似た意味を持つ「確信犯」(読み方:かくしんはん)と「故意犯」(読み方:こいはん)と「愉快犯」(読み方:ゆかいはん)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。
どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。
「確信犯」と「故意犯」と「愉快犯」という言葉は、意味が大きく異なるものの混同して使われる傾向があります。
確信犯と故意犯と愉快犯の違い
確信犯と故意犯と愉快犯の意味の違い
確信犯と故意犯と愉快犯の違いを分かりやすく言うと、確信犯は正しいと信じた行為による犯罪を表現する時に使い、故意犯は罪の意識を持った行為による犯罪を表現する時に使い、愉快犯は自身の快感のための犯罪を表現する時に使うという違いです。
確信犯と故意犯と愉快犯の使い方の違い
確信犯という言葉は、「過去に起きた反乱なども確信犯と呼べるのだろうか」「確信犯的行為だとその救急隊員は罪に問われた」などの使い方で、自身の宗教や信念をもとに正しいと確信して行われる犯罪を意味します。
故意犯という言葉は、「計画的な犯行であることが調べで分かり故意犯として罪に問われた」「不確定的な故意犯も法律で裁かれる」などの使い方で、罪を犯すという意思をもった行為による犯罪を意味します。
愉快犯という言葉は、「彼の愉快犯のような考え方にゾッとした」「ピンポンダッシュのような愉快犯ならまだ可愛いものだ」などの使い方で、世間を騒がせて快感を得ることが目的となっている犯罪を意味します。
確信犯と故意犯と愉快犯の使い分け方
確信犯は、本来は宗教的、政治的な信念のもとで正しいと感じた犯罪行為を指す言葉ですが、現在は悪いことだと理解していながらその行為に踏み切ることを指す言葉として使われています。
そのため、故意犯と同じような意味を持つようになりましたが、故意犯が裁かれるような犯罪行為をした人に対して使うのに対して、確信犯は日常生活における小さな悪いことに対して使われるようになりました。
一方の愉快犯は、確信犯や故意犯とは異なり、自身の行為によって周囲が慌てふためく様を面白がるような人に対して使う言葉です。
これが、確信犯、故意犯、愉快犯の明確な違いです。
確信犯の意味
確信犯とは
確信犯とは、政治、思想、宗教などの信念に基づいて正しいと信じてなされる犯罪を意味しています。
確信犯は誤用で使われることが多い
本来は、犯罪行為やその行為を行った人を指す言葉として使われていましたが、それらはテロリズムなどと呼ばれることが増えたこともあり、犯罪には及ばないような悪さに対しても「確信犯」という言葉が使われるようになってきましたが、これは誤用です。
そのため、本来の確信犯は自分の犯罪を悪いことと思っていませんが、誤った使い方をされる確信犯は自身の行為を悪いと感じているという違いがあります。
また、確信犯は政治犯や思想犯に対して使われますが、法律で禁じられている治療行為を怪我を負っている人に施す行為や、移動に困っている人がいるからと無免許にも関わらず車を運転をすることなども確信犯に当たります。
確信犯が誤用じゃない未来が近い
しかし、2002年の「国語に関する世論調査」によれば、誤用とされる意味を答えた人が過半数を超え、本来の意味で確信犯という言葉を使うことが減っており、今後も現在使われている意味が誤用とは一概にも言えなくなるでしょう。
確信犯はビジネスシーンで目上の人には使わない方がいい
ただし、元来の意味は犯罪者を指すため、ビジネスシーンで無闇に使うのには適しておらず、特に目上の人には使わない方が好ましいと言えます。
確信犯の類語
確信犯の類語・類義語としては、国家体制に相反する思想に基づく犯罪を意味する「思想犯」、国の政治上の秩序を侵害する犯罪を意味する「国事犯」、国の政治的秩序を侵害する罪を意味する「政治犯」があります。
故意犯の意味
故意犯とは
故意犯とは、罪を犯す意思をもってした行為によって成立する犯罪を意味しています。
故意犯と確信犯の違い
今日では、悪いことだと理解していてその行為をすることを意味する言葉として「確信犯」が使われていますが、本来「故意犯」という言葉にこの意味が含まれています。
しかし、確信犯は日常生活において罪として裁かれるわけではないようなちょっとした悪いことに使うのに対して、故意犯は従来の意味通り犯罪行為に対して使われるという違いがあります。
故意犯には確定的故意と不確定的故意がある
故意犯の故意にも確定的故意と不確定的故意があり、犯罪的な結果が生じることは確定であるものの被害を受ける範囲が分からない場合、被害を受ける人がいるものの誰に及ぶかが分からない場合などが後者に当たります。
また、そもそも犯罪的結果が生じるかも分からないが起きても構わないと考えている場合も不確定的故意となり、故意犯の扱いとなります。
上記の観点から故意犯に該当しない場合は過失犯となり、罪が軽減されたり罪に問われなくなります。
故意犯の対義語
故意犯の対義語・反対語としては、行為者の不注意によって犯罪の発生を防止しなかった落ち度のある態度を指す「過失犯」があります。
愉快犯の意味
愉快犯とは
愉快犯とは、世間を騒がせて快感を得ることを目的とする犯罪を意味しています。
愉快犯の由来
この言葉は1977年に東京と大阪で発生した「青酸コーラ無差別殺人事件」がきっかけで生まれた言葉です。
犯人の正体や目的が不明なまま、マスコミなどが事件を大きく取り上げて騒ぐ様子を犯人が愉快に思っているという意味でこの言葉が使われるようになりました。
愉快犯は迷惑行為を行う人も指す
たとえ犯罪として裁かれるほどのことでなくとも、迷惑行為を起こす人も一般的には愉快犯と呼ばれます。
そのため、インターネットなどで行われた犯行予告がメディアで取り上げられたり、その犯行予告に対応するために避難勧告が出されたりなどの社会や予告を受けた被害者や被害団体の動きを見て楽しむような人も、愉快犯とされています。
決して、その犯罪行為や迷惑行為を行った者が愉快な人間である場合に使う言葉ではありません。
確信犯の例文
この言葉がよく使われる場面としては、政治、思想、宗教などの信念に基づいて正しいと信じてなされる犯罪や、その犯罪を犯した人を意味する時などが挙げられます。
ただし、今日では上記の意味ではあまり使われず、悪いことだと分かった上で行うことや、行った人を意味する言葉として使われていることがほとんどです。
故意犯の例文
この言葉がよく使われる場面としては、罪を犯す意思をもってした行為によって成立する犯罪や、その犯罪を犯した人を意味する時などが挙げられます。
例文3の「故意犯処罰の原則」とは、故意がある場合のみ犯罪と扱われる考え方で、不注意などで引き起こされた過失犯は特別な場合のみ犯罪として扱われます。
愉快犯の例文
この言葉がよく使われる場面としては、世間を騒がせて快感を得ることを目的とする犯罪や、その犯罪を犯した人を意味する時などが挙げられます。
愉快な人物による犯罪ではなく、犯行によって社会的な騒ぎになることを愉快に思う人やその行為を指す言葉です。
確信犯と故意犯と愉快犯どれを使うか迷った場合は、正しいと信じた行為による犯罪を表す時は「確信犯」を、罪の意識を持った行為による犯罪を表す時は「故意犯」を、自身の快感のための犯罪を表す時は「愉快犯」を使うと覚えておけば間違いありません。