似た意味を持つ「香ばしい」(読み方:こうばしい)と「芳しい」(読み方:かんばしい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「香ばしい」と「芳しい」という言葉は、どちらもいい匂いのことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「香ばしい」と「芳しい」の違い
「香ばしい」と「芳しい」の意味の違い
「香ばしい」と「芳しい」の違いを分かりやすく言うと、「香ばしい」は食べ物のこんがり焼けたいい匂いに使うことが多い、「芳しい」は木の香やバラの花のようなかなり強烈ないい香りに使うことが多いという違いです。
「香ばしい」と「芳しい」の使い方の違い
一つ目の「香ばしい」を使った分かりやすい例としては、「香ばしいコーヒーの香りに誘われてカフェに入りました」「香ばしいパウンドケーキを作りました」「肉を焼いた香ばしい匂いがしました」などがあります。
二つ目の「芳しい」を使った分かりやすい例としては、「芳しい香りのする家が好きです」「栴檀は双葉より芳しい」「今の状況は芳しいとは言えません」「彼女は術後の体調が芳しくないらしい」「梅の花の芳しい匂い」などがあります。
「香ばしい」と「芳しい」の使い分け方
「香ばしい」と「芳しい」はどちらもいい匂いのことを意味する言葉ですが、使い方に少し違いがあるので注意が必要です。
「香ばしい」は「お肉の香ばしい香り」「香ばしい香りのするコーヒーが好きです」などのように、食べ物のこんがり焼けたいい匂いに使われることが多いです。
一方、「芳しい」は「芳しい木の香りがする家を建てました」「バラの花の香が芳しい」などのように、木の香やバラの花のようなかなり強烈ないい香りに使うことが多いというのが違いになります。
「香ばしい」と「芳しい」の英語表記の違い
「香ばしい」を英語にすると「fragrant」「savory」となり、例えば上記の「肉を焼いた香ばしい匂いがしました」を英語にすると「There was a savory smell of meat being barbecued」となります。
一方、「芳しい」を英語にすると「sweet」「fragrant」となり、例えば上記の「梅の花の芳しい匂い」を英語にすると「The fragrance of ume blossoms」となります。
「香ばしい」の意味
「香ばしい」とは
「香ばしい」とは、いい香りがすることを意味しています。
「香ばしい」は「芳ばしい」とも表記可能
「香ばしい」は別表記で「芳ばしい」とすることもできますが、あまり一般的ではないと覚えておきましょう。
表現方法は「香ばしい香り」「香ばしい匂い」「香ばしい女」
「香ばしい香り」「香ばしい匂い」「香ばしい女」などが、「香ばしい」を使った一般的な言い回しになります。
「香ばしい」の使い方
「香ばしい」を使った分かりやすい例としては、「香ばしい玄米茶の香りが好きです」「恋人が挽いたコーヒーの香ばしい香りで目覚めました」「お肉を焼くと香ばしい香りがしました」「彼のSNSでの書き込みはずいぶんと香ばしい」などがあります。
「香ばしい」はいい香りがすることを意味する形容詞です。形容詞とは、物事の状態や性質がどのようであるかを表現する際に使う言葉になります。
「香ばしい」はいい香りがする中でも、食べ物のこんがり焼けたいい匂いに使うことが多いというのが特徴です。そのため、基本的にプラスのイメージで使う言葉になります。
「香ばしい」はオタク用語では皮肉めいた嫌味として使われる
しかし、現代ではインターネットスラングで、痛々しい人や頭がおかしい人の隠語としてマイナスなイメージで使うこともあると覚えておきましょう。インターネットスラングとは、インターネット上で使われている俗語のことを意味しています。
「香ばしい」の類語
「香ばしい」の類語・類義語としては、よい匂いがすることを意味する「芳しい」(読み方:かぐわしい)、よい香りが立ちこめていることを意味する「匂いやか」などがあります。
「芳しい」の意味
「芳しい」とは
「芳しい」とは、いい香りがすることを意味しています。その他にも、立派なものと認められることの意味も持っています。
「芳しい」は「馨しい」「香しい」とも表記可能
「芳しい」は別表記で「馨しい」や「香しい」と表記することもできますが、「芳しい」を使うのが一般的と覚えておきましょう。
表現方法は「成績が芳しい」「体調が芳しい」「芳しい匂い」
「成績が芳しい」「体調が芳しい」「芳しい匂い」「芳しい香り」「芳しいとは言えない」などが、「芳しい」を使った一般的な言い回しになります。
「芳しい」の使い方
「新築の家の芳しい木の香りが好きです」「バラの花の芳しい香りが好きだ」などの文中で使われている「芳しい」は、「いい香りがすること」の意味で使われています。
一方、「最近息子の成績が芳しくない」「新商品の売り上げが芳しくないです」などの文中で使われている「芳しい」は、「立派なものと認められること」の意味で使われています。
「芳しい」は二つの意味を持つ言葉ですが、どちらの意味でも使われている言葉です。
いい香りがすることの意味は、木の香やバラの花のようなかなり強烈ないい香りに使うことが多く、プラスのイメージを伴っています。
立派なものと認められることの意味は、「芳しくない」のような形で、打ち消しの語を伴って否定的な意味で使うのが一般的です。
「芳しい」の類語
「芳しい」の類語・類義語としては、心地よくうっとりとした気持ちにさせることを意味する「甘美」、ほのかに香ることを意味する「ほのめく」などがあります。
「香ばしい」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、いい香りがすることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「香ばしい」はプラスのイメージで使われている言葉です。
「芳しい」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、いい香りがすることを表現したい時などが挙げられます。その他にも、立派なものと認められることを表現したい時にも使います。
例文1と例文2の「芳しい」はいい香りがすること、例文3から例文5の「芳しい」は立派なものと認められることの意味で使っています。
「香ばしい」と「芳しい」はどちらもいい匂いのことを表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、食べ物のこんがり焼けたいい匂いに使うことが多いのが「香ばしい」、木の香やバラの花のようなかなり強烈ないい香りに使うことが多いのが「芳しい」と覚えておきましょう。