【根回し】と【手回し】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「根回し」(読み方:ねまわし)と「手回し」(読み方:てまわし)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「根回し」と「手回し」という言葉は、どちらも物事を円滑に進めるための事前準備を意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。



根回しと手回しの違い

根回しと手回しの違いを分かりやすく言うと、根回しとは交渉を円滑に進めるための関係者との事前交渉、手回しとは道具などの必要なものの事前準備を意味しているという違いです。

一つ目の「根回し」は「関係者との事前の合意形成」という意味の言葉です。会議や交渉、商談などの場では何らかの決定がされますが、それに先立ち相手方の関係者を説得して交渉を円滑に進め、有利な決定を引き出そうとすることが「根回し」と呼ばれています。

根回しという言葉は園芸用語から来ています。植え替えた後に根がしっかりと土に張るように、植え替えの1,2年前に余分な根を切除する処理です。それが次第に事前交渉をするという意味で使われるようになり、今日一般的な手回しの意味になりました。

二つ目の「手回し」は「必要なものを事前に用意、手配すること」を意味する言葉です。手回しはパーティーなどの準備の時などに使われる傾向がある言葉です。根回しが話し合いであるのに対して、手回しは物や人を準備することです。

「今回は幹事の手回しが良く、パーティーは大成功だった」や「帰りのタクシーを呼んでいるとは手回しが良い」などのように用いられます。

また手回しは「手で回す」という単純な意味で使われることもあります。例えば「手回し充電式」のラジオなどには「手回しハンドル」が付いています。

根回しの意味

根回しとは、会議や交渉に先立って関係者と話し合い、同意をとりつけておくことを意味しています。

根回しは一種の工作活動と考えられ、否定的に捉えられることも少なくありません。根回しは合意形成を円滑に進めることが出来るというメリットを持つ反面、プロセスが不透明になり、賄賂などの温床になるというデメリットも併せ持ちます。

根回しは元々は園芸用語で、植え替え作業の一つでした。根が大きく広がっている植物は植え替えをすると根が上手く土に張りません。そこで植え替え作業の1-2年ほど前に、根を中心を残して切り、土になじむ細い根の発生を促す作業をします。これが根回しです。

園芸用語の根回しにも、円滑に物事を進めるために事前に工作するという意味合いがあり、この意味合いから現在一般的に使われる根回しに転用されることになりました。

根回しの類語・類義語としては、事前に準備することを意味する「下工作」、事前に相談することを意味する「下相談」などがあります。ここでの下の字は事前という意味です。「下調べ」や「下ごしらえ」などに含まれる下の字も事前という意味を持っています。

また政治的な物事の根回しとして、「ロビー活動」というものがあります。これは企業などが利益を得るために議員や官僚などに働きかけることを指す言葉で、アメリカのものが有名ですが、近年は日本でも同様の活動が活発化していると指摘されています。

手回しの意味

手回しとは、必要なものの事前準備を意味しています。物を揃えること、人を集めること、場所を確保することなど、手回しという言葉は、事前準備であれば広く使うことが出来ます。

手回しの手の字は身体の手ではありません。例えば「手際」(読み方:てぎわ)などの言葉に見られるように、手という字は「物事を処理する能力」という意味を持つことがあります。手回しの手もこの意味で使われています。

手回しの回すも同様に「物事を処理する」という意味で使われています。例えば「仕事を回す」という表現を思い出してみて下さい。手回しは能力を表現する言葉なので、良いか悪いかが評価されるものです。

以上のような意味とは別に、手回しという言葉は「手で回す」という単純な意味で使われることもあります。例えば「手回しハンドル」や「手回し式充電器」などがあります。

また古い用法としては「便利」や「お金のやりくりをする」という意味もありますが、これは現代では使われない意味なので、特別な必要がなければ覚える必要はありません。

手回しの類語・類義語としては、必要な物を揃えることを意味する「用意」「支度」、人に役割を割り振って準備することを意味する「手配り」、物事を行う手順やその準備を意味する「段取り」などがあります。

手回しの手の字を使った別の言葉としては、物事を行う順序を意味する「手順」、何かをする時の都合の良し悪しを意味する「勝手」、その場面で行うべきではないことを意味する「悪手」などがあります。

これらの言葉の手の字も、身体の手ではなく物事を行う能力を表現していることに注意するようにしてみて下さい。

根回しの例文

1.その計画自体には賛成だけど、実現するためにしないといけない根回しが実にめんどくさい。
2.君みたいな根回しが上手な人は羨ましいよ。
3.良い言い方が悪かったのか、来週の会議のための根回しが上手く行かなかった。
4.根回しの語源は園芸の移植作業の一つだ。
5.政治では根回しは悪い意味で捉えられることが多い。

この言葉がよく使われる場面としては、会議や交渉に先立って同意を取り付けておくことを表現したい時などが挙げられます。例文4にあるように、根回しの語源は園芸用語です。それが転用され、事前に下交渉をして合意形成をするという意味を表すようになりました。

根回しは会議や交渉、商談などで円滑に同意を取り付けるためには必要なことですが、非公式のものであるため、プロセスに透明性がなくなるというデメリットがあります。そのため根回しは、透明性が重視される政治などでは否定的に使われることも多い言葉です。

手回しの例文

1.このグループはリーダーが手回しよく情報を伝達している。
2.飲み会の幹事の手回しが良く、お酒のおいしい居酒屋で楽しく過ごすことが出来た。
3.手回しが上手くいかなかったので、いまいち盛り上がりに欠けた。
4.手回しオルゴールを見ることがめっきり減ったと感じる。
5.災害発生に備えて手回しラジオを用意しておくと良いですよ。

この言葉がよく使われる場面としては、事前準備を表現したい時などが挙げられます。物を揃えること、人を手配すること、会場を用意することなど、事前準備には様々なものがありますが、そのどれもが手回しという言葉で表現することが出来ます。

手回しの手という字は身体の部分を表現しているのではなく、「物事を処理する能力」という意味です。「お手前拝見」の場合の手もそれと同じ意味です。また「手腕」や「腕前」のように、腕という字も処理能力の意味で使われることがあります。

手回しと間違えやすい言葉としては「手配り」があります。手配りは「準備をするに際して人に仕事を割り振る」という意味の言葉です。どちらの言葉も準備を意味していますが、意味は大きく異なりますので、しっかり覚えておいて下さい。

なお例文4や5のように、「手で回す」という単純な意味での「手回し」もあります。

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