【なかんずく】と【よしんば】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「なかんずく」と「よしんば」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「なかんずく」と「よしんば」という言葉は、似ていても意味は大きく異なりますので、ご注意下さい。




「なかんずく」と「よしんば」の違い

「なかんずく」と「よしんば」の意味の違い

「なかんずく」と「よしんば」の違いを分かりやすく言うと、「なかんずく」とはその中でも、「よしんば」とはたとえそうであったとしてもという違いです。

「なかんずく」と「よしんば」の使い方の違い

一つ目の「なかんずく」を使った分かりやすい例としては、「全ての学科に言えるがなかんずく語学は重要です」「彼は日本歴史の中でもなかんずく江戸時代に詳しい」「彼女はなかんずくフランス語に熟達している」などがあります。

二つ目の「よしんば」を使った分かりやすい例としては、「よしんば間違ったとしても心配はありません」「よしんば大雨が降っても開催されるだろう」「よしんば私が言った所で後輩の心は動かないだろう」「よしんばそれが事実としても、あなたのしたことは許されません」などがあります。

「なかんずく」と「よしんば」の使い分け方

「なかんずく」と「よしんば」はどちらも大和言葉ですが、意味は全く異なっているので間違えないように注意しましょう。大和言葉とは漢語でも外来語でもない、古来から使われている日本で生まれ日本で育った言葉のことを指しています。

「なかんずく」はその中でもや取り分けという意味で、数多くある物事の中から特別気に入ったものを一つ選ぶというニュアンスで使います。

一方、「よしんば」はたとえそうであったとしてもや仮にを意味しており、上記の「よしんば間違ったとしても心配はありません」のように、逆接の仮定を表す場合に使う言葉です。

「なかんずく」と「よしんば」の英語表記の違い

「なかんずく」を英語にすると「particularly」「especially」「above all」となり、例えば上記の「彼女はなかんずくフランス語に熟達している」を英語にすると「She is especially proficient in French」となります。

一方、「よしんば」を英語にすると「even if」「eventhough」となり、例えば上記の「よしんばそれが事実としても、あなたのしたことは許されません」を英語にすると「Even if it’s true, what you did is still impermissible」となります。

「なかんずく」の意味

「なかんずく」とは

「なかんずく」とは、その中でもを意味しています。

「なかんずく」の使い方

「なかんずく」を使った分かりやすい例としては、「家事は一通りできるがなかんずく料理が得意です」「和食なら何でも好きだがなかんずく寿司などの魚類を好む」などがあります。

その他にも、「高校時代の思い出はたくさんあるがなかんずく文化祭楽しかった」「アニメはどんなジャンルでも観るがなかんずく好きなのはヒーローアニメです」などがあります。

「なかんずく」の漢字表記

「なかんずく」を漢字にすると「就中」と表記することができますが、あまり一般的ではありません。余程の理由がない限り、ひらがなの「なかんずく」を使うようにしましょう。

「なかんずく」の語源

また、この「就中」という漢字が「なかんずく」の語源です。「就中」を漢文訓読すると「中に就く」となり、これが変化して「なかんづく」となりました。そして「なかんづく」の「づ」が「ず」に変化したのが、現代で使われている「なかんずく」です。

「なかんずく」はその中でもや取り分けという意味で、数多くある物事の中から特別気に入ったものを一つ選ぶというニュアンスで使う言葉になります。

分かりやすい例を挙げると、「スポーツは何でも観るが、その中でも特にサッカーが好きです」ということを表したい場合に、「スポーツは何でも観るが、なかんずくサッカーが好きです」とすることができます。

「なかんずく」の特徴としては上記の例のように、好きや得意などのプラスのイメージで使うのが一般的です。反対に、「スポーツは何でも観るが、なかんずくサッカーが嫌いです」のようにマイナスなイメージは使わないと覚えておきましょう。

「なかんずく」の類語

「なかんずく」の類語・類義語としては、普通と違って際立っていることを意味する「特に」、特に際立っていることを意味する「殊更」(読み方:ことさら)、物事の程度の差が甚だしいことを意味する「格段」などがあります。

「よしんば」の意味

「よしんば」とは

「よしんば」とは、たとえそうであったとしてもを意味しています。

「よしんば」の漢字表記

「よしんば」を漢字で表記すると「縦しんば」となり、この「縦し」が「よしんば」の語源になります。「縦し」は「たとえ」や「仮に」という仮定の意味があり、これに協調を意味する「んば」が合わさり、現在の「よしんば」となりました。

「よしんば」の使い方

「よしんば」を使った分かりやすい例としては、「よしんば学校を辞めたとしても友人との関係は続けていくつもりです」「よしんば会社を辞めたところで、生活に困ることはありません」「よしんば私が居なくなっても彼女は悲しまないだろう」などがあります。

「よしんば」はたとえそうであったとしてもや仮にを意味しており、上記の「よしんば学校を辞めたとしても友人との関係は続けていくつもりです」のように、逆接の仮定を表す場合に使う言葉です。

「よしんば」を使う上で注意しなければならいのは、文章の前後が逆接の関係になる必要があるという点です。

分かりやすい例を挙げると、「よしんば大雪が降ったとしても予定が変わることはありません」と「よしんば大雪が降ったとしたら予定は変わります」があります。

前者は「〇〇であっても〇〇ではない」という逆接の仮定を表現しているので、正しい「よしんば」の使い方になります。一方、後者は「〇〇であれば○○をする」というただの仮定を表現しているので間違った使い方です。

「よしんば」の類語

「よしんば」の類語・類義語としては、滅多にないが極稀にあることを意味する「万が一」、確実ではないが十分ありうることを意味する「もしも」、ある場合を仮定する時に用いる言葉のことを意味する「例えば」などがあります。

「なかんずく」の例文

1.この海外ドラマのシリーズは全て視聴しているが、なかんずく好きなのはやはりシーズン1です。
2.スポーツなら基本的に何でも好きだが、なかんずく好きなのは観ていて面白いラグビーです。
3.今日の試合に僅差で敗けてしまったが、なかんずく監督の試合展開に対する対応の遅さが原因だろう。
4.私は料理をする時にたくさん調味料を使うが、なかんずく味噌をよく使います。
5.体育の授業はどれも好きだが、なかんずくソフトボールが楽しかったです。

この言葉がよく使われる場面としては、その中でもを表現したい時などが挙げられます。

「なかんずく」は聞きなれない言葉ですが、昔からある奥深い日本語です。

「よしんば」の例文

1.よしんば彼女に裏切られたとしても、君を支える人はたくさんいるから気にする必要はありません。
2.よしんば大雪が降ったとしても、予定が変わることはありません。
3.よしんばこの問題を間違ってとしても、何も心配はないだろう。
4.よしんば満塁ホームランを打ったとしても、追いつくまでまだ2点差もあります。
5.よしんば優秀な選手が見つかったとして、長くこのチームにいてくれる保証はありません。

この言葉がよく使われる場面としては、たとえそうであったとしてもを表現したい時などが挙げられます。

「よしんば」は聞きなれない言葉ですが、昔からある奥深い日本語です。

「なかんずく」と「よしんば」はどちらも大和言葉ですが、意味は全く異なっています。その中でもや取り分けを表現したい時は「なかんずく」を、たとえそうであったとしてもや仮にを表現したい時は「よしんば」を使うと覚えておきましょう。

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