似た意味を持つ「メンター」と「チューター」と「プリセプター」の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「メンター」と「チューター」と「プリセプター」という言葉は、指導者という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
メンターとチューターとプリセプターの違い
メンターとチューターとプリセプターの意味の違い
メンターとチューターとプリセプターの違いを分かりやすく言うと、メンターは仕事や人生の助言者を表現する時に使い、チューターは学業における指導者を表現する時に使い、プリセプターは看護師の指導者を表現する時に使うという違いです。
メンターとチューターとプリセプターの使い方の違い
メンターという言葉は、「とりあえずメンターに相談しよう」「メンターはいつでも快く対応してくれる」などの使い方で、信頼のおける相談相手を意味します。
チューターという言葉は、「自分もチューターとして学生を支えたいと感じた」「チューターが生活上の相談まで乗ってくれる」などの使い方で、個別に指導や助言をしてくれる人を意味します。
プリセプターという言葉は、「プリセプターに大きな負担が掛かっている」「通常業務に加えプリセプターとしての役目を担う身として肩の力を抜く時間が少ない」などの使い方で、新人看護師に業務指導を行う先輩看護師を意味します。
メンターとチューターとプリセプターの使い分け方
メンターとチューターはどちらも、個別で指導を行う人や助言してくれる人を意味する言葉ですが、前者は人生における様々な場面で助言をくれる人を指し、後者は学生生活における助言をくれる人を指します。
具体的に、メンターは会社の先輩や上司などが該当し、チューターは家庭教師や予備校の学習内容以外のサポートを担当する人などが該当します。
一方のプリセプターは、企業における個別指導者であるメンターや、学業における個別指導者であるチューターとは異なり、看護師に対して使われる言葉です。
これが、メンター、チューター、プリセプターの明確な違いです。
メンターの意味
メンターとは
メンターとは、信頼のおける相談相手を意味しています。
表現方法は「メンターに選ばれた」「メンターになる」「メンターを探す」
「メンターに選ばれた」「メンターになる」「メンターを探す」などが、メンターを使った一般的な言い回しです。
メンターの由来
メンターは英語で「mentor」と表記される言葉で、助言者や指導者を意味します。古代ギリシアの叙事詩である『オデュッセイア』の登場人物メントールが由来となっています。
この叙事詩でアテナがメントールの姿を借りて助言を行ったり、苦難から逃れる手助けをしたことで、メントールの名前が英語のメンターとして使われることとなります。
1699年にフランスの作家の著書で使われたのが初めてで、この本が著名となった18世紀頃から、経験の少ない人に対して知識を与えて、広める役割を持つ人をメンターと呼び、その行為をメンタリングと言うようになりました。
メンターの反対語はメンティーやプロテジェ
メンターに対して、支援してもらう側をメンティーやプロテジェと呼びます。プロテジェはフランス語で被育成者を意味する言葉です。
メンターの類語
メンターの類語・類義語としては、真心から間違いなどを改めるように言うことを意味する「忠言」、会社などで相談を受けて意見を述べる人を意味する「顧問」、企業経営に関する助言や指導を行う専門家を意味する「コンサルタント」などがあります。
チューターの意味
チューターとは
チューターとは、個別に指導や助言をしてくれる人を意味しています。
表現方法は「チューターをする」「チューターの先生」「チューターに質問」
「チューターをする」「チューターの先生」「チューターに質問」などが、チューターを使った一般的な言い回しです。
チューターの語源
チューターは英語で「tutor」と表記される言葉で、見守ることを意味するラテン語の「tueri」が語源となった言葉です。
イギリスのケンブリッジ大学では教育を教員と学生の一対一で行っており、この指導方法を「チュートリアル」と呼んでいました。そして、チュートリアルを行う教員をチューターと呼ぶようになり、チューター制度が多くの場所で使われることとなります。
日本では1990年代後半からチューターが職業として定着するようになり、多くの大学がチューター制度を導入しており、この場合は、ティーチングアシスタントと呼ばれる同じ学課の大学院生など教授の補佐を行う者が担っています。
チューターの対義語
チューターの対義語・反対語としては、干渉せずにしたいようにさせることを意味する「放任」、師として尊敬し教えを受けることを意味する「師事」があります。
チューターの類語
チューターの類語・類義語としては、武術や芸能などを教え示すこと「指南」、ある人間を望ましい姿に変化させるために働きかけることを意味する「教育」があります。
プリセプターの意味
プリセプターとは
プリセプターとは、新人看護師に業務指導を行う先輩看護師を意味しています。
プリセプターは英語で「preceptor」と表記される言葉で、教師や指導者、指導教官を意味する言葉です。これに対して、新人看護師や新人介護士のことをプリセプティーと言い、このプリセプティーに実務を通した訓練であるOJTをプリセプターが行います。
プリセプターがプリセプティーに対して指導をする期間は様々ですが、指導だけではなく業務上の悩みについて話を聞いたり、その他フォローをする役割を担います。この制度はプリセプターシップと呼ばれています。
また、プリセプターは勤務年数3年から4年の者が担いますが、このプリセプターを支える看護師をエルダーナースやエルダーと呼び、プリセプターシップがしっかり機能するよう支援する役目を担います。
表現方法は「プリセプターになる」「プリセプターを育てる」「プリセプターが嫌い」
「プリセプターになる」「プリセプターを育てる」「プリセプターが嫌い」などが、プリセプターを使った一般的な言い回しです。
プリセプターの類語
プリセプターの類語・類義語としては、技術などについて指導や助言をする人を意味する「コーチ」、弟子などを指導したり保護する立場にある人を意味する「親方」があります。
メンターの例文
この言葉がよく使われる場面としては、信頼のおける相談相手を意味する時などが挙げられます。
例文3の「メンティー」は、指導者であるメンターに対して被育成者を意味する言葉です。基本的には企業内での役割として使われている名称です。
チューターの例文
この言葉がよく使われる場面としては、個別に指導や助言をしてくれる人を意味する時などが挙げられます。
例文1のように予備校や学習塾のチューターを指すこともあれば、大学にて院生らが担うティーチングアシスタントをチューターを指すこともあります。
プリセプターの例文
この言葉がよく使われる場面としては、新人看護師に業務指導を行う先輩看護師を意味する時などが挙げられます。
また、医療現場だけではなく、介護現場で使われることもあります。
メンターとチューターとプリセプターどれを使うか迷った場合は、仕事や人生の助言者を表す場合は「メンター」を、学業における指導者を表す場合は「チューター」を、看護師の指導者を表す場合は「プリセプター」を使うと覚えておけば間違いありません。