【偶然】と【奇遇】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「偶然」(読み方:ぐうぜん)と「奇遇」(読み方:きぐう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「偶然」と「奇遇」という言葉は、どちらも思いがけなく出会うことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




偶然と奇遇の違い

偶然と奇遇の意味の違い

偶然と奇遇の違いを分かりやすく言うと、偶然とは人だけではなく様々な事象に使えて、奇遇とは人との出会いのみに使うという違いです。

偶然と奇遇の使い方の違い

一つ目の偶然を使った分かりやすい例としては、「偶然良い人に出会えた」「偶然が重なり事故が起きてしまった」「偶然街ですれ違っても気付かない」「運命は偶然よりも必然である」「偶然が重なると運命を感じる」などがあります。

二つ目の奇遇を使った分かりやすい例としては、「奇遇な出会いに運命を感じた」「奇遇にも生き別れた兄弟と出会うことが出来た」「こんな場所で出会うなんて奇遇ですね」などがあります。

偶然と奇遇の使い分け方

奇遇の部分を偶然に置き換えることが出来るのですが、偶然の部分を奇遇に置き換えることは出来ません。上記の例の「こんな場所で出会うなんて奇遇ですね」を偶然に置き換えると、「こんな場所で出会うなんて偶然ですね」となります。

偶然は思いがけなく出会うことの意味も持っているため、何も問題ありません。反対に、「偶然が重なり事故が起きてしまった」を奇遇に置き換えると「奇遇が重なり事故が起きてしまった」となるのですが、奇遇は人に対してしか使うことが出来ないため置き換えられません。

偶然と奇遇は日常生活とビジネスシーンどちらでも使えるのですが、奇遇は人に対して使えないため、一般的に使われるのは偶然になります。

偶然と奇遇の「偶」と「遇」は非常に似ているので間違えて使わないようにしてください。「遇然」という言葉はありません。また、「奇偶」と使ってしまうと奇数と偶数のこととなり、全く違う意味になってしまうので使い方には十分に注意してください。

偶然と奇遇の英語表記の違い

偶然を英語にすると「By chance」となり、例えば上記の「偶然良い人に出会えた」を英語にすると「I met a good person by chance」となります。一方、奇遇を英語にすると「Strange incident」となり、例えば上記の「奇遇だね」を英語にすると「It’s strange」となります。

偶然の意味

偶然とは

偶然とは、予期していないことが起こることを意味しています。

その他にも、思いがけないことが起こることの意味も持っています。

表現方法は「偶然にも」「偶然が重なる」「偶然が続く」

「偶然にも」「偶然が重なる」「偶然が続く」などが、偶然を使った一般的な言い回しです。

偶然の使い方

偶然を使った分かりやすい例としては、「偶然にも良いお店に出会えた」「偶然好きな人に出会った」「偶然な事故で怪我をさせてしまった」「偶然は準備のできていない人を助けないのである」などがあります。

その他にも、「偶然がこんなに重なるなんて珍しい」「街を歩いていたら芸能人と偶然遭遇した」「偶然の積み重ねが奇跡を起こす」「偶然ではないことが分かった」「偶然入ったお店に欲しいものが売っていた」などがあります。

偶然という言葉は、予期してないことが起こることや思いがけないことが起こることの意味を持っているため、人、物、出来事など様々な場面で使えます。また、日常生活とビジネスシーンどちらでも使うことが出来ます。とても広い範囲で使えるので、馴染みのある言葉なはずです。

偶然の対義語

偶然の対義語・反対語としては、必ずそうなることや他になりようにないことを意味する「必然」(読み方:ひつぜん)などがあります。

偶然の類語

偶然の類語・類義語としては、丁度その時を意味する「たまたま」、予期していなかったことを意味する「思い掛けず」、予想してないことを意味する「図らず」、偶然に物事が起こることを意味する「偶発」、そうなることを意識していないことを意味する「巧まずして」などがあります。

偶然の偶の字を使った別の言葉としては、偶然一致することを意味する「偶合」、詩や歌がたまたま出来ることを意味する「偶作」、偶然に的中することを意味する「偶中」、偶然に備えていることを意味する「偶有」などがあります。

