似た意味を持つ「胆力」(読み方:たんりょく)と「度胸」(読み方:どきょう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「胆力」と「度胸」という言葉は、どちらも「物事に動じない心」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
胆力と度胸の違い
胆力と度胸の意味の違い
胆力と度胸の違いを分かりやすく言うと、胆力とは文章で使われ、度胸とは文章でも会話でも使用されるという違いです。
胆力と度胸の使い方の違い
一つ目の胆力を使った分かりやすい例としては、「彼女は胆力があるためリーダーに適任だろう」「呼吸法で胆力を鍛えることができます」「この仕事は胆力がある人に任せたい」「困難を乗り越える胆力を養う」などがあります。
二つ目の度胸を使った分かりやすい例としては、「彼は失敗を恐れない度胸のある人です」「度胸がない人は自分に自信がありません」「子どもの度胸をつける方法を教えてください」「張り合おうなんていい度胸しているな」などがあります。
胆力と度胸の使い分け方
胆力と度胸という言葉は、どちらも「物事に動じない心、恐れない心」という共通する意味を持っていますが、使い方には違いがあります。
胆力とは、日常会話ではあまり使われず、主として文章を書くときに使われる文章語です。一方、度胸は日常会話でも文章語でも用いられる一般的な表現です。ただし、同じ意味を持つ言葉なので、「胆力を養う」「度胸を養う」のどちらの表現も可能です。
二つの言葉を比べると、胆力よりも度胸の方が、幅広く使用できる汎用性のある言葉だと言えるでしょう。
胆力と度胸の英語表記の違い
胆力も度胸も英語にすると「courage」「nerve」「grit」となり、例えば上記の「彼女は胆力がある」を英語にすると「She is courageous」となります。
胆力の意味
胆力とは
胆力とは、事にあたって、恐れたり、尻ごみしたりしない精神力。ものに動じない気力を意味しています。
胆力の読み方
胆力の読み方は「たんりょく」です。誤って「たんりき」「たんぢから」などと読まないようにしましょう。
表現方法は「胆力を養う」「胆力に欠ける」「胆力トレーニング」
「胆力を養う」「胆力に欠ける」「胆力トレーニング」などが、胆力を使った一般的な言い回しです。
胆力の使い方
胆力を使った分かりやすい例としては、「キャンプ活動を通して子どもたちの胆力を養う」「経営者に必要な胆力についてお話しします」「ビジネスマンには改善を継続する胆力が重要です」「胆力がない人は成功者になれません」などがあります。
その他にも、「胆力と英語力を武器に海外ビジネスを成功させる」「逃げずに考え続ける胆力を養う」「剣道によって胆力を練ることができました」「苦労した経験は胆力を培う」「祖母は常に胆力が据わった人でした」などがあります。
胆力とは、物事に対して恐れたり、気おくれしたりしない気力を意味します。強い精神力を表すため、プラスイメージを伴う言葉です。日常会話ではあまり使われず、多くは文章のなかで使用される硬い表現です。
胆力の語源
胆力の語源は、人間の臓器の一つである「胆のう」に由来します。胆のうは、肝臓でつくられた胆汁を濃縮して蓄える臓器ですが、伝統的な中国医学によると、物事を決断し判断を下す働きを持つとされています。そのため、どんな状況下でも正しい決断を下せる強い人は「胆力がある」と表現しました。
胆力の対義語
胆力の対義語・反対語としては、気が小さくて臆病なことを意味する「小心」、気が小さいことを意味する「小胆」などがあります。
胆力の類語
胆力の類語・類義語としては、信念を守って障害に屈服しない強い意気を意味する「気骨」、心がしっかりしていることや気の強いことを意味する「気丈夫」、困難にくじけない強い意志や気性を意味する「気概」、がんばる気力や根性を意味する「ガッツ」などがあります。
度胸の意味
度胸とは
度胸とは、物事を恐れない心、気おくれしない精神力を意味しています。
表現方法は「度胸がある人」「度胸がない」「度胸をつける」
「度胸がある人」「度胸がない」「度胸をつける」などが、度胸を使った一般的な言い回しです。
度胸の使い方
度胸を使った分かりやすい例としては、「バンジージャンプは究極の度胸試しだ」「外国人に英語で話しかける度胸がない」「度胸がないために意思決定ができません」「自分を貫く勇気と度胸を身に付ける」などがあります。
その他にも、「度胸がある人のことを羨ましく思う」「どうしたら度胸をつけることができるだろう」「舞台に向けて度胸を据える」「園児たちの度胸の据わった演奏に感動した」「男は度胸、女は愛嬌なんて今の時代にそぐわない」などがあります。
度胸とは、どんな事態にぶつかっても臆することなく、困難に立ち向かうことができる強い精神力を意味する言葉です。「度胸がある」「度胸がない」のように強い精神力の有無を表現することが多くあります。
度胸の語源
度胸の語源は、その漢字に由来します。度胸の「度」は示される言動や心の様子を表し、「胸」は心の中を表します。度胸とは、心の中のありさまを表し、特に物事を恐れない心や、屈しないという強い精神力を意味するようになりました。
「度胸試し」の意味
上記の例文にある「度胸試し」(読み方:どきょうだめし)とは、度胸があるかどうかを試すことを意味します。わざと恐怖を感じるようなことを体験する時や、勇気や根性がないとできないようなことをする時に使用される表現です。
ことわざ「男は度胸、女は愛敬」の意味
度胸を用いたことわざには「男は度胸、女は愛敬」があります。「男は度胸、女は愛敬」とは、男には度胸が大切であり、女には愛嬌が大切であることを意味します。男女それぞれにふさわしい資質を、「度胸」「愛敬」と韻を踏んで示したことわざです。
度胸の対義語
度胸の対義語・反対語としては、ちょっとしたことにも怖がったり尻込みすることを意味する「臆病」、情けないほど意気地がないことを意味する「不甲斐ない」などがあります。
度胸の類語
度胸の類語・類義語としては、物に動じない精神力を意味する「肝っ玉」、勇気があり危険や困難を恐れないことを意味する「勇敢」、意気や勢いが満ちあふれていることを意味する「たくましい」などがあります。
胆力の例文
この言葉がよく使われる場面としては、 物事に恐れず、臆せず、驚かない気力を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、胆力の慣用的な言い回しには、「胆力を鍛える」「胆力を養う」「胆力に欠ける」などがあります。
度胸の例文
この言葉がよく使われる場面としては、どんな事態にぶつかっても動じない心を表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、度胸の慣用的な言い回しには、「度胸がある」「度胸がない」「度胸を据える」「度胸を養う」などがあります。
胆力と度胸という言葉は、どちらも「物事に動じない心」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、文語的表現をしたい時は「胆力」を、口語的表現をしたい時は「度胸」を使うようにしましょう。