同じ「もって」という読み方の「持って」と「以って」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「持って」と「以って」という言葉は同音の言葉ですが、それぞれの漢字によって使い方には少し違いがあります。
「持って」と「以って」の違い
「持って」と「以って」の意味の違い
「持って」と「以って」の違いを分かりやすく言うと、「持って」とは何かを所有していること、「以って」とは手段や方法を示すことという違いです。
「持って」と「以って」の使い方の違い
一つ目の「持って」を使った分かりやすい例としては、「鞄を持って出かける」「色々な悩みを持っているが前を向いて生きていく」「私は沖縄に別荘を持っています」「彼は物凄い才能を持っている」「これを持っててくれますか」などがあります。
二つ目の「以って」を使った分かりやすい例としては、「3月を以って今勤めている会社を辞めることにしました」「書面を以って通知する」「9月1日を以って閉館することになりました」などがあります。
「持って」と「以って」の使い分け方
「持って」と「以って」は同音の言葉ですが、意味は異なっているので間違えないように注意しましょう。
「持って」は「傘を持って出かける」「立派な息子を持っていて鼻が高い」「彼女はとてつもない才能を持っている」などのように、何かを所有していることを意味する言葉です。
一方、「以って」は手段や方法を示すこと、原因や理由を示すこと、強調すること、区切りや限界を示すことという複数の意味を持つ言葉で、様々な場面で使うことができます。
「持って」と「以って」の英語表記の違い
「持って」を英語にすると「hold」「have」「bring」となり、例えば上記の「これを持っててくれますか」を英語にすると「Can you hold this」となります。
一方、「以って」を英語にすると「by」「for」「therefore」「and so」となり、例えば上記の「書面を以って通知する」を英語にすると「Inform a person by letter」となります。
「持って」の意味
「持って」とは
「持って」とは、何かを所有していることを意味しています。
表現方法は「持っていく」「持っている」「持ってない」
「持っていく」「持っている」「持ってない」などが、「持って」を使った一般的な言い回しになります。
「持って」の使い方
「持って」を使った分かりやすい例としては、「財布を持って出かける」「常に良いイメージを持って行動することを心掛ける」「ここの権限は彼が持っている」「今日は雨の予定なので傘を持って行く」「私は別府に別荘を持っています」などがあります。
「持って」は動詞「持つ」の連用形である「持ち」の促音便形に、接続助詞「て」で成り立っています。
「持って」は「お弁当を持って出かける」「日差しが強いので日傘を持って出かける」「手に消しゴムを持っている」などのように、物理的に何かを所有してる場合に使います。
また、「ここの権限は彼女が持っています」「彼は物凄いポテンシャルを持っている」「私はチームの一員として自覚を持って行動する」のように、抽象的な何かを所有している場合にも使うことが可能です。
「持って」の類語
「持って」の類語・類義語としては、持ちつづけることを意味する「保持する」、手でしっかりと握り持つことを意味する「掴む」、自分の手で持つことを意味する「手に取る」などがあります。
「以って」の意味
「以って」とは
「以って」とは、手段や方法を示すことを意味しています。その他にも、原因や理由を示すこと、強調すること、区切りや限界を示すことの意味も持っています。
表現方法は「本日を以って」「以上を以って」「以ってして」
「本日を以って」「以上を以って」「以ってして」などが、「以って」を使った一般的な言い回しになります。
「以って」の使い方
「誠意を以って交渉に当たります」「本サービスは本日を以って終了とさせていただきます」などの文中で使われている「以って」は、「手段や方法を示すこと、区切りや限界を示すこと」の意味で使われています。
一方、「3度の無断欠勤を以って解雇となりました」「誠に以って残念ですが本年度開催を見合させていただきます」などの文中で使われている「以って」は、「原因や理由を示すこと、強調すること」の意味で使われています。
「以って」の語源
「以って」の語源は、「持ちて」が時代と共に音変化したことです。
「以って」の正しい表記方法は「以て」になります。しかし、発音をそのまま文字化した「以って」の方が分かりやすい表記なので、世間一般的にはこちらの方が使われています。また、漢字ではなくひらがなで「もって」と表記することが多いです。
「以って」は日常生活で使うことはあまり多くありませんが、ビジネスシーンやスピーチの場などの改まった場面で多く使われている言葉になります。
「以って」の類語
「以って」の類語・類義語としては、手段や方法を表すことを意味する「駆使して」、そういう理由であることを意味する「理由として」、原因を示すことを意味する「によって」などがあります。
「持って」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、何かを所有していることを表現したい時などが挙げられます。
例文1から例文3のように、物理的に何かを所有しているだけではなく、素質や思いなどの抽象的なものを所有している場合にも使うことができます。
「以って」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、手段や方法を示すことを表現したい時などが挙げられます。その他にも、原因や理由を示すこと、強調すること、区切りや限界を示すことを表現したい時にも使います。
例文1の「以って」は手段や方法を示すこと、例文2の「以って」は原因や理由を示すこと、例文3の「以って」は強調すること、例文4と例文5の「以って」は区切りや限界を示すことの意味で使われています。
「持って」と「以って」は同音の言葉ですが、意味は異なっています。どちらの言葉を使うか迷った場合、何かを所有していることを表現したい時は「持って」を、手段や方法を示すことを表現したい時は「以って」を使うと覚えておきましょう。