奇遇の意味

奇遇とは

奇遇とは、思いがけなく出会うことをを意味しています。

表現方法は「奇遇にも」「奇遇だね」「奇遇ですね」

「奇遇にも」「奇遇だね」「奇遇ですね」などが、奇遇を使った一般的な言い回しです。

奇遇の使い方

奇遇を使った分かりやすい例としては、「夫とは奇遇な出会いだった」「奇遇にも私の尊敬する歌手と街中で出会った」「こんな田舎で会うなんて奇遇だね」「奇遇にも溺れている所を異国の父親に助けられた」などがあります。

奇遇という言葉は、主に人との出会いや人との意外な巡り合いという意味を表現したい時に使います。上記の例の「夫とは奇遇な出会いだった」は、夫との思いがけない出会いのことを意味しています。

また、奇遇という言葉は基本的に人に対してしか使いません。思いがけない出会いを意味しているので、日常生活でもビジネスシーンでも使うことはあまり多くないはずです。

奇遇の類語

奇遇の類語・類義語としては、思いがけなく物事が一致することを意味する「暗合」、一致することを意味する「合紋」(読み方:あいもん)、自然に回ってくる運命のことを意味する「巡り合せ」などがあります。

奇遇の遇の字を使った別の言葉としては、一回出会うことを意味する「一遇」、偶然出会うことを意味する「会遇」、不意に出会うことを意味する「遭遇」、縁があり巡り合うことを意味する「値遇」(読み方:ちぐ)などがあります。

偶然の例文

1.この世の中に偶然はない、あるのはただ必然だけです。
2.小学校の頃好きだった女の子と大人になってから再会するのは偶然というにはあまりにも確率が低く、運命としかいえないような出来事が起こった。
3.万年最下位争いをしているチームが今年優勝争いに加わるなんて、偶然を通り越した奇跡だ。
4.偶然会う人にはスピリチュアル的な意味があると言われています。
5.私達は偶然にも同じ電車に乗っていました、これは運命ではないだろうか。
6.その出来事は偶然にしては出来すぎているので、なにか裏があるのではないかな。
7.一見その出来事は偶然のように思われるだろうが、すべて計算しつくされていた結果なのだ。
8.馬券が立て続けに当たるのは、偶然が重なるにしても、まさかここまで続くとは逆に怖くなってしまうね。
9.万年平社員の男は、経営の神様といわれる老紳士との偶然の出会いによって人生が激変することになった。
10.その女優さんの芸能界入りのきっかけは、原宿を偶然通りかかったところで、事務所のスタッフに声をかけられたことからだそうだ。

この言葉がよく使われる場面としては、予期しないことが起こることを表現したい時などが挙げられます。

例文3のように、予期してない出来事が起こった場合偶然という言葉をよく使います。また、例文5のように、思いがけない出会いが起こった時にも使われます。とても幅広い範囲で使えるので、使いやすい言葉なはずです。

奇遇の例文

1.奇遇にも中学卒業以来会っていなかった片思いの女子に出会いました。
2.今の旦那と知り合ったのは、医者と患者という奇遇な出会いだった。
3.奇遇なことに休日に行った旅行先で尊敬する上司に出会った。
4.これだけ大勢の人がいるコンサート会場で出会うなんてとても奇遇ですね。
5.師匠との奇遇な出会いに、私は不思議と運命を感じています。
6.私は奇遇にも、父が勤務していた会社の部下が立ち上げた新会社に就職することになった。
7.奇遇なことに普段求人をしていないデザイン事務所が求人広告を出していたのですぐさま応募しました。
8.先輩は、奇遇を装って意中の女性とばったり出会おうと必死になっていました。
9.ドラマなんかで奇遇だね?と言う時は、まったく奇遇ではないのはもはやお約束である。
10.そうでしたか。それは奇遇ですね。実はうちの息子もサンフランシスコで働いているんですよ。

この言葉がよく使われる場面としては、人との思いがけない出会いを表現したい時などが挙げられます。

例文1から例文5のように人に対してにしか使わない言葉になります。奇遇という言葉は人に対してしか使わないため、思いがけない出会いに運命や縁を感じた時は奇遇を使うのがいいはずです。

また偶然と奇遇どちらを使う迷った時は、人との出会いだけではなく、予期しないことが起こることの意味を持つ偶然を使うと間違いありません。

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