似た意味を持つ「旧態依然」(読み方:きゅうたいいぜん)と「保守退嬰」(読み方:ほしゅたいえい)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どっちの言葉を使えば日本語として正しいのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「旧態依然」と「保守退嬰」という言葉は、どちらも「以前のままで進歩しない様子」を表しているという共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。
旧態依然と保守退嬰の違い
旧態依然と保守退嬰の意味の違い
旧態依然と保守退嬰の違いを分かりやすく言うと、旧態依然とは変化しない状態を表し、保守退嬰とは変化を好まない傾向を表わすという違いです。
旧態依然と保守退嬰の使い方の違い
一つ目の旧態依然を使った分かりやすい例としては、「旧態依然としたシステムを変えるべきです」「旧態依然の会社を成長企業に導く」「旧態依然とした体制を改革する」「旧態依然とした方法では通用しません」などがあります。
二つ目の保守退嬰を使った分かりやすい例としては、「保守退嬰な上司とは意見が合わない」「保守退嬰のままでは時代錯誤になってしまう」「あなたの保守退嬰的な考えは改めるべきです」「若いのに保守退嬰的なところがある人だ」などがあります。
旧態依然と保守退嬰の使い分け方
旧態依然と保守退嬰という言葉は、どちらも「昔のままで進歩しないさま」を表すマイナスイメージを伴う四字熟語です。二つの言葉は似たような表現をしますが、厳密な意味や使い方には違いがあります。
旧態依然とは、以前からの状態がまったく変わらないさま、昔のままであるさまを意味します。「旧態依然とした体制を改革する」「旧態依然とした方法では通用しません」のように、昔の状態のままであることを非難していう言葉です。
保守退嬰とは、以前からの物事に執着して、新しい物事を受け入れようとしないさまを意味します。積極的に新しいものを取り入れていこうとする意気込みがなく、新しいことを避けようとする傾向を表します。
つまり、旧態依然は昔のままで変化や進歩しない状態を表す言葉であり、保守退嬰は新しいものや変化を好まない傾向を表す言葉なのです。
旧態依然と保守退嬰の英語表記の違い
旧態依然を英語にすると「unchanged」「old-fashioned」となり、例えば上記の「旧態依然としたシステム」を英語にすると「old-fashioned system」となります。
一方、保守退嬰を英語にすると「conservative」「unenterprising」となり、例えば上記の「保守退嬰な上司」を英語にすると「conservative retired boss」となります。
旧態依然の意味
旧態依然とは
旧態依然とは、昔のままで少しも進歩や発展がないさまを意味しています。
旧態依然の読み方
旧態依然の読み方は「きゅうたいいぜん」です。誤って「きゅうたいぜん」と「い」を少なくして読まないようにしましょう。
表現方法は「旧態依然とした会社」「旧態依然の体制」「旧態依然のまま」
「旧態依然とした会社」「旧態依然の体制」「旧態依然のまま」などが、旧態依然を使った一般的な言い回しです。
旧態依然の使い方
旧態依然を使った分かりやすい例としては、「旧態依然の英語カリキュラムでは駄目です」「手紙の短文からも旧態依然な考えが伺える」「旧態依然とした時間の使い方ではいけません」「田舎の旧態依然とした生活ぶりに驚いた」などがあります。
その他にも、「年功序列型の旧態依然とした企業体質です」「旧態依然の人事制度を改定すべきです」「旧態依然としたアナログな業務スタイルを改革する」「旧態依然とした会社なので休みが取りづらい」などがあります。
旧態依然の「旧態」は昔からの状態やありさま、「依然」は事物の状態が長い間変わらないで同じであるさまを意味します。旧態依然とは、古くさいしきたりや状況が続き、進歩や発展が全く見られないさまを意味する四字熟語です。
旧態依然という言葉は、日常会話ではあまり使われず、主にビジネスシーンで使われています。古い体制や考えに対して、ネガティブな意味で用いられる言葉です。
「旧態以前」「旧態然」「旧態全」は誤り
旧態依然の誤った書き方には「旧態以前」「旧態然」「旧態全」などがあります。特に「旧態然」とは旧態依然の略語だと勘違いされることがありますが、これらは全て誤字になりますので注意しましょう。
旧態依然の対義語
旧態依然の対義語・反対語としては、物事が日々たえまなく速いスピードで進歩するさまを意味する「日進月歩」、日ごとに月ごとに進歩することを意味する「日就月将」、組織や習慣などを改めて新しくしようとするさまを意味する「革新的」などがあります。
旧態依然の類語
旧態依然の類語・類義語としては、長い期間ずっと同じ状態にあることを意味する「十年一日」、古いしきたりや方法などを固く守ることを意味する「旧套墨守」、考え方や行動などに保守の傾向があるさまを意味する「保守的」などがあります。
保守退嬰の意味
保守退嬰とは
保守退嬰とは、昔ながらの習慣に執着して、新しい物事を受け入れようとしないことを意味しています。
保守退嬰の使い方
保守退嬰を使った分かりやすい例としては、「年配者ほど保守退嬰になりがちです」「保守退嬰な祖父がスマホに興味を持ち始めた」「保守退嬰な人に英語圏での生活は難しいだろう」「保守退嬰の風潮がある時代だった」などがあります。
その他にも、「いつまでも保守退嬰のままでは時代に取り残されてしまいます」「保守退嬰な企業体質を改めるべきです」「転勤先は保守退嬰的な土地柄のようだ」「保守退嬰な同僚とは仕事がしづらい」などがあります。
保守退嬰とは、これまでの考えや習慣あるいは制度にとらわれて、新しいものを受け入れないことを意味します。保守退嬰の「保守」は旧来の風習や考え方などを守っていこうとすること、「退嬰」は新しいことに取り組もうとする意欲に欠けることを表します。
保守退嬰という言葉は、あくまで過去を踏襲し、悪いところを改めようとしないさまを表し、マイナスイメージを伴う四字熟語です。
保守退嬰の対義語
保守退嬰の対義語・反対語としては、時代の変化を知らずに古い方法や慣習などに固執することを意味する「刻舟求剣」、進歩しているさまや進歩の方向に沿うさまを意味する「進歩的」、形や姿を次々に変化させることを意味する「変態百出」などがあります。
保守退嬰の類語
保守退嬰の類語・類義語としては、既成の思想や制度を尊重し維持する社会的立場を意味する「保守主義」、頑なで視野が狭く柔軟性に欠けるさまを意味する「頑迷固陋」、しきたりや習慣などを改めようとせずに頑なに守ろうとすることを意味する「墨守成規」などがあります。
旧態依然の例文
この言葉がよく使われる場面としては、物事の状態や体制などが古いままで、少しも変化や進歩のない様子を表現したい時などが挙げられます。
旧態依然という言葉は、上記の例文にあるように、昔からのやり方や習慣を変えず、進歩のないことを非難する意味で使われることが多くあります。
保守退嬰の例文
この言葉がよく使われる場面としては、古い習慣に執着して、新しい物事を取り入れようとしないことを表現したい時などが挙げられます。
保守退嬰という言葉は、上記の例文にあるように、変化を好まず、今までのやり方や習慣を頑なに変えようしないことを批判する意味で使われることがほとんどです。
旧態依然と保守退嬰という言葉は、どちらも「昔のままで進歩しないさま」を表します。どちらの言葉を使うか迷った場合、進歩しない状態を表現したい時は「旧態依然」を、新しい物事を好まない傾向を表現したい時は「保守退嬰」を使うようにしましょう。