似た意味を持つ「千里の道も一歩から」(読み方:せんりのみちもいっぽから)と「ローマは一日にして成らず」(読み方:ろーまはいちにちにしてならず)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「千里の道も一歩から」と「ローマは一日にして成らず」という言葉は、どちらも目標を達成するには時間がかかることを意味しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
「千里の道も一歩から」と「ローマは一日にして成らず」の違い
「千里の道も一歩から」と「ローマは一日にして成らず」の意味の違い
「千里の道も一歩から」と「ローマは一日にして成らず」の違いを分かりやすく言うと、「千里の道も一歩から」とは小さな努力の積み重ねが成功に繋がるというニュアンスで使う、「ローマは一日にして成らず」とはただ単純に長い時間がかかるというニュアンスで使うという違いです。
「千里の道も一歩から」と「ローマは一日にして成らず」の使い方の違い
一つ目の「千里の道も一歩から」を使った分かりやすい例としては、「千里の道も一歩からの精神で資格の勉強を始めました」「千里の道も一歩からと言うようにコツコツ努力していればいつかは目標を達成できるはずです」などがあります。
二つ目の「ローマは一日にして成らず」を使った分かりやすい例としては、「ローマは一日にして成らずと言うが、完成するまでに本当に長かったです」「ローマは一日にして成らずの精神で今は地道に努力するつもりです」などがあります。
「千里の道も一歩から」と「ローマは一日にして成らず」の使い分け方
「千里の道も一歩から」と「ローマは一日にして成らず」はどちらも目標を達成するには時間がかかることを意味していることわざで、大きな違いはありません。
あえて違いを挙げるならば、「千里の道も一歩から」は時間がかかるというニュアンスだけではなく、小さな努力の積み重ねが成功に繋がるというニュアンスがあるのに対して、「ローマは一日にして成らず」はただ単純に長い時間がかかるというニュアンスで使うというのが違いになります。
「千里の道も一歩から」と「ローマは一日にして成らず」の英語表記の違い
「千里の道も一歩から」を英語にすると「A journey of a thousand miles begins with a single step」となります。一方、「ローマは一日にして成らず」を英語にすると「Rome was not built in a day」となります。
「千里の道も一歩から」の意味
「千里の道も一歩から」とは
「千里の道も一歩から」とは、どんな大事業も手近なところから始まることを意味しています。
「千里の道も一歩から」の使い方
「千里の道も一歩から」を使った分かりやすい例としては、「千里の道も一歩からと言うように、まずは始めてみることが大切です」「千里の道も一歩からの精神で、自分にできることを着実にこなすことにしました」などがあります。
「千里の道も一歩から」はどんな大事業も手近なところから始まることを意味することわざです。さらに、小さな努力の積み重ねが成功に繋がるというニュアンスも持っています。
また、「千里の道も一歩から」はビジネスシーンと日常生活どちらでも使える言葉ですが、目標達成に向けて気持ちを引き締めるための格言として、ビジネスシーンで使われることが多いです。
「千里の道も一歩から」の由来
「千里の道も一歩から」は中国の古典『老子』が由来です。『老子』に「千里之行 始於足下」という一文があり、書き下すと「千里の行も足下より始まる」となります。これが転じて、どんな大事業も手近なところから始まることを「千里の道も一歩から」と言うようになりました。
「千里の道も一歩から」の類語
「千里の道も一歩から」の類語・類義語としては、小さな努力でも根気よく続けてやれば最後には成功することを意味する「雨垂れ石を穿つ」(読み方:あまだれいしをうがつ)、大人物は遅れて頭角を現すということを意味する「大器晩成」などがあります。
「ローマは一日にして成らず」の意味
「ローマは一日にして成らず」とは
「ローマは一日にして成らず」とは、大事業は長い間の努力なしには完成されないことを意味しています。
「ローマは一日にして成らず」の使い方
「ローマは一日にして成らず」を使った分かりやすい例としては、「ローマは一日にして成らずと言うように、成功するまでには時間がかかるだろう」「ローマは一日して成らずの精神で、司法試験の勉強を始めました」などがあります。
「ローマは一日にして成らず」は大事業は長い間の努力なしには完成されないことを意味することわざで、ビジネスシーンにおいても使うことができます。
「ローマは一日にして成らず」の由来
「ローマは一日して成らず」はヨーロッパのことわざである「Rome was not built in a day」が由来です。ローマとはイタリアにある首都ローマではなく、ローマ帝国のことを指しています。
ローマ帝国とは西洋古代最大の帝国のことで、築くまでに約700年という年月がかかったと言われています。このことが転じて、大事業は長い間の努力なしには完成されないことを、「ローマは一日にして成らず」と言うようになりました。
また、「ローマは一日にして成らず」は小説『ドン・キホーテ』が語源と言われていましたが、実際は異なっています。
昔、スペイン語の原書を英語に訳す作業が行われていました。スペイン固有のことわざのがイギリス人にはなじみが薄いため、イギリス人に分かりやすいように訳されたのが「ローマは一日にして成らず」と言われています。
日本語訳に訳されたのはイギリス人に分かりやすいようにした英訳からなので、実際の『ドン・キホーテ』には「ローマは一日にして成らず」という言葉は使われていません。
現在、「ローマは一日にして成らず」の表現が文献上で確認できる古いものとしては、12世紀のイギリスやフランスで書かれたことわざ集、フランスの文学作品である『狐物語』と言われています。
「ローマは一日にして成らず」の類語
「ローマは一日にして成らず」の類語・類義語としては、大事業をするにはまず身近なことから始めることを意味する「隗より始めよ」(読み方:かいよりはじめよ)、弛まず挫けずに続けていくことが大切なことを意味する「継続は力なり」などがあります。
「千里の道も一歩から」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、どんな大事業も手近なところから始まることを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「千里の道も一歩から」は小さな努力の積み重ねが成功に繋がるというニュアンスで使われることが多いです。
「ローマは一日にして成らず」の例文
この言葉がよく使われる場面としては、大事業は長い間の努力なしには完成されないことを表現したい時などが挙げられます。
上記の例文にあるように、「ローマは一日にして成らず」は大きな目標を達成するには時間がかかることを表現したい時に使う言葉です。
「千里の道も一歩から」と「ローマは一日にして成らず」はどちらも目標を達成するには時間がかかることを表します。
どちらの言葉を使うか迷った場合、小さな努力の積み重ねが成功に繋がるというニュアンスで使うのが「千里の道の一歩から」、ただ単純に長い時間がかかるというニュアンスで使うのが「ローマは一日にして成らず」と覚えておきましょう。