【原理】と【原則】と【法則】の意味の違いと使い方の例文

言葉の使い方の例文

似た意味を持つ「原理」(読み方:げんり)と「原則」(読み方:げんそく)と「法則」(読み方:ほうそく)の違いを例文を使って分かりやすく解説しているページです。

どの言葉を使えば日本語として正しい言葉となるのか、迷った方はこのページの使い分け方を参考にしてみてください。

「原理」と「原則」と「法則」という言葉は、基本的な考え方という共通点があり、本来の意味は少し違いますが混同して使われる傾向があります。




原理と原則と法則の違い

原理と原則と法則の意味の違い

原理と原則と法則の違いを分かりやすく言うと、原理は根本的なものを表現する時に使い、原則は共通に適用される決まりを表現する時に使い、法則は守らなければならない決まりを表現する時に使うという違いです。

原理と原則と法則の使い方の違い

原理という言葉は、「原理原則に従った結果だ」「教育原理について学ぶ」などの使い方で、多くの物事を成り立たせる根本的な法則を意味します。

原則という言葉は、「恋愛における原則を友人に聞かせられた」「原則、17時までに下校しなければならない」などの使い方で、基本的な決まりを意味します。

法則という言葉は、「人々に知られていない法則だってある」「ビジネスにおいて成功する人たちの秘訣を教えてもらう」などの使い方で、一定の条件下で事物の間に成立する必然的関係を意味します。

原理と原則と法則の使い分け方

原則と法則はどちらも決められたルールを意味する言葉ですが、多くの場合共通で適用される基本的な決まりである原則とは違って、法則は守らなければならない決まりであるため、強制力が法則の方が強いと言えます。

また、法則はある現象とある現象の関係を指す言葉でもあります。上の例文は二つともこちらの意味で使われています。

一方、原理という言葉は、根本的根源的なものとして他のものを規定するものです。この原理に基づいて関係性などを表したものが法則になるため、原理と法則は相互的な関係はあるものの意味は違ってきます。

これらが、原理、原則、法則の明確な違いです。

原理の意味

原理とは

原理とは、事物や事象が依拠する根本法則を意味しています。

原理を使った言葉として、「原理主義」「競争原理」があります。

「原理主義」の意味

一つ目の「原理主義」とは、一般として、基本的な理念などを厳格に守ろうとする立場を言いますが、元はキリスト教の用語で、聖書に間違いはないことを主張する思想や運動を指し、転じて聖典や教えを忠実に解釈して実践しようとする思想や運動も指します。

今日では、一つの考え方や価値観だけを信じて、他の価値観を排他し、その価値観を持つ人を攻撃するような人たちを意味するマイナスイメージを持つ言葉として使われています。そのため、自分を原理主義者だと自称するような使い方はしません。

「競争原理」の意味

二つ目の「競争原理」とは、個人や集団が他者と競い合い、勝者が獲得できるとする考え方を指す言葉です。国家や政府などの規制なしに、誰もが平等に競争に参加できる自由競争を経済活動などの基本とする考え方で、資本主義の基本原理の一つでもあります。

原理の対義語

原理の対義語・反対語としては、原理や知識を実際の事柄に当てはめて用いることを意味する「応用」があります。

原理の類語

原理の類語・類義語としては、個々の事柄を法則的に説明できるように筋道を立てて組み立てられたものを意味する「理論」、根本や標準となる規則を意味する「本則」、要素がそれぞれ他と関係しあってまとまっているものを意味する「体系」などがあります。

原則の意味

原則とは

原則とは、共通に適用される基本的な決まりを意味しています。

表現方法は「原則として」「原則通り」「原則禁止」

「原則として」「原則通り」「原則禁止」などが、原則を使った一般的な言い回しです。

上記以外で原則を使った言葉として、「汚染者負担の原則」「非核三原則」があります。

「汚染者負担の原則」の意味

一つ目の「汚染者負担の原則」とは、公害などの原因となる環境汚染を防止するための費用は汚染者が払うべきであるという考えを指す言葉で、「PPP」とも言われています。

日本では1950年代に水俣病などによって「公害先進国」と呼ばれるほどで、公害被害の救済が遅いという厳しい糾弾もありました。

そのため、企業の汚染防止の費用負担だけではなく、汚染環境の修復のための費用や公害被害者の費用も汚染者が負担することとなり、公害健康被害補償法も制定されました。

「非核三原則」の意味

二つ目の「非核三原則」とは、核兵器を持たず、作らず、持ち込ませずという日本政府の基本方針を指す言葉です。1967年、当時の佐藤栄作首相は衆議院予算委員会でこの政策が政府のものであると述べました。

