似た意味を持つ「経歴」(読み方:けいれき)と「履歴」(読み方:りれき)と「来歴」(読み方:らいれき)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「経歴」と「履歴」と「来歴」という言葉は、現在に至るまでの事の流れという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
経歴と履歴と来歴の違い
経歴と履歴と来歴の意味の違い
経歴と履歴と来歴の違いを分かりやすく言うと、経歴は過去の経験を表現する時に使い、履歴は過去の記録を表現する時に使い、来歴は生まれてから現在までを表現する時に使うという違いです。
経歴と履歴と来歴の使い方の違い
経歴という言葉は、「容疑者の経歴から洗う必要がある」「家族の経歴など関係なしにその子を判断したい」などの使い方で、現在までに経験してきた身分や地位、学業などの事柄を意味します。
履歴という言葉は、「転職活動の一環で履歴書を書く必要がある」「データ通信の履歴を見てその通信量に唖然とする」などの使い方で、その人が経てきた学業や職業などの事柄や、データ通信などに関する記録を意味します。
来歴という言葉は、「偉人の来歴を知るには本を読むのが一番だ」「その店の来歴を語る時、100年前の話にまで遡る」などの使い方で、物事の現在に至るまでの経過状態を意味します。
経歴と履歴と来歴の使い分け方
経歴と履歴はどちらも、過去に経験した事柄を意味する言葉ではありますが、前者は学業や職業に関することに加えてそれに付随する経験も意味しますが、後者は学業や職業に関することのみを意味します。そのため、後者は前者に含まれています。
また、履歴は、データ通信などの記録など機械的に残されたものも意味しますが、経歴にはこの意味はありません。
一方の来歴という言葉も、その時までの経過を指す言葉ではありますが、生まれてから現在までの動きを表すため、経歴や履歴よりもその人物や物事の詳しい情報であると言えます。
これが、経歴、履歴、来歴の明確な違いです。
経歴の意味
経歴とは
経歴とは、現在までに経験してきた身分や地位、学業などの事柄を意味しています。
表現方法は「経歴を活かす」「経歴がすごい人」「経歴に傷がつく」
「経歴を活かす」「経歴がすごい人」「経歴に傷がつく」などが、経歴を使った一般的な言い回しです。
「職務経歴書」の意味
経歴を使った言葉として、「職務経歴書」があります。これは、過去経験してきた仕事内容や実績、それを通して培った知識や技術などを具体的に伝えるための書類で、自身をアピールするためのものです。
履歴書と似ていますが、学歴や職歴を並べて記述する履歴書とは異なり、職務経歴書はその職歴を経てどんなことを具体的に行ってきたのかを示すため、自分に何ができるのかを伝えることができます。
経歴の対義語
経歴の対義語・反対語としては、今後予定する行程表を意味する「ロードマップ」、社会の動きや人生の行く末などの見通しを意味する「展望」があります。
経歴の類語
経歴の類語・類義語としては、学業に関する経歴を意味する「学歴」、職業や技能上の経験を意味する「キャリア」、物事を取り巻く事情や事件などが起きた原因を意味する「バックグラウンド」などがあります。
履歴の意味
履歴とは
履歴とは、その人が経てきた学業や職業などの事柄を意味しています。
表現方法は「履歴を見る」「履歴が残らない」「履歴を消す」
「履歴を見る」「履歴が残らない」「履歴を消す」などが、履歴を使った一般的な言い回しです。
「履歴現象」の意味
履歴を使った言葉として、「履歴現象」があります。これは現在の状態が過去の出来事に引きずられる現象を指す言葉で、履歴効果やヒステリシスとも呼ばれています。元は物理化学で使われていましたが、医療用語としても使われるようになりました。
その他に経済用語としても使われており、金融危機などの経済的な衝撃が与えた影響はしばらく残り続けることで、危機が解消されたら予想されていた国内総生産へと戻るはずが、簡単には回復せずに様々な問題が発生する現象を履歴現象と言います。
また、履歴という言葉は、過去の出来事だけでなく、機械などの過去の記録を意味する言葉でもあるため「通信履歴」や「発信履歴」などの使い方もされています。
履歴の対義語
履歴の対義語・反対語としては、これからやって来るだろう時間を意味する「将来」があります。
履歴の類語
履歴の類語・類義語としては、今までの経歴を意味する「前歴」、その時までに就いてきた職業に関する経歴を意味する「職歴」、おおまかな経歴を意味する「略歴」、物事の起こりや理由を意味する「因縁」などがあります。
来歴の意味
来歴とは
来歴とは、物事の現在に至るまでの経過状態を意味しています。
「故事来歴」の意味
来歴を使った言葉として、「故事来歴」があります。これは、「古事来歴」と表記されることもあり、昔から伝えられてきた物事の由来や歴史を意味する四字熟語で、「来歴故事」ともいいます。
表現方法は「来歴をたどる」「来歴を探る」「来歴は不明」
来歴を使って、「絵画の来歴をたどる」「偉人の来歴を探るのは楽しい」「その本の来歴は不明である」「由緒来歴は一つの情報を得ただけで理解できるものではない」などの表現をすることができます。
相手の生まれを聞くようなフランクさはなく、学術的な言い方となるため、日常生活における会話で使われることはあまりありません。
来歴の対義語
来歴の対義語・反対語としては、現在のあとに来る時を意味する「未来」があります。
来歴の類語
来歴の類語・類義語としては、今に至るまでの経緯を意味する「由緒」、生まれ育った境遇を意味する「素性」、事の起こりを意味する「由縁」、物事の移り変わりを意味する「沿革」などがあります。
経歴の例文
この言葉がよく使われる場面としては、現在までに経験してきた身分や地位、学業などの事柄を意味する時などが挙げられます。
どの例文の経歴も、学業や職業に関するだけでなく、その人がその経験で得た技術なども含むため、履歴という言葉に置き換えて使うことはできません。
履歴の例文
この言葉がよく使われる場面としては、その人が経てきた学業や職業などの事柄を意味する時などが挙げられます。
どの例文の履歴も、過去の記録を指す言葉であるため、経歴や来歴という言葉に置き換えて使うことはできません。
例文1の「履歴書」は「経歴書」という言葉にすると、履歴書よりも技術など細かな情報が記載されたものとなります。
来歴の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事の現在に至るまでの経過状態を意味する時などが挙げられます。
どの例文の来歴も、その人や物がどのような時間を過ごしてきたのかを意味するため、学業や職業などを指す経歴や履歴といった言葉に置き換えて使うことができません。
経歴と履歴と来歴どれを使うか迷った場合は、過去の経験を表す場合は「経歴」を、過去の記録を表す場合は「履歴」を、生まれてから現在までを表す場合は「来歴」を使うと覚えておけば間違いありません。