【紺屋の白袴】と【医者の不養生】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「紺屋の白袴」(読み方:こうやのしろばかま)と「医者の不養生」(読み方:いしゃのふようじょう)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「紺屋の白袴」と「医者の不養生」という言葉は、どちらも他人のことばかりで自分には手が回らないことを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




「紺屋の白袴」と「医者の不養生」の違い

「紺屋の白袴」と「医者の不養生」の意味の違い

「紺屋の白袴」と「医者の不養生」の違いを分かりやすく言うと、「紺屋の白袴」とは他人のことに忙しくて自分自身のことには手が回らないこと、「医者の不養生」とは正しいとわかっていながら自分では実行しないことという違いです。

「紺屋の白袴」と「医者の不養生」の使い方の違い

一つ目の「紺屋の白袴」を使った分かりやすい例としては、「両親の家は綺麗に掃除したが自分の家は全く手付かずです。これは紺屋の白袴と言えるだろう」「彼は紺屋の白袴と言われるほど自分には無関心な人です」などがあります。

二つ目の「医者の不養生」を使った分かりやすい例としては、「警察官がスピード違反で切符を切られるなんて医者の不養生です」「かかりつけの医者が糖尿病になってしまったらしい、まさに医者の不養生です」などがあります。

「紺屋の白袴」と「医者の不養生」の使い分け方

「紺屋の白袴」と「医者の不養生」は似た意味を持つ言葉ですが、使い方に少し違いあるので注意が必要です。

「紺屋の白袴」は他人のことに忙しくて自分自身のことには手が回らないことを意味しているのに対して、「医者の不養生」は正しいとわかっていながら自分では実行しないことを意味しているというのが違いになります。

「紺屋の白袴」と「医者の不養生」の英語表記の違い

「紺屋の白袴」も「医者の不養生」も直訳した英語はありませんが、近いことわざとして「The tailor’s wife is the worst clad」や「The shoemaker’s children go barefoot」などがあります。

「紺屋の白袴」の意味

「紺屋の白袴」とは

「紺屋の白袴」とは、他人のことに忙しくて自分自身のことには手が回らないことを意味しています。

「紺屋の白袴」の読み方

「紺屋の白袴」の読み方は「こうやのしろばかま」ですが、「こんやのしろばかま」や「こうやのしらばかま」と読むことも可能と覚えておきましょう。

「紺屋の白袴」の使い方

「紺屋の白袴」を使った分かりやすい例としては、「相手のことばかり考えてしまい紺屋の白袴になってしまいました」「あなたは優しいから紺屋の白袴にならないように気を付けてください」などがあります。

「紺屋の白袴」の由来

「紺屋の白袴」の「紺屋」とは染め物を業とする者のことです。江戸時代の紺屋は繁盛しており、ひっきりなしに仕事の依頼がきていました。そのため、紺屋は仕事で忙しくて自分の袴を染める時間がなく、いつも白い袴を着ていました。

このことが転じて、他人のことに忙しくて自分自身のことには手が回らないことを「紺屋の白袴」と言うようになったのが由来です。また、紺屋を例えに使用したのは、紺と白という対になる色を用いることで、言葉の意味を強調するためと言われています。

「紺屋の白袴」の類語

「紺屋の白袴」の類語・類義語としては、他人のために技術を使うばかりで自分に手が回らないことを意味する「髪結い髪結わず」、易者は他人の身の上は占うがかえって自分の身の上は分からないことを意味する「易者身の上知らず」などがあります。

「医者の不養生」の意味

「医者の不養生」とは

「医者の不養生」とは、正しいとわかっていながら自分では実行しないことを意味しています。

「医者の不養生」の読み方

「医者の不養生」の読み方は「いしゃのふようじょう」です。誤って「いしゃのぶようじょう」などと読まないようにしましょう。

「医者の不養生」の使い方

「医者の不養生」を使った分かりやすい例としては、「かかりつけの医者がアルコール中毒で救急車に運ばれたらしい、まさに医者の不養生です」「アイドルが引退後太るのは医者の不養生に近いものがある」「栄養士なのに毎日コンビニ弁当だなんて医者の不養生です」などがあります。

「医者の不養生」の由来

「医者の不養生」の由来は、江戸時代の小説『風流志道軒伝』(読み方:ふうりゅうしどうけんでん)です。『風流志道軒伝』とは風来山人が執筆した、辻講釈師深井志道軒の伝記の形で世相を風刺したものになります。

