【山】と【岳】と【峰】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「山」(読み方:やま)と「岳」(読み方:たけ)と「峰」(読み方:みね)の違いと使い方を分かりやすく解説しているページです。

どの言葉を使えば日本語として正しいのか、このページの使い方を参考にしてみて下さい。

「山」と「岳」と「峰」という言葉は、どれも周囲の土地よりも盛り上がった土地のことを意味するという共通点がありますが、本来の意味は少し違います。

山と岳と峰の違い

山と岳と峰の違いを分かりやすく言うと、山とは、「周囲の土地よりも高く盛り上がった場所」を意味して、岳とは、その中でも「ごつごつとした険しい山」を意味する傾向があり、峰とは、「山頂のみ」を意味しているという違いです。

どれも地形に関する言葉です。山を基準にイメージするのが一番分かりやすく、峰というのは、山頂のことで、岳というのは、「山岳」(読み方:さんがく)という表現があるように、山と区別しない場合が多いですが、区別する場合には、ごつごつとした山のことを意味します。

この説明から分かるように、山や岳に地形学の上で厳密な定義があるわけではありません。したがって、山と岳の間に厳密な区別はありません。

ただし、国語辞典で「岳」という言葉を引くと、「ごつごつとして険しい」山というような説明を施しているものがあります。そして実際に、「岳」と名付けられているものの写真を見てみると、岩肌がむき出しになっていたり、隆線のごつごつしたものが多いです。

しかし、この特徴はあくまで傾向的なものであり、「はげ山」という言葉もあるように岩肌がむき出しになっていても「山」と言われるものはありますし、滑らかな隆線を持っていても「岳」と呼ばれているものもあります。

ちなみに、岳は嶽と常用外で表記されることもあり、「富士山」は別名「富岳/富嶽」(読み方:ふがく)とも言います。葛飾北斎の連作浮世絵風景画「富嶽三十六景」や太宰治の小説「富嶽百景」の富嶽とは、富士山のことです。

山の意味

山とは、陸地の中で、表面が周囲よりも高く盛り上がった場所を意味しています。

「標高何メートル以上が山」というような定義はありません。ただし、地政学上、「丘陵」(読み方:きゅうりょう)や「台地」よりも相対的に起伏の大きいものであり、また平地と比べると傾斜していることが特徴とされています。

それゆえまた、山と岳の間に定義上の境界線はありません。富士山は、もはや古い呼称になりつつありますが、「富岳/富嶽」という名前も持っています。

地形の意味から派生して比喩的な使い方として、高く積み上げた物やその状態を「山」と言います。例えば「洗濯物の山」「書籍の山」。

また、単に密集していることを意味して「観光客の山」「課題の山」という事もあります。

あるいは、「ネジ山」や「山高帽」というように、物の突出した部分の意味でも「山」という言葉が使われます。

山に関連する言葉としては、周囲を山々に囲まれた、低くなった平地を意味する「盆地」、山と山の合間のところを意味する「山間」、周囲よりも低く下がった土地のことを意味する「谷」、上り下りの境目のことを意味する「峠」などがあります。

岳の意味

岳とは、山のなかで、ごつごつして険しいものを意味しています。

山と岳は、結論を言ってしまえばどちらも「山岳」(読み方:さんがく)と一括りにするしかありません。個別の命名については、その土地の歴史的、慣習的なものによって決まっています。地政学上の定義も、国土地理院による区別もありません。

ただし、岳とは「ごつごつと険しい」山と説明している国語辞書もあり、一応の目安にはなりますが、それでも、ごつごつと険しく見えるのに「山」、なだらかな隆線をしていても「岳」と呼ばれるものもあり、必ずしも当てにはなりません。

岳に関係する言葉としては、山岳のふもとのことを意味する「岳麓」(読み方:がくろく)がありますが、「山麓:(読み方:さんろく)もあります。

岳の字を使った言葉としては、妻の父の敬称である「岳翁」(読み方:がくおう)「岳父」(読み方:がくふ)「岳丈」(読み方:がくじょう)などがあります。

峰の意味

峰とは、山頂を意味しています。峰は「峯」や「嶺」、「岑」などと書かれることもありますが、常用漢字なのは「峰」だけです。

山岳において「峰」とは最も高い地点である「頂」(読み方:いただき)のことを意味します。特に、連山ないし山脈の一番高いところは「最高峰」(読み方:さいこうほう)言われます。

また、「最高峰」という言葉は、あるジャンルの中で一番優れているものを意味する言葉としても使われます。例えば、「英文学の最高峰はシェイクスピアだ」と考える人が今も多くいることを想像してみてください。

また、日本刀や包丁などの刃物の「背」の部分(例えば、包丁だと骨を砕くために逆さに持って打ち付ける部分)のことを、「峰」や「棟」(読み方:むね)とも呼びます。時代劇で侍が言う「みねうち」とは、「峰打ち」のことです。

峰の字を使った別の言葉としては、現在の南アフリカ共和国に位置し、かつてはバスコ・ダ・ガマ以降、インド航路の経由地となった、「喜望峰」などがあります。これは山の「峰」ではなく、海に面する「岬」ですが、このような名称が定着しています。

山の例文と使い方

1.昔話の「桃太郎」では、冒頭、おじいさんは山へ柴刈りに行っている。
2.今日までに終えないといけない仕事の山を越えた途端、急に気力が減退して、結局残業してしまった。
3.二日ぶりに家に帰ったら、家族が家の中をゴミの山にしていた。

この言葉がよく使われる場面としては、地理上の山を表現したい時や、たくさん積み上げられたものを表現したい時などが挙げられます。

地理上の山は固有名として定着しているので、例文2や例文3の、「積み上げられたたくさんの物」を表現する時の方が、一般的な使用法だと考えられます。「積み上げられたたくさんの物」の意味では、山しか使われず、岳は使えません。

岳の例文と使い方

1.山岳信仰について調べると、修験道に行きあたらずには済まない。
2.叔父が山岳救助隊で働いていた時の経験を聞いた。
3.登山に際して、もしもの時に備えて、山岳保険に加入する事にした。

この言葉がよく使われる場面としては、「山岳」という熟語で山を表現したい時などが挙げられます。もちろん、「山」自体も一般名詞なので、任意のものを指し示すことが出来ますが、「山岳」と表記することでよりフォーマルな表現になります。

今日では「岳」(読み方:たけ)と個別で使うことは通常まずない言葉ですので、「山」や「山岳」を使う方が好ましいです。

峰の例文と使い方

1.日本刀に馴染みのない現代では誤解されるけれど、「峰打ち」は正確に言うと「急所を外した」という意味ではないよ。
2.峰と峰を走る稜線の美しさが際立つ。
3.日本車の品質は世界最高峰だと言われている。

この言葉がよく使われる場面としては、山の一番高いところを表現したい時や、「最高峰」という表現で一番優れているものを表現したい時などが挙げられます。

「最高峰」というのは、あるジャンルの中で最も優れていることを意味する言葉です。例文3の「日本車の品質は最高峰」というのは、車というジャンルの中で一番という意味であって、飛行機や船舶も含めて一番と言っているわけではありません。