似た意味を持つ「一生涯」(読み方:いっしょうがい)と「生涯」(読み方:しょうがい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「一生涯」と「生涯」という言葉は、どちらも「生きている間」を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
一生涯と生涯の違い
一生涯と生涯の意味の違い
一生涯と生涯の違いを分かりやすく言うと、一生涯とは生きている間のみを意味し、生涯とは生きている間だけでなく一生のうちのある時期も意味するという違いです。
一生涯と生涯の使い方の違い
一つ目の一生涯を使った分かりやすい例としては、「一生涯にわたって医療保障が受けられる商品です」「一生涯保険料が上がらない医療保険を勧められた」「一生涯にかかる費用を徹底的に節約したい」「女性が一生涯活躍できる時代ではなかった」などがあります。
二つ目の生涯を使った分かりやすい例としては、「サラリーマンの生涯年収の平均はどれぐらいですか」「2021年の生涯未婚率は過去最高を記録した」「娯楽や趣味は生涯学習のきっかけになります」「終戦となり祖父は軍人としての生涯の幕を閉じた」などがあります。
一生涯と生涯の使い分け方
一生涯と生涯という言葉は、「生まれてから死ぬまでの間、生きている間、一生」という共通する意味を持っています。したがって、上記の例文にある「一生涯」は「生涯」に置き換えることが出来ます。
さらに生涯という言葉には、「一生のうちのある時期」の意味も持っています。この意味は一生涯という言葉には無いので、上記の例文にある「軍人としての生涯」は一生涯に置き換えることが出来ません。この点が、一生涯と生涯という言葉の明確な違いになります。
また、「生きている間」という共通する意味においては、一生涯は生涯という言葉の強調表現になります。「生きている間」の意味をより強く表したい時には、生涯よりも一生涯を用いると良いでしょう。
一生涯と生涯の英語表記の違い
一生涯も生涯も英語にすると「life」「lifetime」「whole of life」となり、例えば上記の「一生涯にわたって」を英語にすると「for a lifetime」となります。
一生涯の意味
一生涯とは
一生涯とは、生きている間じゅう、一生、終生を意味しています。
表現方法は「一生涯にわたって」「一生涯のパートナー」「一生涯を通して」
「一生涯にわたって」「一生涯のパートナー」「一生涯を通して」などが、一生涯を使った一般的な言い回しです。
一生涯の使い方
一生涯を使った分かりやすい例としては、「あなたは一生涯の友達と言える人はいますか」「祖母は一生涯にわたって家族に尽くしてきました」「保険の一生涯保障とは何ですか」「一生涯にわたり日本の英語教育に貢献しました」などがあります。
その他にも、「一生涯保険料が上がらない死亡保険に入っています」「夫と出会った頃は一生涯のパートナーになると想像できなかった」「あなたは一生涯お金の使い方で苦労するでしょう」「一生涯にわたる学びの重要性を説く」などがあります。
一生涯とは、生まれてから死ぬまでの間のことです。「生涯」とほぼ同じ意味を持ちますが、ある一つのことに集中するさまを意味する「一」を付け加えることにより、「生涯」を強調した言い方になります。そのため、一生涯は、生涯をより強く主張したい時に使われています。
「一生涯保障」の意味
上記の例文にある「一生涯保障」とは、終身保険や医療保険の特徴を表すキーワードになっています。終身保険の一生涯保障とは、ある条件の保険料を払い込むことにより、死亡もしくは高度障害状態になったときに保険金が一生涯にわたって支払われるものです。
一生涯の対義語
一生涯の対義語・反対語としては、これから先残っている命を意味する「余命」、ある時まで送ってきた生涯を意味する「半生」などがあります。
一生涯の類語
一生涯の類語・類義語としては、生まれてから死ぬまでを意味する「一代」、一生や一代を意味する「一世」、生まれてから死ぬまでを意味する「一期」、この世に生きている間を意味する「今生」、生命の存続する期間を意味する「寿命」などがあります。
生涯の意味
生涯とは
生涯とは、この世に生きている間、一生の間、終生を意味しています。
その他にも、「一生のうち、ある事に関係した期間」「いのち、生命」の意味も持っています。
表現方法は「生涯にわたり」「生涯にわたって」「生涯学習」
「生涯にわたり」「生涯にわたって」「生涯学習」などが、生涯を使った一般的な言い回しです。
生涯の使い方
「学歴で生涯年収はどのぐらい変わるのだろうか」「生涯スポーツ社会の実現に向けた環境づくりが必要です」「母は生涯学習センターで英語を学んでいる」「職種によって生涯賃金は違います」などの文中で使われている生涯は、「この世に生きている間」の意味で使われています。
一方、「教師としての生涯を無事に終えました」「生涯未婚率は上昇傾向にあります」の文中で使われている生涯は「一生のうち、ある事に関係した期間」の意味で、「研究に生涯を懸ける」「生涯を縮めるような努力があった」の文中で使われている生涯は、「いのち、生命」の意味で使われています。
生涯とは、複数の意味を持ちますが、ほとんどの場合は「この世に生きている間、ひとつの生命の生まれてから死ぬまでの間」の意味で用いられています。また、「海外で生涯忘れられない日々を過ごした」のように、副詞的にも用いられる言葉です。
「生涯未婚率」の意味
上記の例文にある「生涯未婚率」とは、50歳時点で一度も結婚したことがない人の割合を示す数値です。45~49歳と50~54歳の未婚率の平均値から算出します。50歳で未婚の人は将来的にも結婚する可能性が低いと考えられることから、生涯を通して未婚である人の割合を示す統計指標となっています。
「生涯教育」の意味
生涯を用いた日本語には「生涯教育」があります。生涯教育とは、生涯にわたって学習や教育の機会が備えられるべきだとする考え方であり、ユネスコの成人教育長を務めたフランスの教育思想家であるポール・ラングランが生涯学習の考え方の原点を示しました。
生涯の対義語
生涯の対義語・反対語としては、命が絶えることを意味する「絶命」、死ぬことを婉曲にいう語である「他界」、永遠の眠りにつくことを意味する「永眠」などがあります。
生涯の類語
生涯の類語・類義語としては、人がこの世に生きている間を意味する「人生」、一生を終わるまでの期間を意味する「畢生」(読み方:ひっせい)、命を終えるまでの間を意味する「終身」、死ぬまでの間を意味する「終年」などがあります。
一生涯の例文
この言葉がよく使われる場面としては、生まれてから死ぬまで、生きている間を表現したい時などが挙げられます。
「一生涯」という言葉は、上記の例文にあるように、「生涯」を強調して表したい時に使われています。
生涯の例文
この言葉がよく使われる場面としては、この世に生きている間、一生のうちのある時期、生命を表現したい時などが挙げられます。
例文1の「生涯賃金」と例文2の「生涯年収」は、労働者が一生のうちに得ることができる賃金総額のことです。これに対して、人が生涯のあいだに支払うお金の総額を「生涯支出」と言います。
一生涯と生涯という言葉は、どちらも「生きている間じゅう」を意味します。さらに「生涯」には、「一生のうち、ある事に関係した期間」「生命」の意味もあることを覚えておきましょう。