原則の対義語

原則の対義語・反対語としては、通例に当てはまらないことを意味する「例外」があります。

原則の類語

原則の類語・類義語としては、物事の正しい筋道を意味する「道理」、信者が信仰生活において守るべき規律を意味する「戒律」、法律の条文やおきてを意味する「法条」、変えることのできない規則や法則を意味する「鉄則」などがあります。

法則の意味

法則とは

法則とは、一定の条件下で事物の間に成立する必然的関係を意味しています。その他にも、守らなければならない決まりも意味します。

表現方法は「法則性」「法則を見つける」「法則に則る」

「法則性」「法則を見つける」「法則に則る」などが、法則を使った一般的な言い回しです。

上記以外の法則を使った言葉として、「ウェーバーの法則」「パレートの法則」があります。

「ウェーバーの法則」の意味

一つ目の「ウェーバーの法則」とは、刺激を与えた時にその違いを実感できる最小限の編かは、刺激の強さに比例するという関係性を指す用語です。

例えば、1kgのものを運ぶ際に1gや2g増えたところで感覚的な重さが変化したようには感じません。1kgのものであれば30g前後増えた場合には変化を感じることができると言われています。

ただし、2kgのものを運ぶ場合は30g程では重くなったと感じず、60g前後で変化したことに気が付きます。このように、変化に気が付くためには、元ある感覚よりもさらに大きな刺激を与える必要があることをウェーバーの法則では定義しています。

「パレートの法則」の意味

二つ目の「パレートの法則」とは、経済において全体の数値の大部分は、全体を構成するうちの一部が生み出しているという関係性を指す経済学における用語で、「80:20の法則」や「ばらつきの法則」とも呼ばれています。

例えば、商品の売上額の8割は全体の2割の商品が占めている、売上額の8割は全体の顧客の2割の人たちによって生み出されている、論文の内容の8割は2割を見ればわかる、などビジネス間で多く使われ、日常生活でも使われる考え方です。

法則の類語

法則の類語・類義語としては、定められた規則や法則を意味する「定律」、規則に則ることを意味する「準則」、正式の規則やそれに基づくことを意味する「正規」、人の行為の基準として定められたものを意味する「紀律」などがあります。

原理の例文

1.筋肉トレーニングやダイエットでも、効果的に行うために原理原則を理解することが必要である。
2.てこの原理を使えば重いものも持ち上げることができる。
3.過去の偉人の行動原理を分析して、自身に投影してみたい。

この言葉がよく使われる場面としては、事物や事象が依拠する根本的な法則を意味する時などが挙げられます。

例文1の「原理原則」とは、基本的な決まりを表す二つの言葉を重ねてその意味を強調した言葉です。

例文2の「てこの原理」とは、力点に力を加えることで支点を中心に運動が働き、作用点に大きな力を加えることができる原理で、アルミ缶のプルタブや箸、爪切りなど身近なものに多く応用されています。

原則の例文

1.原則として在宅での勤務となり、必要以上の外出を控えるように言われた。
2.事故にあった友人は重傷であったため面会は原則禁止されている。
3.基本原則通りの会社で一社員として誇りに感じる業務を任されている。

この言葉がよく使われる場面としては、多く共通に適用される基本的な決まりを意味する時などが挙げられます。

例文1や例文2の原則は、「基本的に」という言葉に置き換えて使うことができるため、絶対そうでなければならない、それ以外にはありえないという意味はありません。

法則の例文

1.様々な図がある法則性に従って並んでいるものの、その法則が全くわからない。
2.数学における法則を覚えることは簡単だが理解するのには時間が掛かる。
3.ビジネスにおいて大切な法則はいくつかあれど知っていたとしても応用できなければ意味がない。

この言葉がよく使われる場面としては、一定の条件下で事物の間に成立する必然的関係を意味する時などが挙げられます。

例文1の「法則性」とは、その動きや結果が生じる一定の理由や条件があるものに対して使う言葉です。

原理と原則と法則どれを使うか迷った場合は、根本的なものを表す場合は「原理」を、共通に適用される決まりを表す場合は「原則」を、守らなければならない決まりを表す場合は「法則」を使うと覚えておけば間違いありません。

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