凪の類語
夕凪の類語・類義語としては、風がやみ波が穏やかになることを意味する「凪」、物音がやんで静かになることを意味する「鎮まる」などがあります。
朝凪の意味
朝凪とは
朝凪とは、海岸地方で、陸風から海風に交代する朝方に、一時無風状態になることを意味しています。
朝凪の読み方
朝凪の読み方は「あさなぎ」です。「あさな」「ちょうなぎ」などと読まないようにしましょう。
朝凪の使い方
朝凪を使った分かりやすい例としては、「生まれて初めて朝凪の海を見ました」「朝凪の時間は空気が変わります」「朝凪の写真やイラスト素材を集めています」「私の苗字は朝凪で、珍しいと言われます」などがあります。
その他にも、「朝凪は夏の季語のひとつです」「朝凪の時間を狙って海岸に向かう」「朝凪町行きのンバス停はどちらですか」「早起きして朝凪の日本海を散歩する」「輝く朝凪の海に感動しました」などがあります。
朝凪とは、朝に海辺の風が一時止まることを意味します。前述した夕凪と反対のメカニズムで起こるもので、陸から海に向かって吹いていた陸風が、海から陸に向かって海風に切り替わるタイミングで、一時的に無風になる現象のことです。
朝凪は俳句における夏の季語
朝凪は俳句における夏の季語になっています。朝凪を用いた有名な俳句には、正岡子規の「朝凪や霞みて遠き島一つ」があります。朝凪の風が止まる時間に、ぼんやりと遠くの島がひとつ見えることを詠んだ歌です。
朝凪の対義語
朝凪の対義語・反対語としては、海辺の地域で夕方に起こる無風の状態を意味する「夕凪」、荒く激しい風を意味する「暴風」、きわめて激しい風を意味する「烈風」などがあります。
朝凪の類語
朝凪の類語・類義語としては、風がないことや混乱のないことを意味する「無風」、静かである状態や様子を意味する「静けさ」などがあります。
夕凪の例文
この言葉がよく使われる場面としては、海岸地方で、夕方の海風から陸風に交替する時に無風状態になることを表現したい時などが挙げられます。
例文5にあるように、夕凪は陸と海の温度上昇や下降の程度により異なるため、季節や場所、天気などに大きく左右されるものです。一般的には、夏に夕凪が継続する時間は長いとされています。
朝凪の例文
この言葉がよく使われる場面としては、朝、陸風と海風が吹き変わる時の現象で、海辺の風が一時止まることを表現したい時などが挙げられます。
例文1に関して、瀬戸内海の朝凪や夕凪は継続時間が長いことで有名です。周囲を山に囲まれており、もともと風が弱いことがが原因だとされています。
夕凪と朝凪という言葉は、どちらも海辺の無風状態を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、夕方の無風状態を表現したい時は「夕凪」を、朝方の無風状態を表現したい時は「朝凪」を使うようにしましょう。