この『風流志道軒伝』の中に、「医者の不養生、坊主の不信心」という一文があり、これが「医者の不養生」の語源になります。

また、「医者の不養生」は人に養生を勧める医者が、自分は健康に注意しないことが転じて、正しいとわかっていながら自分では実行しないことの意味で使われるようになりました。

「医者の不養生」は「医者」という言葉を使っていますが、あくまでも例えなので、医者以外の人に対しても使えると覚えておきましょう。

「医者の不養生」の類語

「医者の不養生」の類語・類義語としては、他人の世話ばかりしていて自分のことに無関心であったり手が回らなかったりすることを意味する「大工の掘っ建て」、仏道を修行しているはずの僧が仏を信じないことを意味する「坊主の不信心」などがあります。

「紺屋の白袴」の例文

1.自分の時間を削って友人に勉強を教えていたら、テスト点数が下がってしまった。まさに紺屋の白袴です。
2.紺屋の白袴というように、彼は一級建築士だが自宅はボロボロのアパートです。
3.他人にばかり気を使って、紺屋の白袴にならないことを願います。
4.彼女はとても優しい人なので、紺屋の白袴にならないか心配です。
5.私は美容師として働いているが、紺屋の白袴と言われないように自分の髪型には一番気を使っています。
6.漁師をしている弟は希少な魚や高級魚を釣り上げることがあるそうだが、そういう魚は市場へ出荷するため紺屋の白袴で自分で味わうことはあまりないそうだ。
7.友人はハウスクリーニング業を営んでいるのに自分の部屋が散らかり放題では、紺屋の白袴ではないのだからな。
8.相手のことばかり考えるのはほどほどにしないと紺屋の白袴になりかねないのだからね。ちゃんと自分のやるべきこともやってください。
9.母親はいつも世のため人のために生きてきて紺屋の白袴になりがちなので、今度の誕生日では旅行をプレゼントしようと考えています。
10.経済学者たちはいろいろな経済の知識を披露するも、紺屋の白袴な奴らばかりで本人は一切身銭を切ることはないのだ。

この言葉がよく使われる場面としては、他人のことに忙しくて自分自身のことには手が回らないことを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、「紺屋の白袴」は他人ばかりに時間を使って、自分のことは後回しにする人に対して使う言葉です。

「医者の不養生」の例文

1.私は栄養士の仕事をしているが、毎日疲れて帰宅するため夜ごはんはいつもコンビニ弁当です。今の状態はまさに医者の不養生だ。
2.彼は腕が良い外科医だが、酒癖が悪くアルコール中毒で運ばれることが多々あります。まさに医者の不養生と言えるだろう。
3.捜査一課の刑事が連続殺人事件の真犯人だったなんて、医者の不養生です。
4.セキュリティエンジニアが不注意で自分のパソコンをウイルスに感染させてしまったらしい。医者の不養生としか言いようがありません。
5.彼女は栄養管理士だが、いつもファーストフードばかり食べている。これが医者の不養生です。
6.残業しながら働き方改革を推進しましょうなどと役所のホームページを更新している自分は医者の不養生なのだろうな。
7.栄養士なのに毎日コンビニ弁当で済ましているのは、医者の不養生だと言われても仕方がないと思っています。
8.あの節約アドバイザーは人には節約を勧めているのに自分は無駄遣いをしているというのだからまさに医者の不養生だね。
9.マスコミは日々企業の不祥事を糾弾しているのに、自身の不祥事に対しては甘い。これは医者の不養生というべきか報道しない自由の行使というべきか。
10.教師が酔っぱらって駅員さんの胸ぐらをつかむなんて、医者の不養生を通り越して教育者失格ではないでしょうか。

この言葉がよく使われる場面としては、正しいとわかっていながら自分では実行しないことを表現したい時などが挙げられます。

上記の例文にあるように、「医者の不養生」は他人には立派なことを言っていても、自分の行動が伴っていない人に対して使う言葉です。

「紺屋の白袴」と「医者の不養生」はどちらも他人のことばかりで自分には手が回らないことを表します。

どちらの言葉を使うか迷った場合、他人のことに忙しくて自分自身のことには手が回らないことを表現したい時は「紺屋の白袴」を、正しいとわかっていながら自分では実行しないことを表現したい時は「医者の不養生」を使うと覚えておきましょう。

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